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クレムリン(Kremlin)

目立ったら粛清
クレムリン
ソビエト政界の黒幕に扮し、息のかかった政治家を出世させて書記長に仕立てあげる政治ゲーム。ソ連崩壊前の1986年にファタ・モルガーナ社(スイス)より発売され、ドイツ年間ゲーム大賞にノミネート。アヴァロンヒル社(アメリカ)から英語版も発売されたことがある作品を、昨年、ニューゲームズオーダーが日本語版にした。ファタ・モルガーナ版とアヴァロンヒル版の両方のルールが選べるようになっており、緻密な陰謀合戦も、どんでん返し合戦も両方楽しめる。
26人の候補者から密かに10名を選び、1~10点の影響力をつけてスタート。最終的に3回パレードに成功した書記長か、いなければ最後に書記長だった人物に、影響力を多くつけていたプレイヤーが勝利する。しかし影響力をどれくらい付けているかは、できるだけ明かさないほうがよい。明かせばみんなに目をつけられ、シベリア送りになってしまうからだ。
ゲームは年単位で進める。KGB長官による粛清、国防大臣による告発とスパイ容疑、書記長による人事異動などがあり、そのときに各ポストに付いている人物に対し、最も多く影響力をつけているプレイヤーが意のままにできる。このとき、影響力は自分が実際につけている数字以下まで宣言できるというのがルール。目立たないようできるだけ低い数字を言っておき、ほかの人が上げてきたら応じるのがよい。「オシリペンコに1つけてます」「私は2」「じゃあ3」「……譲ります」
このほかに注意しなければいけないのが病気と年齢である。粛清やスパイ容疑など、ストレスの多い仕事をした人物は(肉体)年齢が上がり、ダイスによる健康チェックで病気になりやすくなる。病気マーカーが3つになると死亡してしまうので、療養して病気マーカーを取り除こう。
シベリア送りになっても終わりではない。政治局員(上層部)の人物を使い、5歳加齢させることでシベリアから帰還できる。帰還しても、「人民リスト」、「政治局員候補」「二級局員」「一級局員」と、書記長になるにはたいへんな道のりが横たわっているわけだが。
5人プレイで2時間。最初にKGB長官で、すぐに書記長に昇進した「ヌイキン」が2回パレードを行ったところでシベリア送りに。大本命だったことが警戒されて影響力を多くつけるプレイヤーがいなかった。書記長はあまり動かなかったものの、就任時には高齢で病気になっていることが多く、パレードが成功できない。膠着状態の中、終盤に大幅な若返り人事があり、それを見越していた鴉さんが上層部を掌握し、誰が書記長になっても勝てる状態を築いて勝利。私も若手を何人かもっていたが、健康チェックのとき20分の1の確率で突然死してしまうなど、不運が続いた。
「こいつ、そろそろ粛清しておきましょうよ」「せやな」「サナトリウムに行ってる間に、スパイ容疑かけられた!」「まあ当然でしょう」。オリジナルが発売された30年前ならではの冗長さを感じてしまうが(シベリア送りになった人物にもうワンチャンスあるぐらいの長さ)、ゲーム中の会話が録音したいくらいに楽しい。
クレムリン
U.ホステトラー/ニューゲームズオーダー(2014年)
3~6人用/50歳以上/20~120分

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『ウミガメの島』日本語版発売

メビウスゲームズは3日、『ウミガメの島(Mahé)』日本語版を発売した。A.ランドルフ作、2~7人用、7歳以上、30分、2,800円(税込)。
1974年にラベンスバーガー社より発売された『カンガルー(Känguruh)』のリメイク『冷たい料理の熱い戦い(Die heisse Schlacht am kalten Buffet)』をフランヨス社が待望のリ・リメイク。テーマは料理からウミガメに変わり、サイコロを振って自分のカメを進め、多くのたまごを集めることを目指す。
手番プレイヤーはサイコロを1個振り、その目を見て次のサイコロを振るかどうか決める。こうして3個までサイコロを振ることができ、出た目の合計×個数だけ進めるが、出た目の合計が8以上になったらバーストで進めなくなってしまう。
また、カメはほかのカメの上に乗ることができ、下のカメに連れて行ってもらえる。そのまま1周したら、一番上にいるカメのプレイヤーがたまごをもらえる。このバーストと相乗りのルールによって、盛り上がりのあるレースが楽しめる。
メビウスゲームズ:ウミガメの島