建物の周りに人が集まる『オレゴン』日本語版、12月19日発売

アメリカのフロンティア開拓を描いたタイル配置ゲーム。オリジナルはハンス・イム・グリュック(ドイツ)から2007年に発売された作品。ドイツでの受賞はなかったが、フィンランドとスウェーデンで年間ゲーム大賞のファミリーゲーム部門にノミネートされた。デザイナーの夫婦はこの後『ラッタス』を発表している。本作の他言語版が発売されるのは12年ぶり。ボックスを一回り小さくし、コンポーネントを改良し、バリアントルールを加えた。
手番には4枚の手札から2枚を出して、対応する座標に建物か人のコマを置く。建物の周りに人のコマを置くか、人のコマの周りに建物を建てると得点や効果が得られる。得点や効果は建物によって異なり、周囲にいる人のコマの数だけ得点になるという教会、追加手番や地形のジョーカーを手に入れられる駅舎・お店、開けてみてのお楽しみという金鉱・炭鉱などがある。
人のコマが複数の建物に隣接していれば、どれからも得点が入る。そのため複数の建物を近くに置いて大量得点を狙うため、ボードのあちこちに建物が密集して街ができていく。中量級ユーロゲームの佳作が復活する。
ジーピーの米川和秀氏逝去、ラミィキューブやカタンの普及に尽力
ジーピー社長の米川和秀(よねかわ・かずひで)氏が11月22日、91歳にて逝去した。折しもゲームマーケット2025秋の1日目だった。
1934年生まれ、東京都出身。早稲田大学在学中に、当時輸出玩具メーカーを経営していた叔父の支援で米国に留学し、オハイオ州オベリンカレッジとニューヨーク大でマーケティングを学ぶ。帰国後、叔父の輸出玩具メーカーに勤務し、玩具業界でのキャリアをスタートした。
その後、玩具業界で経験を積んで「ツクダ」に入社し、『オセロ』の商品化・マーケティング・海外展開を担当。生みの親である長谷川五郎氏と共に全国のデパートを回って普及に務め、一大ブームを作る。
これと並行して1987年、合弁会社「ケナーパーカージャパン」を設立し、『モノポリー』をはじめ、『クルードー(現・クルード)』『ピクショナリー』などパーカーブラザーズ(アメリカ)のボードゲームを日本語版で発売する。第8回モノポリー世界大会(ロンドン)には糸井重里氏らと参加し、日本代表の百田郁夫氏が優勝。
1998年、シュウクリエイションは経営難のため一区切りとなり、玩具コンサルタントとして活動した後、2000年に「ジーピー」にて玩具事業を再スタート(社名は米川氏のハンドルネームGeorgeとプロダクションのPから)。2008年の『ウィザード』日本語版から始まり、2010年には『カタンの開拓者たち(現・カタン)』日本語版を発売した。各種拡張セットも次々と発表すると共に、カタン日本選手権を主催するようになり、各地の予選会に直接出向いて普及に努め、2019年カタン日本選手権では全国で延べ1300人を超える参加者が集まり、日本最大のボードゲーム選手権として記録を樹立した。
その他『ウボンゴ』『ザ・クルー』シリーズや『ツィクスト』など多数の日本語版ボードゲームのほか、ポケッタブルシリーズを彷彿とさせるトラベルゲームシリーズ、カジノ用品、各種トランプなど幅広いラインナップを揃え、今日に至る。
生涯現役で、カタン大会やゲームマーケットに欠かさず姿を見せ、エッセン・シュピールにも参加し、製造工場とのやり取りで幾度となく訪中するなど、ボードゲーム普及のために精力的に活動していた社長の姿が偲ばれる。Xでは、逝去を惜しむ声が数多く寄せられている。
(情報・写真提供:米川秀治氏)