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ライツ(Rights)

取るべきか取らざるべきか
ライツ
カードをほかの人より多く集めることを目指すゲーム。オインクゲームズが『海底探険』に続いてゲームマーケットで発表した作品である。タイトルは「著作権」からで、ほかの人より多く集めた人が権利を取り、同じカードを集めているほかの人から収入を得られる。
自分の番には山札から1枚引き、手札からカードを1枚出す。ほしければ自分の前に置き、いらなければ左となりの人に渡す。となりの人はお金とともにカードを受け取るか、1金をつけてさらに左どなりの人へ。いわゆる『ゲシェンク』方式である。
カードを集めるゲームなのに、どうしていらない場合があるのかというと、ゲーム終了時の得点計算に理由がある。各種類ごとに、一番多く集めた人は、同じカードを集めている人からお金を取る。しかも、1枚につき2金(デザイン使用料だという)。そのため、1位を取れそうにないカードを受け取ると、マイナスになってしまう。ほかの人の状況と、自分の手札を見て、取るか取らないか大いに悩もう。
カードの総数は種類ごとに決まっていて、「5」のカードは5枚、「10」のカードは10枚。「5」のカードなら3枚集めた時点で1位確定だが、「10」のカードは3枚集めてもまだ分からない。
誰かが決められた枚数を取ったらゲーム終了。残った手札を自分の前に加え、種類ごとに枚数を数え、一番多く集めた人にお金を払う。お金のやりとりをして、一番多かった人が勝ち。残った手札を加えるというところがポイントで、一発大逆転もありうる。1位を取れそうにないカードを集めている人がいたら、同じカードが手札にいっぱいあると考えてよいだろう。
4人プレイで20分ほど。序盤に「5」のカードが3枚出てしまったので、「10」をめぐる攻防戦がメインとなる。みんなが「10」に熱中している間に、「7」や「8」といった微妙な枚数のカードを集めに走り、できるだけ場札に出さないようにして貯めこんだが同じことを考えている人がいた。1位タイではお金をもらえないというルールがあり、枚数がことごとくかぶって収入がほとんど入らず3位。「あれ? そういえば8が出てないですね」「誰か貯めこんでるんでしょ」などと探りを入れたりするのも楽しかった。
お金を支払うリスクを承知でカードを取るか、お金が入るように取りにいくか。左どなりの人が集めているカードが自分のところに回ってきたとき、止めるか渡すか。1位を取れなさそうなカードが回ってきたとき、お金がいくらついていればもらうとよいか。シンプルなルールの中にクニツィア的なジレンマが仕込まれている作品だ。
Rights
佐々木隼/オインクゲームズ(2015年)
3~5人用/9歳以上/10~20分

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スピンデレラ(Spinderella)

捕まりそうで捕まらない

上から降りてくるクモに捕まらないように、自分のアリ3匹をゴールまで進めるゲーム。2015年のドイツ年間キッズゲーム大賞を受賞した。2段になっているボードと、磁石を使ったギミックが子供心を誘う。作者は一風変わった作品で知られるフラガ。キッズゲームでも『ジャングルの秘宝』や『象のトランペット』など、記憶に残る作品を作っている。タイトルは「シンデレラ」と「シュピーネ(クモ)」を掛けあわせたもの。
下の段にはアリの巣があり、コースを通って果物のあるゴールを目指す。上の段には2匹のクモがおり、磁石と糸でもう1匹のクモ(スピンデレラちゃん)とつながっている。上の段の2匹に連動して、スピンデレラちゃんはアリを捕まえに行く。
自分の番にはダイスを3つ振る。緑のダイスでアリが出れば、白いダイスの数だけアリを進め、緑のダイスでクモが出れば、茶色いダイスの数だけクモ(上の段にいる2匹)を移動させる。
クモは1匹がスピンデレラちゃんの位置を、もう1匹が糸の長さを決めるというギミックになっている。狙ったアリをめがけてクモを降下させると、カチリ! 磁石でアリがクモに捕まるのだ。捕まってしまったアリはスタートへ。ほかのプレイヤーのアリを捕まえた人は、白いダイスの数だけアリを進めることができる。
アリは同じマスに入ると、来た順に積み重なっていく。『ウミガメの島』のようだが、下のアリは単に移動できない。その代わりクモが来たとき捕まるのは一番上だけ。クモに捕まるリスクを踏まえて、3匹のアリのどれを進めればよいか考えなければならない。
緑のダイスではもうひとつ、葉っぱの目があって、これが出ると切り株を移動できる。クモに捕まらないように自分のアリの上に切り株をのせるもよし、ゴール直前のほかのアリの上において足止めするもよし。切り株の上にアリがいれば一緒に移動するので、ゴール近くまでワープすることも可能だ(ただし切り株の上のアリはクモに捕まりやすいので注意が必要)。しかも葉っぱの場合は、アリかクモを移動することができる。葉っぱの目はとても嬉しい。
3匹のアリが最初にゴールした人の勝ち。「アリに捕まったクモはスタートへ」というルールで想像が付いたかもしれないが、大人だけ4人でやったら、当然足の引っ張り合いで30分かかった。こうなると、3匹同時にコースに出さず、1匹ずつ進めていったほうが確実である。最後は神尾さんの3匹目がゴール直前で捕まったすきに後ろから差して勝ち。
クモがアリを捕まえるかどうか(磁石にくっつくかどうか)が微妙なところがアナログの面白さだ。捕まるかと思ったらぎりぎりで踏ん張ったり、クモが揺れた弾みでとなりのマスのアリが捕まったりといったハプニングが楽しめた。
Spinderella
R.フラガ/ツォッホ出版(2015年)
2~4人用/6歳以上/20分
メビウスゲームズから発売予定