このコンテストは今年、宗教改革500周年を迎えるのに合わせて開催されたもの。審査員には「聖書コレクションシリーズ」監修をしている牧師・三輪地塩氏、「キリスト新聞」編集長の松谷信司氏、ブロガーのmoonこと橋谷利幸氏、ゲームデザイナーの中村誠氏の四氏があたり、応募は本物の牧師、教会、研究者、大学のゼミなど、幅広い層からバラエティに富む作品が寄せられた。
その中から優秀作に選ばれた『宗教改革者たち』は、ルターやツヴィングリなどの「改革者」たちが、「聖書の翻訳」「説教」などを通じて信者らの支持を得、「異端」との誹りをかわしながら、それぞれの手法で「宗教改革」を遂行していくゲーム。環状に並べられたアクションスペースを周回して、協力者コマを配置していくワーカープレイスメントである。
宗教改革運動の歴史を描写しつつ、「マニアの期待にも応え得る骨太なガチゲーとしてのポテンシャルを持っています」(松谷氏)、「さまざまな行動を勝利点で表すことで、さまざまな勝ち筋を示し、「if(架空)の宗教改革」を介在させる余地を持たせています」(中村氏)とゲームシステムも高く評価された。また、カトリックとプロテスタントの分裂を生み出した宗教改革だが、現代において「ある一方を糾弾するようなことがなく、ここに高い理性を感じ取りました」(三輪氏)だったという。
プロテスタントが多いドイツでは昨年から、宗教改革500周年を記念するボードゲームが何点かリリースされている。このうちツォッホ社の『めんざいふ(Mea Culpa)』はユーモラスな作品で、日本語ルール付きで入手可能。本作が10月に製品化されたら遊び比べてみてはいかが。
・聖書コレクション