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シュピール16:1日目

さわやかな秋晴れの入口。今年も世界最大のボードゲームイベント「シュピール」が始まった。1000団体を超えるボードゲーム出版社・関連団体がめいめいのブースで新作を紹介し、実際に遊んで購入もできるイベントだ。今年は初日から来場者が多いように思われる。会場は広い上に渋滞があちこちで生まれ、お目当てのブースに行くのに時間がかかった。

毎年恒例になりつつあるヤポンブランドの開幕行列。ゲームマーケットの行列風景をエッセンに再現したかのようである。限定販売で初日からどんどん売り切れていくヤポンブランドは今年、アイテム数も増えブースも大型化。長い行列の前でだてあずみ。さんらがチラシを配っていた。

一方、割と余裕な感じの冒険企画局&グループSNE。グループSNEは『ソラシノビ』『ギャンブラー×ギャンブル』などの新作を紹介している。

A.ボザがデザインした『進撃の巨人ボードゲーム』のドイツ語版・フランス語版はドントパニックゲームズ(フランス)から来年2月発売予定。ミカサやリヴァイがそれぞれの特殊能力を活かして巨人を倒す協力ダイスゲーム。英語版は今年2月にクリプトゾイクから発売されたが、日本に入る気配がない。どこかで扱ってくれないものか。

同じくドントパニックゲームズによる『東京グールボードゲーム』のドイツ語版は来年3月。こちらはブラフゲーム。

Tシャツに「悟」の一文字。荷物はほとんど到着していなくて、持ち込み分しか販売していないというコモン・タン(アメリカ)は、日本語ゲーム6パックを販売。英語の説明が入った品詞カードを並べて面白い文章を作る。「私が池です」「フライ返しへ探偵がご飯を超叩く」などの例文ができていた。

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シュピール16:カルタムンディ・セミナー

ベルギーのボードゲーム製造会社カルタ・ムンディがシュピール1日目の夕方に開いたセミナー「You create it, we make it.」を聴講した。
カルタ・ムンディはヨーロッパのボードゲーム製造最大手で、各社の印刷・裁断・箱詰め・梱包までを行い、『アグリコラ』も『ドミニオン』も、ここが製造を担当している。近年はボードゲームの製作数が増え、キャパシティいっぱいいっぱいという状況だ。今回のシュピールでもぎりぎり間に合ったケースが相次いだという。
そのカルタムンディのセミナーの目的は、iPadなどのデジタルデバイスを使った新しい技術を紹介し、デジタルと融合したボードゲームを開発するパートナーを探すものである。すでにタッチパネルで認識できる「iCards」を開発し、タッチパネルの上にカードをかざしたり、移動したりして遊べるゲームも制作している。
自社の宣伝ばかりではいけないと思ったのか、動画レビューサイト「Dice Tower」のT.ヴァーセル氏と、ルックアウトシュピーレのK.フランツ氏が招待されて短い講演を行った。
T.ヴァーセル氏は、スマートフォンをひとつのギミックとして捉え、新しいタイプのゲームを生み出し、デジタルゲームからの愛好者を呼び込む可能性を提示。特にスマホ世代には、デジタルデバイスとのリンクが必要であると説いた。

これに対しK.フランツ氏は「何で私が呼ばれたのか分からない」としつつ、ゲームをアップグレードするのは技術ではなく楽しさが先立たなければならないといった。『アルケミスト』(チェコゲーム出版)でスマホのアプリを使うことでゲーム進行をスムーズにした例を挙げつつ、ダイスを振るといった手続きは「感情的な要素」があるためアプリにしたくないことや、デジタル処理が早くなりすぎて慣れない人にとってはダウンタイムが目立ってしまう恐れを指摘した。

イラストはコンピュータで作画され、宣伝や口コミはネットで行われるというように、ボードゲームの周辺ではすでにデジタル化がどんどん進行している。それがさらに進んで、『アニュビスの仮面』のようにボードゲーム自体にもデジタルデバイスが中心的に利用されるケースが出てきた。しかしこの新しい技術は、アナログゲームの性質と相容れない部分もある。今後の活用方法について考えると、ゲームとは何かという原点に立ち返る必要も出てきそうで、なかなか興味深い問題である。