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ラベンスバーガー博物館

2010年5月にリニューアルオープンしたばかりのラベンスバーガー博物館(Ravensburger Verlagsmuseum)を訪れた。創立125周年を迎えたラベンスバーガー社の歴史や、ボードゲーム、ジグソーパズル、子供の本の製造過程を知ることができる。
博物館は市内の中心部、マークト通りに面した古い街並みの一角にある。レンガ造りの建物を改装して、間取りはそのままに現代的なインテリアを施してある。地下倉庫に設えたトイレは見事だった。入場料は大人5ユーロ、子供3ユーロ。
1階は創業から現在までの歴史と、ボードゲーム工場の様子を映像で見るコーナーがある。歴史は1980年代にドイツでボードゲームが流行し、90年代に世界に広がり、00年代に知育分野に広がったと捉えていて興味深い。また創業者オットー・マイヤー氏の遺品や、同社の最初のボードゲーム『世界一周旅行』も展示されている。なお、このゲームは復刻版が博物館ショップ限定で販売されていた。



ラベンスバーガー社初のボードゲーム『世界一周旅行』

2階はボードゲームの階。階段を上ると、昨年発売50周年を迎えた『メモリー』のいろんなバージョンが出迎える。なお、『博物館メモリー』もショップで売られている。
そして部屋に入るとボードゲームの箱が天井までびっしりと重なっている。床にはラベンスバーガー社が獲得した5つの年間大賞ポーン(そういえばこの10年大賞から遠ざかっている)、壁には代表的なゲームが展示されている。引き出しを引っ張るとさらにボードゲームが出てくる。

こんなにあったのか大箱!/メモリーも天井にびっしり

奥の部屋は、ボードゲームのアイデアが製品になるまでを『ラビリンス』を例に映像入りで解説。作者が試作品を同社に送り、同社で会議やテストプレイを経て製品化を決定。イラスト、コマ、紙、配色、デザインなどを詰めて、工場の製造ラインに入れる。実にたくさんの人の手を経て私たちの手元に届くのである。

デザイナーの試作品/テストプレイの記録用紙


イラスト原画/色見本とサイズ調整


工場生産用の型枠作成          

同じ部屋には、大型『ラビリンス・デュエル』があって、2人で実際遊べるようになっていた。タイルを素早く並べ変えて、カードのお宝にルートをつなげる。また隣の部屋にはタッチパネルで遊べるワードゲームも置いてあり、親子で遊ぶ姿が見られた。


大型『ラビリンス・デュエル』

この部屋にはボードゲームのコマやダイスが陳列されており、どのゲームの部品か考えるのも面白い。ラベンスバーガーのゲームは大量生産が基本のためか、プラスチックのコマが多いのが、日本人から見て残念なことである。
3階は絵本の階。本棚に見本が並べられており、ドイツ語が分からなくとも、仕掛け絵本などで楽しめる。学研のような科学絵本が多く、キャラクターものはほとんどない。このへんもお国柄か。
ゆっくり見て回って2時間くらい。決して大きい博物館ではないが、ラベンスバーガー125年のエッセンスが凝縮された博物館である。
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ラベンスバーガー遊園地

2010年夏、子供たちとラベンスバーガー遊園地(Ravensburger Spieleland)に行ってきた。この遊園地は、ゲームとパズルで世界的に有名なラベンスバーガー社系列の経営で、同社のボードゲームをテーマにしたアトラクションがあることから、かねてより行きたいと思っていた。行ってみると、ボードゲームものだけでなく、バラエティに富んだアトラクションがあり、まる1日遊んでも足りないほどだった。

ラベンスバーガー遊園地入口。快晴に恵まれた

ラベンスバーガー遊園地は、スイス国境のボーデン湖に臨むラフェンスブルク(Ravensburg)にある。シュトゥットガルトから電車で2時間、ラフェンスブルク駅に着くと、あの大企業の本社があるとは思えないような小さい街が広がる。「ブルク」いう名前が付く通り、城壁で囲まれていた街だが、城内は狭く、塔も城壁もこじんまりとしている。駅前から10分も歩かないうちに街の中央に着いた。夏のレジャーシーズンで、大きなリュックを背負ってキャンプ場に向かう人たちがたくさん歩いている。

ネットでラベンスバーガー遊園地のホームページを見ると、近くのホテルが紹介されている。ハイシーズンに行くならば、予約しておく方がよいだろう。

今回、私たちは地理が分からないので、行ってみて駅の近くの安いホテルを探そうと考えていた。しかしこれが誤算。最初に空き部屋を尋ねたホテルの主人が、「ラフェンスブルクの宿はどこも満室だ」という(実は翌日からカラテのキャンプがあり、1000人が集まった人のこと)。もう野宿しかないかと愕然としているとき、その主人が隣町ヴァインガルテン(Weingarten)のホテルに問い合わせ、しかもそのホテルまでタクシーを手配してくれた。ツイン・朝食付きで125ユーロ。前の日に泊まったアーヘンの駅前では朝食なし50ユーロだったから、約2倍である。仕方がない、それでも安い方だなどと言い聞かせて、そのホテルに泊まることにした。隣町といっても4kmぐらいしか離れていない。値段に違わず、四つ星のすばらしいホテルだった。この日はもう遅かったので、ホテルのレストランで夕食をとってゆっくり休んだ。

ラベンスバーガー遊園地は、ラフェンスブルク駅から20km近く離れた畑地にある。バス25分だが、本数が少なく、始発が開園時間より遅く、最終が閉園時間より早い。ほとんどの家族はマイカーで訪れる。したがって駅前からタクシーで行くのがよいだろう。約20ユーロ、15分ほどで到着する。今回は私たちが泊まったヴァインガルテンからバスでラフェンスブルク駅に行き、タクシーに乗り換えた。

開園時間は10時〜19時。ただし10月下旬から春まではずっと休園しているほか、4,5,6,9月には3日連続の休園日もある。全日開園しているのは7月と8月だけ。ドイツの夏はもってのほか短い。
入園料は15歳以上23.50ユーロ、4歳以上21.50ユーロ。子ども料金が大人とほとんど変わらない。でもこれだけで園内の施設をどれでも、何度でも利用でき、アトラクションの入口でいちいちパスを見せなくてもよいのが気楽でいい。

遊園地は広大で、8つのエリアに分かれている。まずは園内をぐるりと巡る列車「シュヴァーベン鉄道」で、一通りアトラクションをチェック。

ラベンスバーガー社のボードゲームをテーマにしたアトラクションは、ラビリンス迷路、テンポカタツムリカート、メモリーヘリコプター、カバのウォーターコースター、カモのレース、ネズミショックのボールシューター、キキリキーボーリング、クーハンデルボール投げがある。このうちゲームになっているのが5つあった。

ラビリンス迷路は、入口でカードにタイムスタンプを押して、四隅にいるキャラクターを回ってゴールする時間を競う。迷路は難しくないが階段やすべり台もあって楽しい。4分くらいが合格ラインのようだが、10分かかった。

メモリーヘリコプターは、4台のヘリに乗り込み、順番にボタンを押してタイルをめくって、ペアが見つかればヘリが上昇し、見つからなければ下降するというゲーム。最後に順位が出て、1位だと一番最後まで空中にいられる。私は失敗して次の人にヒントを与えまくり、1つしか当てられなかった。

ロゴがおなじみのラビリンス迷路と、メモリーヘリコプター

ネズミショックのボールシューターも、4台のマシンに乗って、ボールを空気銃につめてチーズの穴に撃ち込む。小さい穴ほど入れるのが難しく、点数が高い。得点は左上に表示され、ベストタイムもあって燃える。2人1組で、1人がボールをつめる人、もう1人が撃つ人と分かれるのがよいが、負けず嫌いの長女は不参加。父1人で奮闘したが、100点どまりだった(ベストは1000点)。

キキリキーボーリングは、手でボールを転がして穴に入ればニワトリが進むレース。有料だが1位に賞品がある。長男がなかなか上手で優勝し、3Dパズルをゲットした。クーハンデルボール投げは、6つのボールを穴をめがけて投げ、たくさん入れるほど豪華な賞品がもらえる有料ゲーム。

ボールシューターは難しい。クーハンデルもロゴがおなじみ

ゲームのアトラクションとしては、二子玉川にあったナムコワンダーランドと、池袋のナンジャタウンが大好きだったが、もっとシンプルで、小さい子供でも楽しめるようになっている。
そのほかにも、自分でスピード調整できるロケットコースター、9人乗りで回転するウォータースライダー、急斜面で超怖いすべり台などスリルを楽しむ乗り物や、足こぎボートやカヌー、アスレチックなどの定番、畑の中を走るトラクターや砂利を掘るショベルカーなど、職業体験できるアトラクションもある。

ショップではもちろんゲームやパズルが売られている。また、ゲームを借りて遊べる建物もあって、さすがラベンスバーガーの遊園地である。もっとも、天気が良ければみんな外で遊ぶので、ボードゲームコーナーは人気がない。

閑散としたボードゲームコーナー、安売りもあるショップ

ラベンスバーガー社のロゴのように真っ青な天気の下、気がつけば18時。子供たちもずっと興奮して遊んでいた。帰りのタクシーに乗った途端、長男は爆睡。朝まで起きなかった。
どのアトラクションも楽しいにちがいないが、一番楽しいものは年齢に合わせて変わる。このたび連れてきていない次女も含めて、またいつか遊びに来れたらいいなと思っている。