ダイスプレイスメントで惑星開発競争『エイリアン・フロンティア』日本語版、7月1日発売
エイリアンのテクノロジーを使って惑星を開発するダイスプレイスメント&リソースマネージメントゲームで、オリジナルは2010年にクレバーモジョゲームズ(アメリカ)から発売された。当時、ゴールデンギーク賞で5部門(イノベーティブ、テーマ、ストラテジー、ファミリー、アートワーク)にノミネートされている。
手番には宇宙船ダイス(最初は3個)を振り、出目の条件に合うところに配置する。鉱山で鉱石を獲得し、太陽光から燃料を入手し、これらの資源をつかて新しい宇宙船やコロニーを建造する。宇宙人の技術でさまざまな特殊能力や特殊アクションが可能になり、コロニーのマジョリティで各地域のアドバンテージが得られる。
誰かがコロニーを全て配置したらゲーム終了で、コロニーや支配したエリアの点数、異星人技術カードのボーナスなどを合計して勝利点を競う。勝利点は累積ではなく、エリア支配の変更などで変動するので、勝敗の行方は最後までわからない。
エリアマジョリティが生み出すインタラクションと、個性的な特殊能力・アクションの駆使により、熾烈でドラマチックな惑星開発レースが楽しめる作品だ。
敗者の権利(Losers’ Right)
問題は負けた後だ
トリックテイキングをしながら、使ったカードを並べて陣取りをするゲーム。ゲームマーケット2022春で初出展の千発百中から発表された。当サイトの新作評価アンケートでは評価数最多となり、注目度の高さを物語っている。
5スート1~10のカードでマストフォローのトリックテイキングを行い、敗者は場にチップを置き、勝者は獲得したトリックから2枚を5×5枚の場に並べる。10トリック行った後、場のカードごとに隣接するチップの枚数が一番多い人が獲得し、その合計で勝負する。
タイトルの通り、トリックに負けてチップを置いたほうが得なので、できるだけ数字の低いカードを出し合うミゼール(負けを狙うトリック)になる。数字の大きいカードは、持っていないスートでリードされたときに処理したいところ。しかし誰かは勝ってしまうもので、そんなときは勝者の特典(次のリードプレイヤーを指名する、次以降のトリックの数字の強さを逆転する、場にある自分の通貨チップを移動するのいずれか)で、連続して勝たないようにもっていく。
チップは勝者の左隣から1枚ずつ置いていくが、どこに置くかが悩ましい。得点の高いカードは競争率が高く、何枚もチップを置かないと取れないだろう。理想的なのは、空いているスペースの隣にチップを置き、次のトリックで勝者となってそこに高得点カードを置くことだが、そんなにうまくは行かない。逆に他プレイヤーから1点のカードとかを置かれてしまう。
チップは辺と角に置くことができ、辺なら2枚のカード、角なら4枚のカードが対象にできる。しかしチップ枚数が同数の場合(よくある)、辺よりも角は弱いものとみなされる(すべての辺の中では上辺が最強)ので、強いカードの上辺は確実に置いておきたいところだ。
トリックの勝敗はなかなかコントロールできないが、次にチップを置くところを巡って敗者同士、または勝者と敗者の駆け引きがある。最近とんと見なくなったエリアマジョリティゲームの醍醐味を、トリックテイキングを入れることによって最後まで重苦しくなく楽しめる。
敗者の権利
ゲームデザイン:すづき/アートワーク:すず
千発百中(2022年)
3~5人用/10歳以上/30分
全国ボードゲーム専門店・カフェで取り扱い