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日本の玩具市場

2006年に日本で出荷された玩具・ビデオゲームの総額は1兆2041億円で前年比16.3%という大幅増加。ニンテンドーDSと次世代ゲーム機の発売に牽引されたビデオゲーム市場の拡大(8,910億円)が影響したという。残りの3,131億円がいわゆる伝統玩具市場。2006年のドイツの伝統玩具市場は約3,600億円で、近年のユーロ高や、何を玩具に含めるかなどで違いが出るだろうから大差はない。
しかし、日本の伝統玩具市場3,131億円において、ボードゲームはどれぐらいの割合を占めているだろうか。調査を行った矢野経済研究所では、「ゲーム類(アナログゲーム)市場」というジャンルを設け、主要業者としてエポック社、任天堂、タカラトミー、バンダイを挙げている。
エポック社は野球盤、スーパーサッカースタジアム、魚雷戦ゲームなど。任天堂はトランプ、花札など。タカラトミーは人生ゲーム、モノポリー、黒ひげ危機一髪、ジェンガなど。バンダイはドンジャラ、シンペイ、チケットトゥライドなど。アナログゲーム市場の総額は分からないが、発売品目の数からしていかにも心もとない。2006年ドイツのボードゲーム市場630億円には遠く及ばないだろう。『チケットトゥライド』3,675円を目標の50,000個販売しても2億円に届かない。
この差には、ボードゲームの歴史と認知度など文化的背景が大きいかもしれない。しかしそれだけではなく、マーケティング戦略の違いもあるのではないか。発売品目を少なめにして大量に出荷する日本のマーケティング戦略(ビデオゲームの売り方)と、反対にロット数を抑えてバラエティに富ませるドイツのマーケティング戦略のどちらが優れているかは一概に言えないが、ことボードゲームに関しては単価は上がるけれどもリスク分散の面でドイツに軍配が上がるだろう。
素人がマーケティング分析をしても仕方がないが、大ヒット作でなくてもいいからもっと日本で発売されるゲームの種類が増えてほしいと思う次第である。
参考ページ
2006年玩具市場1兆2000億円 ゲーム機牽引で16%増アニメ!アニメ!/
玩具産業白書 2007年版目次矢野経済研究所
Der Marktanteil von Spielen wächst weiterspielbox-online

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大学でボードゲーム(2)

大学の授業でボードゲームを取り上げる動きとして、前回は多摩大学のコンビニゲーム大会、文教大学の歴史カードゲーム制作、東京情報大学のプレゼンテーションを取り上げた。今日紹介するのは、名古屋大学の基礎セミナー「ボードゲームを究める」だ。
この授業でボードゲームは学生のスキルを高めるための教材という位置づけであり、東京情報大学のケースに近い。しかし考えることの楽しさを味わうことが目的になっており、ボードゲームを通して何かを学ぶというよりは、ボードゲーム自体を学ぶという方向に近い。
もちろん、ただ遊んでいれば単位をもらえるわけではない。ゲーム内容や勝つための戦略などを授業中にプレゼンし、学期末にはレポートも課される。成績はルールの理解と分析、戦略の考案、全員による議論への参加、ルール説明のための表現、そしてゲーム成績が総合的に評価されることになっていて、時間と労力を相当費やすことになりそうだ。
ボードゲームの授業がもつ最大のセールスポイントは、モチベーション。配布資料「なぜボードゲーム?」(PDF)で説かれているように、学生の勉強に対するモチベーションの低さは近年の一大傾向であり、それを打破するためにはボードゲームのような新鮮な刺激がなければならない。ルールの理解と説明、戦略の考案と議論、外国の文化背景の学習など、ボードゲームを楽しみながら学ぶことは多い。
授業では『クク』『ニムト』『ボーナンザ』などのカードゲームから始まって要素の多い『アクワイア』『カタン』『サンファン』へと進んでいく。途中で全体ゲーム『ハグル』『たほいや』を挟むところもにくい。これは、担当教官の有田教授がボードゲーム大好き人間であることの証であろう。
しかも驚くべきことに、1年だけの単発授業ではなく隔年で開講され続けているという。その中でノウハウも蓄積され、より体系的で効果的な授業が作られているようだ。
受験生の皆さん、ぜひ名古屋大学へ!(難関ですが)
ボードゲームを究める(名古屋大学)
大学院情報科学研究科(自然情報学科)の有田隆也教授が全学対象の教養講座として開講。「海外のボードゲームを題材として,「調べる」,「考える」,「交渉する」,「表現する」ための基本的な能力と技術を身につける」という目標を掲げ、ドイツゲームなど数多くのゲームをプレゼンして、予備知識のないものについて多角的にリテラシーを身につけることを学ぶ。