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アズール:シントラのステンドグラス(Azul: Stained Glass of Sintra)

右から行くか、左から行くか
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『ドミニオン』以来9年ぶりとなるドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム賞をダブル受賞したタイル並べゲームの続編。タイルの取り方は同じで、異なるプレイ感を生み出している。
中央の丸いタイルに4枚ずつ、ランダムに置かれたステンドグラスタイルから1色を選び、その色のタイルを取って自分のボードに配置する。ボードには縦長の窓タイルが並んでおり、ステンドグラスはワーカーコマの置かれた窓タイルにのみ置くことができる。置ききれなかった分と、中央から最初に取ったときに受け取る「1」タイルは失点。
手番の最初にワーカータイルを右にいくつでも移動することができるが、左に戻すには1手番休まなければならない。戻ることが多いとその分、ステンドグラスの建設が遅れることになる。
1つの窓タイルにステンドグラスが揃うと得点が入る。この得点は、その窓タイルの得点に加え、その窓より右にある窓タイルで完成したものが全部加えられる。そのため、右側から先に作っておいて、左側を後で完成させたほうが得点が高いが、上記のようにワーカーを戻すのに1手番かかるところがジレンマとなっている。
また、各ラウンドの色があり、完成した窓にその色のステンドグラスがあるとボーナスが入る。さらに、完成した証にスタンドグラス1つをボードに残しておくが、これがゲーム終了時ボーナスのもとになる。この2つのボーナスのため、色のコントロールも考えなくてはならない。
完成した窓は裏返しになり、また別の色のステンドグラスを置けるようになる。もう1度完成すると、窓は取り外され、ゲーム終了時の得点計算に使われる。
『アズール』のゲーム終了条件はプレイヤーボードの状態に依存していたが、このゲームでは6ラウンド(中央のタイルが6回なくなる)で終了となる。最後に、ボード上に残っているステンドグラスで最も多い色の枚数と、取り外した窓の枚数をかけ、最終ボーナスとして、マイナス点(ラウンドごとではなく、ゲーム全体で計算)を差し引いて得点の多い人の勝利となる。
今回の流れはワーカーを戻さないように、左側からじっくり作っていく方向だと思っていたが、完成しても得点が低い。その間に右側を多く完成させておいた船山さんがどんどん得点を伸ばし始める。最終ラウンドに残った大量の要らないタイルで大失点して最下位。
『アズール』と比べお互いの得点状況が見えやすく、逆転がより生まれにくいかもしれないが、得点計算とワーカーの移動のジレンマが心地よく、よりタクティカルになっている。透明なステンドグラスコマも相まってまた違った魅力がある作品だ。
Azul: Stained Glass of Sintra
ゲームデザイン・M.キースリング/アートワーク・C.クイリアムス
プランBゲームズ(2018年)
2~4人用/8歳以上/30~45分

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こじつけでもペアを作る『適当なカンケイ』日本語版、10月26日発売

すごろくやは10月26日、コミュニケーションゲーム『適当なカンケイ(Qui Paire Gagne)』日本語版を発売した。ゲームデザイン・S.グレン、イラスト・M.ルーセル、3~8人用、10歳以上、30分、3600円(税別)。
場に並べられたカード11枚の写真から5組のペアを組み合わせ、その組み合わせがほかの人と一致することを目指すゲーム。毎回、場に写真カードがセットされたら、全員一斉に、手札の番号カードで関係していると思えるペア5組と、あまり1枚に分ける。
全員が分け終わったら1人ずつ、ペアの番号を発表し、同じペアを作っていた人数分の得点が入る。これを4ラウンド行って合計得点を競う。
写真は生き物だけでなく食べ物から無機物までさまざま。ペアの作り方はタイトルの通り恣意的であるが、一緒に遊んでいる人との共通感覚をもつことが重要。それでも意外な組み合わせが生まれ、理由を聞いてもうひと盛り上がりできるパーティーゲームだ。
デザインは『バルーンカップ』などの作品があるS.グレン。『プラッキン・ペアーズ(Pluckin’ Pairs)』というタイトルで2012年にR&Rゲームズから発売されたものを昨年、ル・スコーピオン・マスク社(カナダ)がリメイクし、フランス年間ゲーム大賞にノミネートされた。同社の日本語版は『ウェンディゴのこわい話』『デクリプト』に続き3タイトル目。
すごろくや:適当なカンケイ