ストラテジーとタクティクス

昨年のエントリー「一極集中と多極分散」に続く、日常生活でゲーム的な考え方をしてしまうシリーズ。
軍事用語から派生してボードゲームでも使われている言葉に、ストラテジー(戦略)とタクティクス(戦術)がある。ストラテジーは全体的・長期的な方法、タクティクスは部分的・短期的な方法を意味する。ボードゲームでは、ゲームの勝利条件に見据えて、勝つための方針を考えるのがストラテジーであり、臨機応変に場面場面を切り抜けていくのがタクティクスである。
ゲーマーズ・ゲームでは、勝利への道筋がいくつも用意されており、しっかりしたストラテジーをもたないと勝てない。『アグリコラ』では、最初に配られたカードを見て、最終的にどの得点を伸ばせそうかを考えるところが面白さである。一方、所要時間が60分を切るドイツゲームでは、ストラテジーではなく、タクティクスを楽しめるようにデザインされている。競りや陣取りが中心の作品は、相手の足元を見たり、漁夫の利をとったりといった駆け引きが楽しみどころである。
場面によっては、ストラテジーとタクティクスが対立することがある。全体的には、Aという選択肢を取ったほうがいいと思っていたが、この場面だけ見るとBという選択肢のほうがよさそうな気がする。さて、どっちにするか? ストラテジーが常に優先するわけではない。タクティクスによって、ストラテジーの変更を迫られることもある。
そんな思考が、実生活にも入り込んでくる。短期的には得に見えることが、長期的に見てどうか? 全体的に見てよさそうなことなどが、部分的に見てもよいことか? どちらかというとストラテジーのほうが見落とされやすいかもしれないが、答えは決まっていない。
大事なことは、両方の視点から物事を捉えていくということだと思う。そうすると困難にぶつかっても「これしかない」といって自分を追い詰めてしまわず、柔軟に対応できるだろう。また、一見不可解なほかの人の行動も、別の観点で見れば理解できるかもしれない。
その結果、変に物分りのいい人になっていないか、心配ではある。

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