アグリコラ:牧場の動物たち(Agricola – Die Bauern und das liebe Vieh)


どんどん増やそう羊・猪・牛・馬

毎年数百タイトルの新作が発売されるボードゲーム。1回遊べばいいほうで、遊ばないものがほとんどという中、遊ばれ続けるというのはいよいよ難しくなっている。だから発売後5年経って、人気が衰えない『アグリコラ』はすごい。基本セットだけでも遊びきれないほど多くのカードが入っていて、遊ぶたびに展開も戦略も変わるのがロングセラーの理由である。

その魅力であるカードをばっさりカットして、2人用ゲームにしたゲームが今年リリースされた。『アグリコラ:牧場の動物たち』である。カードだけでなく、畑も、子供もいない。目的はただひとつ、動物をひたすら増やすことである。得点の大部分は動物によってもたらされる。

ゲームの進行は『アグリコラ』と同じで、アクションスペースにコマを置いて資材や動物を取ったり、牧場や建物を作ったりする。2人だけだから相手の手を読んでシビアにもプレイできるが、ぬるく遊んでもよい。

目的が動物を増やすことにあるので、自分の農場でも、動物をたくさん飼えるスペースを作ることが課題となる。住居は相変わらずペット1匹まで。牧場は建物の壁と柵で囲んで作り、1マスに2頭まで。これだけではどんどん増えていく動物に対応できない。それを解決するのがまず飼葉桶(『アグリコラ』の厩)で、収容能力を2倍にしてくれる。2つあれば4倍。牧場が3マスあれば12頭の動物を収容できるようになる。もうひとつが特別な建物で、飼葉桶と組み合わせると1マスで10頭飼えるものもある。

アグリコラ
農場は動物でいっぱいになる

動物は、アクションスペースから取ってくるもののほかに、2頭以上で1頭自動的に増える。1つの建物や牧場には、同じ種類の動物しか飼えないので、別々に用意しなければならない。なかなか増えないなと思っていると、あっという間に収容能力ぎりぎりになってしまう。はみ出した動物は逃げていってしまうから、なかなか焦る。かといって、はじめにスペースをたくさん作っておいて、後から動物を取りにいっても間に合わない。何しろゲームは8ラウンド、時間は30分しかかからないのだ。

最後は動物を種類別に得点計算。3頭以下は失点で、それ以上でも頭数が少ないと点数が低い(羊が得点になるのは8頭以上!)。動物の種類によって得点になる分かれ目が違い、馬が一番効率がよい。それから建物の得点を足して合計で勝負。

妻と一本勝負。動物はこれ以上無理かと思うほど増やしたが、意外に得点が伸びない。動物の得点は妻が高かったが、拡張した農場を全部使ったボーナスと建物の得点で挽回して私の1点差勝ち。本当に30分で終わるので驚いた。

じっくり考えて進めたつもりだが、これだけ短いゲームでも、ああしたほうがよかった、こうしたほうがよかったというのがあって奥深い。まんべんなく増やしつつ、どれかの動物に力を入れるというのが大事そうだ。もちろん、相手が何を集めているかによるけれども。

手札がない完全情報公開のゲームなので研究すればするほど展開が固まってきそうだが、今秋に拡張の建物タイルセットが発売された。こちらもまだまだ遊べそうだ。

Agricola – Die Bauern und das liebe Vieh
U.ローゼンベルク/ルックアウトゲームズ(2012年)
2人用/12歳以上/30分
日本語版がホビージャパンから発売中

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