アールエコリサイクル(R-ECO-RECYCLE)

だまし不法投棄
アールエコリサイクル
ドイツのメジャーメーカー、アミーゴ社から今年製品が発売された(『アールエコ』アミーゴから)カワサキさん。その発売を記念するような新作がゲームマーケットで発表された。ゴミカードを分別するというテーマを用いて、前作とはまったく別のブラフゲームに「リサイクル」した。
場には4つの処理場があり、それぞれゴミの種類が異なる。手番には手札からゴミカードを、この4つの処理場のいずれかに出し、権利書をもらう。この権利書を持っている人が、ラウンドの最後に処理場の状態によって得点または(不法投棄が多ければ)失点する。
ゴミの出し方は表か裏かの2通りあって、表にして出すならば、処理場が定めるゴミしか出せない。でも裏にして出すならば正規のゴミでも不法投棄でもかまわない。表にして出した場合は全体の権利書、裏にして出したらその処理場の権利書をもらう。権利書は各1枚しかなくて、前に持っている人がいたら、その人から取る。
また、裏にして出す場合は、その処理場で表に出されたカード枚数+1枚を出さなければならない。表にして出せば、みだりに不法投棄するのを防げるかもしれない。といっても、裏にすれば何を出してもいいわけだから、防げない可能性も高い。
ところが不法投棄する方にしてみれば、必ず権利書を取らなければならないため、やたらに出せば自分の首を絞めることになる。ここがブラフのかけどころ。得点するつもりで正規のゴミを出しているように見せかけて、ほかの人が権利書を奪いに来たらしめたもの。実は不法投棄しまくりで失点をかぶったなんてことも。
表にして出すべきか、裏にして出すべきか、裏にして出すならどこまで正規のゴミを混ぜたらいいか、手札と相談しながら考えるのは楽しい。もっともブラフゲームだから、勢いも大切だ。
処理場の得点はラウンドごとに変わる。同じ処理場の得点は上書きされるので、失点してもその処理場で得点すれば帳消し。でも得点したいのが見え見えだと、不法投棄で妨害されるかもしれない。そうなったら、不法投棄した人に失点を食らわせるのもいいだろう。
そんな風にさまざまな思惑が絡み合い、ブラフも一筋縄ではいかない。今回のゲームは権利書がなかなか取れなかったが、不法投棄が横行して失点も多く、最下位はふうかさんにお譲りした。裏になっているゴミカードをめくる瞬間が、今までの思惑が全部明るみになって楽しい。
R-ECO-RECYCLE
川崎晋/カワサキファクトリー(2010年)
2〜4人/6歳以上/10〜20分
第1版品切れ

アールエコリサイクル(R-ECO-RECYCLE)」に3件のコメント;

  1. 前にも書きましたが、「不法投棄」がテーマというものには賛成できません。
    それをテーマにするのであれば、ブラック・マーケットな名前にするべきで、『R-ECO』なんて環境リサイクルのブームに便乗するのは許せません。
    要するに、世間の理解する「環境問題」の意識が低すぎるんでしょうね。
    「不法投棄」は犯罪ですからね。
    で、犯罪ってのは罰則の強化だけで抑止できないんですよ。
    この部分でギャグにして笑えるというのは、モラルの低下というより、悪しき市場原理主義的な資本主義の弊害を感じます。(大げさに言うと。)
    なんだろう、ブラック・ネタは好きなんだけど、偽善なら偽善だけにして欲しいんですよね。
    真面目な企業で、裏では非合法に儲けているなんて設定は、どこの陰謀論だよ、って感じで受け付けません。

  2. エコとか、自然を大切になんていう風潮自体が胡散臭いと思っている私ですが、このゲームにそういう偽善めいたものはあまり感じないですね。部屋片付けの延長みたいな感覚で遊んでいます(部屋片付けは、子供のころから苦労していました)。ドイツ語でいうAlles in Ordnung(直訳:万事は秩序の中にある)という快感が満たされるんですよね。

  3. リサイクル・廃棄物処理において、行政でも民間でも一緒だと思うのですが、「不法投棄」しなくちゃいけない事態にはならないんですよ。
    普通に運営していれば。
    「不法投棄」になる理由としては、経済的理由ですが、きちんと運営(マス・バランスに基づいて)していて経済的に息詰まるということは、既にその事業自体の活動が無理だったわけで。
    で、ここが重要なポイントなんですが、実際に経済的に息詰まって「不法投棄」にはしる企業がどれほどあるのか、っていうとほとんどないわけです。
    これはコンプライアンスとかCSRという問題やバレずにどう「不法投棄」するのかという問題以前に、バレた場合のリスクが大きすぎるからです。
    費用対効果の問題ですね。
    まぁ製造業のマス・バランスのシビアさは、直接利益に大きく関係してくるので、企業形態が大きくなるほど「不法」なOUT PUTの処理は難しくなるわけで。
    雪印とか吉兆なんかの問題と一緒で、末路は哀れですな。
    今回ご紹介の『アールエコリサイクル』は、あきらかに「不法投棄」するゲームですよね。
    それはそれでタイトルに似非リサイクルとか付けてなければOKです。(むしろ『不法投棄』にすれば何の問題もない。)
    社会の実態と全く無関係な仕様(リサイクル・廃棄物処理の「不法投棄」のありかた)に、非合法な部分が強調されているのはどうなんでしょう。
    例えば、リサイクル業に携わる人がこのゲームに触れた時の感情は、無視するべきなんでしょうか。
    実体として「不法投棄」するのがデフォルトの社会であれば何の文句もいいませんけど、今の日本はあきらかに違いますよね。
    不自然かつ不適切なゲームですよ。

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