Posted in 雑誌・書籍

『ゲームと対話で学ぼう: Thiagiメソッド』

世界各地でゲームを用いたワークショップを行っているティアギことシヴァサイラム・ティアガラージャン氏による対話的学習法(インタラクティブ・ラーニング)の理論と、たくさんのゲームを収録した本。翻訳はエッセン・シュピールに毎年参加している吉川肇子・慶大教授。
近年、企業や地域などいたるところでワークショップ(参加型講義)が開かれているが、その多くはワールドカフェ方式(グループに分かれて相談し、出てきたアイデアを付箋に書いて模造紙に貼る)である。多様で活発な意見が出やすい一方、アイデアの評価をしないで終わるため、広げるだけ広げて収集がつかなくなったり、現実的・非現実的なソリューションの区別を付けられなかったりする。
本書では、参加者に質問や要約を促す対話的学習法、「他者について知る」「記憶と協力」「チームワーク」「偏見や排斥を学ぶ」といった特定の学習目標に関連したゲーム、「ジョルト」と呼ばれる短いエクササイズを合計38種類紹介する。
写真にお題をつけて当ててもらうコミュニケーションゲーム、次点まで支払わなければならないオークション、記憶力で行う三目並べなど、シンプルながらありきたりではなく、考えどころのあるゲームが多い。パズルを解かせてその仕事ぶりで管理職チームがリストラしていくゲームまである。
結構準備するものがあって、またファシリテータの手腕も問われそうなものも多く、ワークショップで使うには周到な準備が必要になりそうだが、その分だけ効果は高そうだ。面白いアイデアだが難しそうだと思ったら、簡易版にアレンジして使うこともできる。ペアになって思い出を脚色し合う「おもしろい思い出」はこの頃よく、ポジティブな親子関係を作るという狙いで講演中に使わせてもらっている。
著者は「毎日1つはゲームを作っている」という。ゲームデザインに関わっている人には、こういった非ボードゲーム系のゲーム紹介本はアイデアの宝庫ではないだろうか。

Posted in 国産新作ゲーム

巨大ロボット対戦『エムブリオマシン ボードゲーム』12月中旬発売

グループSNE/cosaicは12月中旬、巨大ロボット対戦ゲーム『エムブリオマシン ボードゲーム』を発売する。ゲームデザイン・志柿俊光&秋口ぎぐる、アートワーク・DE・RI、2~6人用、12歳以上、30~90分(人数×15分)、3700円(税別)。
embryomachine.jpg
グループSNE・秋口ぎぐる氏によるTRPGの世界観に基づくボードゲーム。中世ヨーロッパ風の架空世界を舞台に、巨大ロボット「エンブリオマシン」を使って世界を生き抜く。
四角形マスのマップボードにジョイントパーツを組み合わせて戦場をつくり、各自機体を選んで戦いに臨む。白兵戦に強いスピードタイプ、機雷をばらまくトリッキータイプなど、個性豊かな機体が登場。さらにさまざまな武装ができ、機体サイズ、装甲重量、武装の組み合わせが楽しめる。
戦闘では全てのプレイヤーが2つのアクションをあらかじめ決定しておき、一斉にオープンして解決するところがポイントで、プレイ中は常に対戦相手の思考を読むことが求められる。敵は接近し、パイルバンカーを繰りだしてくるのか、スパイクを構えて突撃を仕掛けてくるのか、それとも建物の陰に身を隠し、ミサイルで遠距離射撃を試みてくるのか? あらゆる可能性を考慮し、相手の裏の裏をかいて、勝利の栄光をつかもう。
武装カードは全てイラストが入り。また「エンブリオマシン」のイラストもカッコよく、「ロボット好きが徹夜でハマれる」作品だ。
内容物:両面マップ2枚+マップチット大1枚、小2枚、カードスタンド6個、サンプル機体シート9枚(両面)、機体デッキ9組(カード17~24枚、計189枚)、追加武装カード50枚、機体コマ9個、コマスタンド9個、陸上機雷トークン20枚、強化機雷トークン20枚、ダミートークン40枚、「キャンセル」チット4枚、「1」チット2枚、「/2」チット6枚、「+6」チット6枚、チームチット8枚、チームマーカー8枚、ラウンド表示ディスク1枚