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アズール:王妃の庭園(Azul: Queen’s Garden)

パズル要素の高い第4弾

ドイツ年間ゲーム大賞受賞作『アズール』のシリーズ第4弾。ポルトガル王マヌエルI世の妻、アラゴン家のマリア王妃のために庭園を作るというテーマで、四角形・ひし形だったタイルが今回ついに六角形になった。しかも今までは「すべて同じタイルを揃える」だったところを、「すべて別々のタイルを揃える」になり、考えることが飛躍的に増え、よりパズルチックなゲームになっている。その特異性のためか、シュピールのスカウトアクションではシリーズ史上初めてランクインを逃した。

タイルの取り方は『アズール』シリーズに準ずるが、タイルには色と模様があり、同色で全部違う模様か、同じ模様で全部違う色を取らなければならない。しかもタイルの他に追加ボードも加わり、選択肢は増えた。

獲得したタイルを庭園に置くときも、同色で全部違う模様か、同じ模様で全部違う色で、模様によって1~6枚を支払う。そしてさらに配置するときは隣接するタイルに色か模様を合わせなければならず、しかも同色か同じ模様のグループに色も模様も同じタイルがあってはならない。

獲得したタイルを置くストックには上限があり、この縛りもあるため、取るときから何をどこに置くか考えておかないと、あっという間に行き詰まる。さらにゲーム終了時には、使いきれなかったタイルがマイナス点になるため、終盤の詰めには高い計画性が求められる。「このタイルを支払って、ここに置いて、残ったタイルはこれだから、あのタイルを取れば使い切れるな……」などと思ってたら上家にあっさり持っていかれて悲鳴を上げたり。

配置コストが一番安い木をどんどん置いて噴水を囲み、得点とジョーカータイルを増やす作戦だったが、木が多いと大した得点にならない。そして囲むことを優先していきあたりばったりになり、最後の得点計算で重要な「同じ色、または同じ模様のタイル連続」がほとんどできず。

頭から煙が出るようなプレイ感でダウンタイムも長くなり、4人で90分くらい。これはもはや『アズール』シリーズとは別作品と考えるべきであろう。シリーズ作品では物足りない方が、2人でじっくり遊ぶのがよいかもしれない。

Azul: Queen’s Garden
ゲームデザイン:M.キースリング/アートワーク:C.クイリアムス
ネクストムーヴゲームズ(2021年)
2~4人用/10歳以上/45~60分

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スイレントスイレン(Les Nymphéas Memory)

モネをここまで見つめたことがあっただろうか

「『アナゲ超特急』のせいで、カミさんに神経衰弱しか作れない人と思われています」(『アナゲ超特急』オビ)と騙る中村誠氏の最新神経衰弱。生涯で250点以上描いたという印象派画家モネの『睡蓮』から24点を厳選して神経衰弱にした。

記憶の手がかりとなるのは「紅蓮」「白蓮」「明るい」「暗い」「淡い」「シャープ」など。当たっていても確認に手間取るほど微妙なものもある。『渡る世間はナベばかり』と同様、途中何度かギブアップしそうになったが、半ば協力ゲームのようになって、当たると皆が喜び、終わったときには達成感を分かち合える。

蓮池があるモネの棲家(フランス・ジヴェルニー)は一般公開されており、蓮池も当時の状態が保存されている。一度訪れてみたい。

スイレントスイレン
ゲームデザイン:中村誠/イラスト:C.モネ
中村誠(2021年)
2~8人用/6歳以上/10~30分
通販:ボドゲーマ