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イタリアの塔建築競争『パトリツィア』日本語版、12月8日発売

コロコロ堂は12月8日、『パトリツィア(Patrizier)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・M.シャハト、イラスト・デザインマイン、2~5人用、10才以上、45分、4950円(税込)。ゲームマーケット2021秋では税抜価格で先行販売される。

オリジナルはアミーゴ社(ドイツ)から2007年に発売された作品。ドイツ語版以外ではメイフェアゲームズの英語版以来となる。中世イタリアを舞台に、壮麗で高い塔を作って名誉を競うエリアマジョリティゲーム。『王と枢機卿』『ハンザ』のシャハトがデザインした。日本ボードゲーム大賞2008の投票部門で10位だったが、絶版になってからも一部の日本人ゲーマーに根強い人気がある。

手番には3枚の手札から1枚をプレイし、その色の都市に自分の色のコマを乗せて塔を作る。各都市では2ヶ所に建設でき、合計が規定数になったら、塔ごとにコマの一番多いプレイヤー(同数の場合はより上に置いたプレイヤー)が得点する。塔が高いほうが得点も高いが、マジョリティ争いも熾烈になる。

カードの補充は自分がコマを置いた都市から行い、オープンになっているため、次はどの都市に置くか計画性が求められるだけでなく、他のプレイヤーがどのカードを取るかで駆け引きもある。カードは全て使うため、終盤にどこで得点できるか、読み合いも熱い。

塔のパーツを移動できる特殊アクションや、プレイしたカードで貴族の顔を3つ集めるともらえるボーナスで逆転のドラマも仕掛けられる。最初から最後までしびれるザ・ユーロゲームだ。

日本語版にあたってはミニ拡張『代議員(Die Abgeordneten, 2008)』『使者(Die Boten, 2008)』を収録し、これに合わせてゲームボードのデザインも一部変更されている。

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持続可能な開発目標に関するカードゲーム(SDGs Cardgame)

トークから開発目標を推理

SDGsは今あちこちで注目されており、ボードゲームもたくさん制作されているが、そのほとんどは研修・セミナー用であり、ボードゲームとしての面白さが担保されているか疑わしいだけでなく、価格も妙に高い。さらに高額な公認ファシリテーター制度などセミナービジネスが横行し、SDGsのイメージを貶めていることに苦々しい思いでいる(内容的にマルチ商法・ネットワークビジネスと結びつきにくいことだけが不幸中の幸いである)。

そんな状況を知ってか知らずか、「社会派」ボードゲームデザイナーの北条投了氏が今春発表したのがこの作品。オリンピック開会式のゲームとセットで700円という価格である。各プレイヤーに配られた開発目標に当てはまるようにテーマトークをして、誰にも配られなかった開発目標が何だったかを当てる。

テーマは「ウィズコロナ」や「ボードゲーム」など、カードで指示される。トークにあたっては、自分に配られた開発目標の言葉を使ってはならず、その趣旨に合った話をする。例えば「ジェンダー平等を実現しよう」だったら、男性が多いボードゲーム会で、女性も気を遣わないで楽しめるようにしたいなど。

話が終わったら、SDGsの表を見て、誰も話さなかったと思うものを言う。誰も持っていなければOK、誰かが持っていたらアウトとなる。こうして全部挙げられれば全員の勝利(納得できるトークをするという前提で、対戦ゲームにしてもいいと思う)。

遊んでみると気づくことだが、SDGsは内容がいろいろと重複している。「安全な水とトイレを世界中に」と「海の豊かさを守ろう」は水つながり、「産業と技術革新の基盤をつくろう」と「つくる責任つかう責任」は工業つながりである。こういった発見ができるのも素晴らしい。91~94番でさりげなく社会風刺(?)を差し込んでいるのも流石だ。

芸無工房ではいつものことだが、名刺用紙にプリンタで印刷し、ジップ袋に入れるという最小限のコンポーネントで作られている。「持続可能なゲーム社会」という観点から見ても、SDGsの理念にかなったものではないだろうか。

持続可能な開発目標に関するカードゲーム(時事ネタゲーム スーパー合体シリーズ)
ゲームデザイン・北条投了/芸無工房(2021年)
2~5人用/30分
通販:ディスカバリーゲームズボードゲームショップDDT