キングドミノ(Kingdomino)

あのタイルさえ来てくれれば!
キングドミノ
日本で『ドミノ』は「ドミノ倒し」の印象が強いが、牌の両側にサイコロの目がついており、数が合うように並べるゲームである。そのゲームの原理を用いて、フランスのゲームデザイナー・B.カタラが王国(キングダム)を作るゲームに仕立て上げた。ブルーオレンジゲームズ(フランス)から発売され、今年のドイツ年間ゲーム大賞に選ばれた。2010年代のドイツ年間ゲーム大賞は8タイトル中6タイトルがドイツ国外の作品である。
中央にプレイヤー人数分のタイルを並べ、その中からほしいタイルを選ぶ。そのとなりにもまたプレイヤー人数分のタイルが並んでおり、タイルを取った人から次のタイルを選ぶ。取ったタイルは自分のお城から地形がつながるように配置し、これを繰り返して各自が12枚のタイルを取ったら終了。地形ごとにその広さと王冠の数をかけ、合計が多い人が勝つ。15分で終わるライトなゲームである。
ライトながらしっかりしたプレイ感がある1つ目のポイントはタイルの番号。各タイルには裏面に番号が振られており、小さい順に中央に並べられる。番号の小さいタイルを取ると、次のタイルは優先的に選ぶことができ、番号の大きいタイルを取ると、次のタイルは残りものになる。番号が大きいほど価値のあるタイルが多く、いいタイルを取ると次は選択肢がなくなるという仕組み。優先的に選ぶときは、自分がほしいタイルだけでなく、ほかのプレイヤーがほしいタイルを取ってしまうという手もあり、ジレンマと駆け引きが生まれる。
2つ目のポイントは、地形によって出現頻度が変えてあるところ。砂漠、草原、海、泥地、森、洞窟という6種類の地形があるが、たくさん出てくる割に王冠が少なかったり、少ない割に王冠が多かったりする。いくら広げても王冠がなければ得点にならないので、確実に得点するか、一か八か高得点を狙うかの選択も悩ましい。特に終盤は何が出ていないかタイル一覧表で分かるので、「海の家来い!」「森の小屋来い!」といった叫びが口々に出る(出たからといって、ほかのプレイヤーが取ってしまうこともある)。
3つ目のポイントはお城の位置取りを変えられるところ。お城から四方にタイルを配置できるが、最終的に5×5マスの陣地ができれば、お城の位置は中央でなくてもよい。お城をどこにするかは、出てくるタイル次第。「あのタイルが来るのを待って、ここは空けておこう」などという選択の結果、お城を端の方にする戦略もある。慣れてくるとそのあたりの加減が分かってくるだろう。
タイル選択のインタラクション、地形選択の戦術、お城の位置の戦略と、遊びごたえのある奥深さをもっており、外見はクラシカルなユーロゲームながら現代ボードゲームの要素が詰め込まれたゲーム。さらに立体のお城や木製の王様コマといったコンポーネントも美しく、箱庭感も楽しめる作品だ。
Kingdomino
デザイン・B.カタラ/イラスト・C.ブーケ
出版:ブルーオレンジゲームズ(2016年)
日本語版:テンデイズゲームズ(2017年)
2~4人用/8歳以上/15分

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。