読書の秋、ボードゲーム本続々
今月は久しぶりのボードゲーム関連本の出版が相次ぐ。
『ゲームリンク』(Shoot the Moon)は新しいボードゲーム情報誌。創刊号となる今回の特集「No Game No Life!」では、ボードゲーム業界の有名人やサークルの代表などが自分のメモリアル・ゲーム!を披露する。国内だけでなく、M.シャハト(『ズーロレット』)やB.フェデュッティ(『操り人形』)など海外のゲームデザイナーも登場する目玉記事だ。ほかにも『ル・アーブル』攻略やリプレイコミックなど、充実の内容だが、一番の注目は、川崎晋氏の新作ボードゲーム『マーチャント・ギルド』が付録になっていることだろう。
ボードゲームショップなどで10月20日から発売予定。価格未定。今後は3ヶ月に1号のペースで刊行される。詳しくは公式サイトにて。
『ボードゲーム・ジャンクション』(新紀元社)はグループSNE代表の安田均氏が7年ぶりに発表する書籍。月刊誌『Role&Roll』の人気コーナー「ボードゲーム・ジャンクション」で紹介してきのものを中心に、これまでに発売されたボードゲームの数々を一気に掲載。さらに、「ボードゲームリプレイ」「ウニ頭」「クローズアップ」の中から、それぞれ厳選した15本を収録する。2000年代のボードゲーム事情の総括や座談会など、本書でしか読めない記事も収録する。
アマゾンなどで10月下旬から発売予定。価格2800円。出版元のホームページに近刊として案内されている。
最後に、『放課後の魔術師 (5)スパイラル・メッセージ
秋の夜長、ボードゲームを遊ぶだけでなく、これらの本を読んで楽しみ方を広げよう。
カルタッチョベースボール(Kartacio Baseball)
今年になって発売された2人用のライトなカードゲームシリーズ。いずれもスポーツをテーマにしており、余計な要素を削ぎ落としてテンポのよさを生み出している。
スポーツをテーマにしたボードゲームはデザインが難しいという。スポーツがもつスピード感やテンポが、ボードゲームではどうしても損なわれてしまうからだ。近年ではグラパックジャパンが意欲的な作品をいくつか発表したが苦戦を強いられている。
野球は、比較的テンポが穏やかなスポーツだが、このゲームは攻守を同時進行するという斬新な仕掛けでテンポアップに成功している。交互に1枚ずつ手札からカードを出す。ヒットカードは3枚溜まったら1点。その前に相手がキャッチカードを出してアウトになってしまったらまた1からやり直す。相手はキャッチカードで得点機をつぶしつつ、自分もヒットカードを出す。防御がなければ攻撃、攻撃がなければ防御。
防御のできないバントヒットや、1枚で2枚分あるクリーンヒットがあり、防御しにくいようになっている。さらにホームランは、それまで出していたヒットカードの枚数だけ得点になるビッグチャンスだ。
ホームランのチャンスを狙って走者をためようとしたが、ことごとく潰されて試合終了。着実にヒットで得点を重ねたくさのまさんが2対1で勝ち。1点を争ういいゲームだった。
カルタッチョベースボール
しんどうこうすけ/エイベックス(2009年)
2人用