ホッタイモイジンナ(What Time Is It Now?)
空耳スキルを磨く
カードで組み合わせられた外国語の単語をスマホで聞いて、日本語で何と聞こえたかを合わせるコミュニケーションゲーム。梟老堂がワールドワードゲームフェスティバル2019で発表したものが話題となり、今春クレーブラットから一般発売された。旧版ではグーグル翻訳を使って音声を流していたが、新版では一言語増えたほか、ネイティブが録音した音声が聴けるようになり、さらにホワイトボードとペンが付いた。
ウクライナ語、ウルドゥー語、タイ語、テルグ語から1つ選び、その言語からカードをランダムに2枚選ぶ。文字は読めないので付いている番号をスマホで開いた専用サイトに入力し、音声を流す。何回か聴き直しても良い。
各自、それが何と聞こえたか、自分のホワイトボードに日本語で書く。全員が書いたら発表して、部分一致・完全一致で得点が入る。これを何ラウンドか繰り返して、得点の多かった人が勝者となる。
タイ語にはほとんど確定的なものがあるが、その他の言語は聞こえ方が人によって分かれる。はじめは聞こえたままを書くだけが、ゲームが進むにつれて、脳内で補ったり改変したりして面白いことを書きたくなり、メンバーによってはいつの間にか大喜利ゲームのようになることもある(ほかの人とかぶらなくて無得点でも、ウケれば満足できる)。
どう聴いても日本語にしか聞こえないときは書く前から笑いがこらえきれず、日本語に聞こえないときは脳内変換の上手さに唸る。笑いあり、感心ありで広く楽しめるゲームだ。
ホッタイモイジンナ
ゲームデザイン・福夕郎/イラスト・やまぐちかおり
梟老堂(2019年)+クレーブラット(2021年)
2~6人用/14歳以上/15分
イエローサブマリン:ホッタイモイジンナ
Twitter「#気分でボドゲ10選」のベスト3
ボードゲームのアートワークデザイナー・別府さい氏が5月20日、「#気分でボドゲ10選」というハッシュタグでいろいろなシチュエーションにぴったりなボードゲームを教えてくださいと呼びかけたところ、本日までの1週間で239名もの愛好者が回答した。
回答は個人の趣味を前面に出した多様なものでどれも興味深いが、何人かが同じタイトルを言及しているのは良いゲームの証でもある。そこでツイートを集計して3位までランキング(カッコ内は票数)。「気分で」ということで気軽に回答できた分、「今」のボードゲームシーンを浮き彫りにするランキングではないかと思う。ランキングを見ていると持っていないゲームを購入したり、しばらく遊んでなかったものを遊んだりしたくなってくる。
10の質問ですべて違うゲームが1位になっているのは、それだけ今は多くの選択肢があることの表れでもある。どれを遊んだらいいか迷っている方は参考にしてみてほしい。
#気分でボドゲ10選 こんなの作ってみました。それぞれのパターンにぴったりなボドゲのタイトルを教えてください〜遊ぶ機会を探ろう! pic.twitter.com/MjNVzwVyBX
— 別府さい (@allotment31) May 20, 2021
1位:ドミニオン(11)
2位:テラフォーミング・マーズ(7)
3位:ウォーチェスト、オーディンの祝祭(5)
デッキビルドゲーム『ドミニオン』が1位。購入したカードが手札にうまく入ってきたときの気持ちよさがたまらない。拡張がたくさんリリースされているが、初めての人や久しぶりの人ならば基本セットだけで十分楽しめるだろう。
1位:エルグランデ(3)
2位:スパイリウム、ディヴィナーレ、のびのびTRPG、ブリュージュ、マグニフィセント、マンションオブマッドネス、メキシカ(2)
発売25年を迎えた『エルグランデ』が1位。大箱ゲームで日本語版が出ていないため、遊ばれる機会も少ないが「ドイツゲーム」の粋を味わえる作品だ。
1位:ザ・クルー(5)
2位:バラージ、ハンザテウトニカ、私の世界の見方(4)
3位:アイムザボス、イッツアワンダフルワールド、ガイアプロジェクト、ジャストワン、ディクシット、ディプロマシー、テラフォーミングマーズ、ドミニオン(3)
協力トリックテイキングゲームの『ザ・クルー』は、経験差が少なく、ミッションに失敗しても気まずくならない(平気で罵り合えるような)メンバーで遊ぶのがよさそう。
1位:ito(11)
2位:ジャストワン(10)
3位:インサイダーゲーム(9)
持ち札の数字をいろいろな基準で表すコミュニケーションゲーム『ito』。ルールが極めてシンプルで、感覚のズレで盛り上がる。国産ゲームなので初めての人もすんなり入れそう。
1位:カタン(6)
2位:キャプテンリノ、麻雀(5)
3位:ディクシット、ナインタイル、ボブジテン、ミクロマクロ・クライムシティ(4)
無人島開拓ゲーム『カタン』は定番中の定番ながら、発売25年を過ぎて新しいゲームに押されているかと思いきや、じっくり安心して遊べる作品として需要があるようだ。ルールは比較的多めなので、初めての場合には飽きさせない説明が求められる。
1位:ストライク(7)
2位:テレストレーション(6)
3位:ピット(5)
余計なことを考えず、サイコロを箱に投げこむダイスゲーム『ストライク』が人気。ダイスにぶつけて出目がうまく変わったときは気持ちいい。日本語版はまだ出ていないが再版されて入手しやすくなった。
1位:パッチワーク(15)
2位:バトルライン(11)
3位:ガイスター(8)
2人用にはローゼンベルク作のタイル配置ゲーム『パッチワーク』が新定番として定着してきたようだ。テーマが手芸と家庭的なのも、恋人と遊ぶときに興味を持ってもらいやすいかもしれない。
1位:モルック(33)
2位:コヨーテ(14)
3位:ワードウルフ(6)
ボードゲームという範疇に入るか微妙だが、室外スポーツとしても知られる棒倒しゲーム『モルック』がダントツ。これからの梅雨の季節、多少の風雨でも気にせず遊べるのがよい。
1位:バラージ、プラハ(8)
2位:サイズ大鎌戦役、オルレアン、オンマーズ(5)
3位:アルナックの失われし遺跡、ウイングスパン、ネメシス、ミレニアムブレード(4)
昨年のボードゲーム賞をいくつか受賞した水力発電ゲーム『バラージ』と、日本語版が発売されたばかりの都市開発ゲーム『プラハ』が1位。どちらも重量級ゲームなので、それなりの時間と一緒に楽しめるメンバーが必要だ。
1位:テラフォーミング・マーズ(13)
2位:ドミニオン(12)
3位:ウイングスパン(11)
日本版The One Hundredで4年連続1位の火星開拓ゲーム『テラフォーミングマーズ』が1位。200枚以上のカードが織りなす多様なゲーム展開が飽きさせない。1人プレイできるのも今のご時世では重要。
ポッドキャスト「おしゃべりサニバ」では、パーソナリティのおふたりがこのテーマで語り合っている。最近ボードゲームを遊ぶ機会が減っている人も、これで遊びたいゲームが次々と思い浮かんでくるだろう。