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協力と裏切りの収容所脱走『スケープ』日本語版、4月23日発売

グループSNEは4月23日、正体隠匿ゲーム『スケープ(Scape)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・F.「パク」・ガレゴ、3~10人以上、8歳以上、20分、2200円(税込)。

オリジナルはGDMゲームズ(スペイン)から2015年に発売された作品。イラストを全面的に一新しての日本語版となる。第二次大戦中、米英の捕虜たちがドイツの収容所からゲシュタポの罠をかいくぐって脱出することを目指す。モチーフは映画『大脱走』でも知られる「スタラグ・ルフトIII強制収容所脱走事件」だ。

プレイヤーは第二次世界大戦中の「アメリカ陸空軍」「イギリス空軍」「ゲシュタポ」の3陣営に分かれる。米英の捕虜は(一時的に!)力を合わせて脱走用のトンネルを掘り、プレイヤーの中に紛れているゲシュタポが仕掛けた罠を上手く排除しなければならない。

手番にはカード1枚を裏向きか表向きに出すだけ。裏向きに出せばトンネルを掘ったことになり、「SCAPE」という言葉を完成させればトンネルが完成する。表向きに出せばアクションの効果が適用される。

全てのカードが出たらゲーム終了で、「SCAPE」が完成していなければゲシュタポの勝利。「SCAPE」が完成していても、カードをめくってゲシュタポの印があると罠にはめられたことになり、やはりゲシュタポの勝利となる。「SCAPE」が完成し、ゲシュタポの罠がなければ捕虜の勝利となるが、ここで米英で山札を比べ、どちらかのチームが勝利する。

トンネルを掘るか他プレイヤーを牽制するかの選択で、次第に明らかになっていく正体。最後の最後まで分からない勝敗がスリリングなカードゲームだ。

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ボードゲーム基本情報の順序

現代のボードゲームは国産・輸入問わず、「プレイヤー人数(P=Players)、対象年齢(A=Age)、所要時間(T=Time)」の基本情報がアイコンで記されている。この順序について少し気になったので調べてみた。順序は全部で6通りになるわけだが、どのパターンが多いだろうか。うちのゲーム棚を片っ端から調べてみた。

1位はP-A-Tで29社。アレア、クイーンゲームズ、2Fなどドイツ出版社だけでなく、デイズ・オブ・ワンダー、ルポ・プロドゥクシオン、チェコゲームズ出版、ダビンチ、ストンマイヤー、CMONなど幅広い国々で採用されている。日本でもOkazu Brandやダイソーが採用している。ドイツのボードゲームデータベースサイトLudingの順序もこれだ。

2位がA-P-Tで20社。ドイツ出版社に限って言えばシュミット、ツォッホ、フッフ、ハバなどが採用しており、P-A-Tよりも多い。ほかにブルーオレンジ、プランBゲームズ、ギガミック、リベルーなどフランス出版社も採用しているが、日本も含め国際的な広がりは少ない。

そして3位がP-T-Aで14社。PD、dlp、NSV、エッガートなどドイツ出版社と、スイッチゲームズなど日本の出版社で占めている。Boadgamegeek、play:game、ボドゲーマのデータベースはこの順序だ。日本でこのパターンが多いのは、昔「テーブルゲームフェスタ」というイベントで同人制作者向けに無料配布されたアイコン(下記ツイート参照)がこの順序だったのに由来するらしい。

4位がT-P-AでオインクゲームズやAEGなど6社。5位はA-T-Pでゲームライトやペガサスなど5社。6位はT-A-Pで2社。アミーゴ社にはP-A-TとP-T-A、ハンス・イム・グリュック社やルックアウト社にはP-A-TとA-P-Tというように、2パターンある出版社も見られた。

この順序に法則や哲学はあるのか、ドイツ年間ゲーム大賞審査員のU.バルチ氏に尋ねたところ、「決まったルールはないが、慣例としてはあるのかもしれない。プレイヤー人数と対象年齢は口頭でいうとき『für 2 bis 4 Spieler ab 10 Jahren(2~4人用、10歳以上)』というように連続しやすい」という回答だった。確かにPとAはプレイヤーについての情報であり、Tはゲームについての情報なので、P-AかA-Pの順序はともかく、連続しているほうがわかりやすいのかもしれない。

上記のランキングをPとAが連続しているかどうかで分類すると、連続している(4通り)のが57社、連続していない(2通り)のが19社。完全にランダムならば2:1になるところが3:1となっているところから見ても、プレイヤー情報はまとめておくという意識があるのかもしれない。

なお当サイトではP-A-Tで紹介している。ドイツのボードゲームサイトの表記がそうだったためだが、多くのゲームでは「2~4人用、8歳以上、45分」というように数字が昇順になるので、情報を転記するときに覚えやすいというメリットもある。

ラベンスバーガーやハバ社、日本では『人生ゲーム』などでTのない表示を行っているところがある(P-AまたはA-P)。所要時間は初プレイかどうか、プレイヤー人数は何人かなどによって大きく変わるものではあるが、標準的なものを記載してほしい。

ひだりの灰色:プレイ時間とかのアイコン 羅列編