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ソンブレロ!(Sombrero!)

神技をマスター
テーブルの端に帽子タイルを置いて、下から手ではじき、クルクルと中に舞うのをキャッチするというアクションゲーム。フランスのメーカー・アルセーゲームズの最初にして今のところ唯一のゲームのようだ。販売は『ピッチカー』などで知られるフェルティ社が取り扱っている。
基本のアクションは上記のとおりだが、カードで指示されるルールは毎回変わる。対戦相手を指名し、制限時間内に何回キャッチできるかを競う「エル・クラシコ」、全員一斉にはじいて素早いキャッチを競う「エル・マス・ラピード」、片目を閉じる「エル・ピラータ」など16種あり、どれも一筋縄ではいかない(ルール名がスペイン語なのは、舞台はメキシコだから)。
成功したら帽子タイルに書かれた掛け声を(オーレ!など)言うというのと、失敗したら「1,2,3,4ソンブレロ」と3回言わなければいけないルールがあって、見ているだけでおかしくてたまらない。
今回一番盛り上がったのは、パートナーを指名して、1人がはじき、もう1人が受け取る「エル・ウルティモ・クラシコ」。ふうかさんとパートナーで見事なチームプレイを決めた後、karokuさん・かゆかゆさんチームの番。karokuさんがはじいた帽子が一直線に遠くへ。顔に当たったら危険だった。
回転するタイルをつかむのは難しそうに見えるが、やってみると意外なほどあっさりと決まり、何だか嬉しい。かといって油断したり、急いだりすると途端にできなくなる。絶妙な難易度のアクションなのである。
Sombrero!
C.マルティネ、L.バシュリエ/アルセーゲームズ(2009年)
2〜8人用/7歳以上/20分
ゲームストアバネスト:ソンブレロ!

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邦題は流通しているものに

先週発売されたばかりの『ボードゲーム・ジャンクション』を入手。安田氏による140タイトルというゲーム紹介が全体の3分の1、そして秋口氏によるネットではまず読めないリプレイが3分の1、江川氏と笠井氏によるレビュー、座談会が残り3分の1といった構成である。まだ読み始めたばかりだが、ここ10年のボードゲームのトレンドを分析しているところと、非ドイツゲームの紹介にも力を入れているところが面白い。
表紙のイラストはさておき、まず気になったのは邦題である。安田氏のこれまでの著書もそうだったが、日本で流通しているタイトルとは異なる独自の邦題がつけられている。そのため、紹介を読んでほしくなった人が、そのタイトルで検索して探しても見つからない恐れがある。今回は、だいぶ流通している邦題を取り入れているものの、齟齬が見られるものもあった。そこで検索用に表記しておく。
アミュレット→アムレット(メビウス)
イスパハン→イスファハン(バネスト)
うさぎとかめ→ウサギとハリネズミ(メビウス)
エヴォ→エボ(メビウス)
お金はクサくない→お金は臭わない(メビウス)
キーラーゴ→キーラルゴ(バネスト)
銀河帝国レース→レース・フォー・ザ・ギャラクシー(バネスト)/銀河大戦争(アークライト)
キングズブルク→キングスブルグ(バネスト)
クラン→クランス(メビウス)
ケルティス→ケルト(メビウス)
サンクトペテルブルク→サンクトペテルブルグ(メビウス)
沈んだ世界→ブクブク(メビウス)
時代を超えて→スルー・ザ・エイジ(バネスト)
人狼→ミラーズホロウの人狼、タブラの狼(バネスト)
ズーレイカ→ズライカ(メビウス)
ツァップ・ツェラップ→ザップゼラップ(メビウス)
バザーリ→バザリ(メビウス)
パリ、パリ→パリス(メビウス)
ハンブルク→ハンブルグム(バネスト、ホビージャパン)
ビトレイアル→丘の上の裏切者の館(バネスト)
それはオレの魚だ!→おい、それは俺のサカナだぜ(バネスト)
名誉と酩酊(名声)→ラムと名誉(メビウス)
確かに、誤訳だったり、読み方が違っていたり、翻訳センスが悪かったりして、もっといい邦題をつけたくなることはある(ボードゲームの邦題)。しかし、それで流通しているということは非常に大きなことなのだ。たとえ絶版で入手難でも、そのタイトルでオークションに出てくれば見つけられる。だから、流通している邦題を軽んじてはならない。流通している邦題は、わざわざお店に問い合わせなくとも、ちょっとネットで調べれば分かる。
まもなく日本ボードゲーム大賞が発表されるが、邦題には細心の注意を払う。複数のお店が別の邦題をつけているときは、「すすめコブタくん/こぶたのレインボーレース/ラッセルバンデ/こぶたのかけっこ」などのように併記するし、当方で把握している限りは別の邦題がなくとも、「別の邦題で輸入しているところがありましたらお知らせ下さい」と書くこともある。
輸入経路の数だけ邦題があるという問題は、かつてボードゲームシンポジウムで取り上げられたことがある(ボードゲームシンポジウム)。そのときは、できるだけ最初に発売したところのタイトルに合わせようという合意が形成された。問題として取り上げたのは、先行発売しているお店に遠慮して、わざわざ別の邦題にするケースもあったからである。ボードゲームのルールは、日本語版を作るのでもない限り、独占的な翻訳権を取ることがないし、また登録商標にするほどでもないので、同じでもかまわない。それどころか、ユーザーの混乱を避けるために同じであったほうがよい。
というわけで、邦題は統一されていること、また一般に流通しているものに合わせることが望ましい。流通している邦題の無視は、故意にではないが私もときどきやってしまうので、自戒を込めて。