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グローブトロッター:世界を巡る旅行者(Globetrotter)

コンボを決めるカード選択
グローブトロッター
カードのコンボを決めて、できるだけ早く世界を一周するカードゲーム。イタリア人デザイナー、S.ソレンティーノの作品で、ゲームストア・バネストとジョイゲームズが製品化した。R.クニツィアの『京都』と同様、外国人デザイナーによる国産オリジナル作品である。このようなケースはまだ珍しいが、日本のボードゲーム市場がそれだけ大きくなっていることを示すものだろう。
ゲームストア・バネストの中野店長が惚れ込んでデザインを依頼したS.ソレンティーノ氏には、『オストラコン』『ダンシングダイス』などの作品があり、以前にも専門誌『ゲームリンク』に付録ゲームを提供したことがある。
円形に並んだ都市カード。パリ、ニューヨーク、アテネ、リオデジャネイロ・・・これが世界を表している。スタート地点にみんなのコマを置いて開始。カードを出して自分のコマを進め、早く一周することを目指す。
手番にはカードを1枚補充し、要らないカードを捨てた後、1枚ずつ何枚でも場札に出していく。出すときは、場札のカードと色か乗り物が同じカードを出すというのがルール。例えば緑の気球カードには、緑か気球のカードを出すことができる。そのとき緑の車カードを出したら、今度は緑か車のカード。そこでピンクの車カードを出せば、次はピンクか車のカードを出せる。こうして要素をつなげてカードをどんどん出していこう。
最後に出した1枚の色か乗り物が、自分のコマの1つ先のカードと一致していれば1マス進める。また一致していなくても、手札を出し切れれば2マス。最高なのは手札を出しきってかつ1つ先のカードと一致している場合で、そのときには3マスも進むことができる。
というわけで、できるだけカードがつながるように手札を揃えたいが、何種類もあるのでなかなかうまくいくものではない。そこで登場するのが「合鍵」。これは同じ色か乗り物を3連続で出せたときにもらえるチップで、これを使うとカードが1枚ジョーカーにできる。そのジョーカーでまた合鍵を取って、すぐ使って揃えていくと、3マス進むのも決して難しくはない。
誰かが世界を一周したら、全員同じ回数だけ手番を行ってラウンド終了。ほかのプレイヤーがビハインドしている分だけ得点になり、規定ラウンドの合計で勝敗を競う。
手札の巡りも大事だが、コースを見て要るカードと要らないカードを見分けられるかがカギ。carlさんが上手に手札をマネージメントし、コンボを次々と決めて3マス進みまくる。負けじと追いかけるが、手札を減らすと揃えにくくなり、手札を増やすと出しきれなくなるというジレンマで加減が難しい。万全の体制を整えても、直前に出されるカードで翻弄されてしまうことも。苦し紛れの妨害もはねのけ、carlさんがぶっちぎりで優勝。手札運だけではなく、取捨選択のコツがだんだんつかめてくるのが面白い。
グローブトロッター:世界を巡る旅行者
S.ソレンティーノ/ゲームストア・バネスト&ジョイゲームズ(2014年)
2~5人用/8歳以上/30分
ゲームストア・バネスト:グローブトロッター

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枯山水(Stone Garden)

砂紋と石を熟知して

砂紋と石の配置で美しい禅庭を作るゲーム。2013年に東京ドイツゲーム賞を受賞し、1年以上かかってようやく製品版が発売された。さまざまな得点パターンを組み合わせて、高得点を狙う。
マイボードは3×5マスの庭園になっている。手番には砂紋タイルを引いて、できるだけ絵柄がつながるように配置し、「徳」をためて石を設置する。これを庭園に砂紋タイルが敷き詰められるまで行う。プレイ感としては『カルカソンヌ』に一手間足したぐらいの軽さである(カウンティングをすれば考えることは増える)。砂紋タイルのつながり方と、石の並び方で得点が入り、その合計点を競う。
砂紋タイルは真っ直ぐから円状のもの、さらに苔が入っているものまであり、絵柄を合わせておくのは容易ではない。絵柄が合っていなくてもよいが、合っていないところ1ヶ所につき2点の減点となってしまう。そこで引いたタイルは自分のボードに配置するだけでなく、他人に譲渡したり、廃棄したり、後手番で置くように保管したりできる。また、ほかのプレイヤーが自分のほしいタイルを引いたときには強奪もできる。こうしたアクションを使って絵柄をうまく揃えていく。
譲渡、廃棄、強奪では「徳」が増減する。この「徳」は通常、1手番に1点ずつしか上げられない上に、石を獲得するのにも必要なので好き放題できるわけではない。タイルの処理が終わったら、「座禅」で徳を1点上げるか、禅僧駒を移動して石を置ける場所を変えるか、貯まった徳で石を設置する。石は種類によって必要な徳が異なり、一番レアな「舟石」に至っては5以上も必要になる。平均すると2、3手番に1回、石が置ける計算だ。ゲーム中に設置できる石も限られてくる。せっかく徳を貯めたのに、ゲームが終わるまで石の設置が間に合わないことも(残った徳は得点になるので、石を置かないほうがよいこともある)。
ゲーム終了時の得点パターンは多岐にわたり、砂紋に関するものが5種類、石に関するものが8種類もある。どれを狙ってどれを諦めるか、どれとどれを組み合わせるかが考えどころだ。

  • 砂紋に関するもの:苔のないタイルの最大長方形、苔タイル、一列の左右対称、渦の円または半円、つながっていないタイルの減点
  • 石に関するもの:基礎点、桂馬置き、斜め置き、「蓬莱山」、「三尊石」、「臥石」、「舟石」、最初に配られる「名庭園カード」のパターン

3人プレイで45分。1ゲーム目は引いたタイルをほぼそのまま置いていたが、つながっていないタイルの減点で得点が伸び悩む。ゲーム終了が意外に早かったため、石を設置するタイミングも逸してしまった。そこでこれを踏まえて2ゲーム目に突入。タイルの並べ方と、石を設置するタイミングについては、やりこみ要素があるようだ。得点方法もだんだん分かってきて、難しそうなものは無理に狙わず、着実な得点を重ねることを心がけた。とはいえタイルの引きが冴えまくっていたtomokさんが減点を最小限に抑えて連勝。
つながるようなタイルが引けるかという運の要素と、徳をコントロールして石を設置していく戦略性のバランスがとれた作品である。1つ1つ塗装された石のコマの出来上がりも素晴らしく、ゲーム終了時に自分の石庭を見ると大きな満足感が得られる。
枯山水
山田空太/ニューゲームズオーダー(2014年)
2~4人用/10歳以上/60~90分