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小さな魔法使い(Kleine Magier!)

回ると忘れる魔法
回転する円盤の中でお目当ての動物を探すゲーム。今年のエッセン国際ゲーム祭でハバ社がもっとも力を入れて展示していた作品で、子供が実際遊べる巨大版もあった。
ダイスを振って魔法使いコマを進め、止まったマスの動物を探す。見つかれば星チップをゲット。魔法使いがゴールに着くまでに、たくさん星チップを集めた人の勝ち。
動物は、中央に3つある円盤の上に魔法使いの帽子(何と布製!)で隠れている。ここだなと思うところに魔法使いの杖を持って「チチンプイプイ!(ルール上、言わなければならない)」 杖は磁石が入っていて、帽子(金属が入っている)がくっついて持ち上がる。ネコだと思ったらカラスかよ!
ダイス目で回転が出ると、円盤を回転させなければならない。3つの円盤は歯車のようになっていて、1つを回転させると全部一緒に回る。これで一度覚えたつもりでもすぐ分からなくなってしまうという仕掛けだ。「フクロウは前にここにあったな……円盤が1つ回ったから、この円盤は反対向きに回ったはずで……じゃあここ!」
子供ゲームは記憶ゲームにせよ、アクションゲームにせよ、集中力が問われるものが多い。デタラメに開けてみたい欲求を抑えて一生懸命考えてみたが、外国旅行の疲れのせいか、やたらカエルばかり出る。karokuさんが好調で1位。
Kleine Magier!
C.バスラー/ハバ(2009年)
2〜4人用/4歳以上/15分

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ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama)

先を越された!
インドをめざして船を出し航路を開拓するボードゲーム。今年のエッセン国際ゲーム祭で行われたフェアプレイの人気投票で1位を獲得した(「エッセンの人気投票は『ヴァスコ・ダ・ガマ』」)。ドイツのメーカーでないためか、票数は少なかったが評価ポイントは2位を0.5ポイントも引き離している。
『ケイラス』以来ボードゲームのトレンドとなっている「ワーカープレイスメント」システムがこのゲームでも用いられている。さまざまなアクションを選ぶときに自分のコマを置き、コマが置かれたらそのアクションはもう選べなくなるというのが「ワーカープレイスメント」である。先に取った者勝ちの中で、自他の優先順位を照らし合わせてアクションを選ぶのが面白い。
このゲームでは、資金や特殊能力を取り、航海プロジェクトを買い、船員を雇用し、船を出航させるという4種類のアクションがあるが、いずれも先に取った者勝ちである。それぞれ定数を満たしたら、もうそのアクションは選べない。ここまではワーカープレイスメントの基本。だがその先がある。
コマを置くときに、同時に1〜20番の番号マーカーを選び、一緒に置く。そして全員がコマを置き終わってから、番号マーカーの順番にアクションを実行していくのである。資金もプロジェクトも船員も出航先も限りがあるから、できるだけ若い番号を取りたい。ところが若い番号はお金がかかるというジレンマ。
また、ほかの人より先か後かというだけでなく、自分の中での順番もよく考えなくてはならない。船を完成させる前に出航アクションが回ってきては、出航させる船がないし、資金を取る前に購入アクションが来たら何も買えない。アクションの順番をプログラムする「プロット」の楽しみもある。もちろん、先を越されてプロットした通りに運ばないことも少なくない。
こうしたシステムの中で、遠くまでいける大きい船を手間をかけて造るか、小さい船をたくさん出すかという選択、資金繰りの工面、特殊能力の活用など、さらに考えるところはたくさんある。それでいて、5ラウンドしかないからゲームは90分程度と(「ワーカープレイスメント」にしては)短め。
第1ラウンドで真っ先に買った安い船を出すのが遅れ、それからもお金が惜しくて若い番号を選ばなかったツケで高い船に手が出せない状態が続いた。小さい船を安い航路にどんどん出していたが、安い航路は航路が埋まりやすく、小さい船は次の航路に行きにくいため除去されてしまう。最終ラウンドは特殊能力頼みだったが振るわず最下位。1位は、潤沢な船員で大きい船を出し、さらに特殊能力で勝利点をかさ上げした野田さん。nagaさんが潤沢な資金で追い上げたが及ばなかった。
特殊能力は4つあるが、いずれも派手ではなく、堅実で計画的なプレイが要求される。イタリアのゲームらしくない感じだが、ワーカープレイスメントとプロットが見事にマッチして完成度の高いゲームになっていた。
Vasco da Gama
P.モリ作/ホワッツユアゲーム(2009年)
2〜4人用/12歳以上/90分