キャプテン・ソナー(Captain Sonar)

一心同体の潜水艦ゲーム
キャプテン・ソナー
子供の頃に方眼紙を使って『潜水艦ゲーム』を遊んでいた。それぞれ方眼紙に潜水艦を書き、座標を言って当たっていたら撃沈というゲームである。そのゲームをリアルタイムの多人数チーム戦にしたのがこの『キャプテン・ソナー』だ。潜水艦の乗組員となり、チームワークで相手の潜水艦を撃沈することを目指す。リアルタイムゲームを作らせると右に出るもののいないR.フラガ(『ドクターエウレカ』『ドクターパニック』)のデザインで、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞2017推薦リストに入った。
ボックスには妙に大きなついたてが2枚入っている。これを2チームの間に置き、お互いのボードが見えないようにする。役割に応じたボードと、書き込むペンを各自に配る。コンポーネントはこれだけで、カードもコマも入っていない。言語依存もないシンプルなコンポーネントだ。
潜水艦乗組員の役職は4つ(8人未満でプレイする場合は掛け持ち)。艦長は自分の潜水艦の進路を決め、それをマップに記入していく。マップは5種類あり、ゲームごとに変えることができる。また、後述する設備の起動や、潜水艦浮上の指示といった仕事もあり、もっとも重要な役職である。
艦長は移動のたび、「南へ移動!」などと言わなければならない。通信手は相手チームの艦長の進路を聞いて、それを透明板に記録していく。相手のスタート地点は分からないため、島などの障害物のありかや、ソナーなどを頼りに位置を推定する。相手の艦長の言葉を聞き逃してはいけない。
司令官は潜水艦が移動するたび、設備スイッチに印を入れていく。印が満タンになるとその設備が使えるようになり、敵を攻撃したり探索したり、相手の通信手に知られず高速移動できたりする。潜水艦の状況に応じて、どの設備を優先して起動できるようにするか判断しなければならない。
機関士は潜水艦が移動するたび、その移動方向に応じたボックスのアイコンにバツ印を付ける。バツ印があると設備が起動できなくなったり、潜水艦がダメージを受けたりするので、バツ印の選択も重要である。
バツ印が溜まって身動きが取れなくなってきたら、艦長は浮上を指示することができる。浮上すると、バツ印と、これまで通ったルート(潜水艦は同じルートを2回通ることができない)がリセットされるが、相手チームにだいたいの場所を伝える上、乗組員全員でボードに線と名前を記入しなければならず、その間にボコボコにされる恐れがある。
ゲームがスタートしたら、両チームリアルタイムで潜水艦を進める。艦長がゲームを先導するが、ほかの役職の情報提供も欠かせない。
艦長「南へ移動!」
司令官「ラジャー!」
機関士「ラジャー!」
相手の通信手「南と」。
司令官「魚雷準備完了!」
艦長「通信手、相手はどの辺にいるか?」
通信手「このあたりかと思われます!」
艦長「よし、魚雷発射! 目標はC6!」
相手の艦長「1ダメージ!」
全員「やったー!」
1ゲーム目は、浮上をできるだけ抑え、機雷をばらまいておいて、通りかかったところを狙い撃ちしたチームの勝利。2ゲーム目は、高速移動の行き先をいくつかに絞り、ソナーで確定した直後に魚雷を撃ったチームの勝利で、どちらも劇的な終わり方となった。プレイ時間は約30分。高揚感のあるリアルタイムプレイと、相手の状況を観察する冷静な情報収集の両方が求められ、非常に盛り上がるゲームである。
Captain Sonar
デザイン・R.フラガ&Y.レモニエ/イラスト・エルヴァン、S.トバル
マタゴー(2016年)
2~8人用、14歳以上、20~45分

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