モナステリウム(Monasterium)

ほしいダイス取られたー!

修練士を修道院に送り込んで、学校の名声を高めるダイスドラフトゲーム。『オルレアン』のdlpゲームによる2020年秋の新作。ドラフトしたダイスによってできるアクションがプレイヤーごとに変わってくるのと、自分しか取れない個人ダイスと、誰でも取れる中立ダイスが混合していることで、濃密な駆け引きを生んでいる。

ダイス配置フェイズでは手持ちのダイスを振って、1つの目を選び、その目のダイスを中央のダイス置き場に出す。何周かして全部のダイスが出たら、今度はダイス獲得&アクションフェイズ。1~6の出目から1つを選んで、そのダイス置き場にあるダイスを取り、アクションを行う。これを人数分ラウンド行ったら次の年へ。3年でゲーム終了となる。

ダイスにはプレイヤーカラーがついた個人ダイスと、白い中立ダイスがあり、中立ダイスは置いた人を問わず、誰がとってもよい。1回の手番で3個まで取ってよいため、自分が取ろうと思ったダイスが他プレイヤーに全部もっていかれることもある。一方、個人ダイスはそのプレイヤーしか取れないので、必ず取ることができるが、同じところに中立ダイスがあっても、個人ダイスを先に取らなければならないというルールがある。

これを見越してダイスを配置したいところだが、ダイスの出目は思い通りに行かないものである。毎ラウンド1回だけ振り直しができるが、そう都合よくいい目が出てくれるとは限らない。1ロールごとに一喜一憂しながらダイスを置くのが楽しい。

さて、獲得した出目に応じて行うアクションは、最初は皆同じだが、「修練士の派遣」を行うことでよりできることを増やせる。プレイヤーボードに並んでいる修練士コマを中央ボードの修道院に送り込み、空いたマスのアクションがその出目で選べるようになる仕組みだ。どのマスを空けるかによって、戦略が大きく変わる。

さらに、中央ボードに送り込まれた修練士は、それぞれの修道院でステンドグラスを集めたり、勝利点カードの条件になったり、エリアマジョリティー争いを繰り広げたりする。1つのアクションの結果が幾重にも絡み合い、非常に考えさせる。プレイ時間はプレイヤー人数×30分で設定されているが、もう少し多く見ておいたほうがよいかもしれない。

最初の手持ちで修練士を3人派遣できるので、それでどのアクションを解放するかが最初のポイント。手前の修道院を固めてから先に進むか、先に進んでちょっと先の修道院に手を出すか、どんどん先に進んでダイスを増やす作戦で行くか。他のプレイヤー(特に上家)の選択も考慮しておきたい。

考えれば考えるほど底なしのガチなゲームだが、ダイスのままならなさで息苦しさがほどよく緩和されており、最後の得点計算まで集中して取り組める作品。ルールの基本構造がわかりやすく、コンポーネントにテキストが一切ないのも好感が持てる。dlpゲームズが「ドイツゲーム」の王道を歩もうとしていること、そして「ドイツゲーム」も日々進化していることを実感できる。

Monasterium
ゲームデザイン・A.D.フューラー/イラスト・D.ローハウゼン
dlpゲームズ(2020年)
2~4人用/12歳以上/90~120分

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