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『ウントチュース!』日本語版、5月31日発売

絶版になって久しかったライトでエキサイティングなカードゲーム『ウントチュース!』が、水曜日の会(秋葉原)のプロデュースにより日本語版で甦る。5月31日(日)のゲームマーケットから発売、1980円。
『ウントチュース!(Und Tschüss!)』はイギリスのゲームデザイナー、M.ウォレス氏の作品。タイトルはドイツ語で「それじゃバイバイ!」という意味。『蒸気の時代』や『ブラス』などヘビーなゲームで人気のウォレス氏だが、この作品は全く系統を異にする。プレイ時間は30分、4〜6人で盛り上がれるシンプルなカードゲームだ。
一斉にカードを出して、一番大きい数字を出した人がカードをもらえる。もらえるカードの得点はどんどん大きくなっていくが、最後に1人だけもらえない人がいる。最後に一番得点の高い1枚をもらってバイバイできるか、その前に得点が低いうちに安全に取りにいくか?
1997年にドイツのゴルトジーバー社から発売になったが現在では絶版。ネットオークションなど入手方法は限られていた。水曜日の会では作者のウォレス氏と直接交渉し、ライセンスを取得。この発売で入手が容易になり、より多くの人に遊ばれる機会が増えるだろう。
また、ドイツ語版のデザインは地味なものだったが、今回の日本語化ではデザインにアトラデザインの藤原快氏(『トラッカーズ』)が参加、コミカルで楽しい装いに変わっている。これもより多くの人を引きつけそうだ。
アトラデザイン:ウントチュース!
Daily Life is a game:特報!「ウントチュース!日本語版」発売決定!
TGWレポート:ウントチュース!

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未プレイという価値

ボードゲームのプレイスタイルのひとつとして、新作志向か旧作志向というのがある。面白いかどうか分からない未知のゲームか、評価が定まった傑作定番ゲームかという選択だが、私の場合この頃、新作志向にたいへん偏っている。『プエルトリコ』は先日5年ぶりに遊んだし、『ドミニオン』はもうご無沙汰気味。『カタン』はいつも新シナリオである。
最大の要因はこのサイトにある。私自身、買うにせよ買わないにせよ、未プレイゲームの情報は飛びついて見る。それが国内未紹介とあらばなおさらのこと。海外で発売されたばかりだ、BGGで10人くらいしか評価していない、play:gameでは登録すらされていない、そんなゲームの情報がほしい人はたくさんいるはずだ……その信念が新作志向に舵を取らせる。レポートするために遊ぶというのでは本末転倒だが、少なくともゲームのチョイスには、TGWが影響している。
しかし、それだけでない未プレイの価値というのがありそうだ。
『ノイエ』5号(1999)のインタビューで、メビウス訳を作っている後藤智己さんがルールを訳すときの楽しみについてこう語っている。
―順番に読んでいくわけなんですけど、ある程度読むとゲームのシステムの全体像が見えてくる瞬間があるんですね。日本語のルールを読んでいてもそうだと思うんですけど。それまで、「これはどういうことなんだろう」と思っていた断片が、あるところで、「そうか、そうかそういう事だったのか」とゲームの絡まり具合が見えてくるんですよね。そういう瞬間、そういう出会いが楽しいですね。
また私の友人にはルールを読むのが大好きで、実際に遊ぶのはその検証にすぎないという人もいる。もちろん、遊んでみるとルールからは想像もできなかったことが起こるけれども、システムの全体像をつかむ楽しみは大きい。
こういう楽しみは、初めてだからこそ得られる。確かに遊びこむことで得られる楽しみ(定石とか戦略とか)もあるが、それはどちらかというとプレイヤーサイドのこと。ゲームに固有の、システムの論理とでもいうべきものは、最初のインパクトが一番強い。
そしてこの楽しみは、決して孤独なものではない。ゲーム会でインストするとき、システムの妙に皆が「おお!」という瞬間が私は好きだ。ゲームの核心部分を、皆で発見するという楽しみがある。
ボードゲームは前準備なしで遊ぶことができない。しかし準備の中にも楽しみが見出せるとすれば、準備に時間がかかる初プレイほど楽しいとも言えるのではないか。そして今日も、喜んで外国語のルールを読み、カードのシールを作っている。