フリーズ(Freeze)
威張ったり、へりくだったり
与えられたシチュエーションで序列を演じる寸劇ゲーム。去年のエッセン国際ゲーム祭で発売された新作で、ドイツゲーム業界で異彩を放ち続けるA.マイヤーの作品である。後で思い出し笑いするほど楽しい。
毎ラウンド4人が俳優として舞台に上がり、残りの人は観客となる。俳優は序列カードを1枚ずつもらい、自分のランクを確認。ランクは1〜4があるが、あるランクがない場合や、同じランクが2枚ある場合もある。ポイントは、お互いのランクを事前に確認できないこと。全てはぶっつけ本番の寸劇の中で、演じながら探らなければならない。
シチュエーションカードで、今回のシチュエーションを決めたら寸劇スタート。俳優は、砂時計が落ちるまでの45秒間に、シチュエーションに合わせた自分のランクを演じる。
砂時計が落ちたら「フリーズ!」。演技を止めて、まずは観客がシチュエーションを当て、次に全員でダイスで決められたランクの俳優を当てる。そのランクだと思う俳優を、みんな一斉に指差す。自分がそのランクだったら自分を、2人いると思えば両方の手で別々に、1人しかいないと思えば一方の手は天井を指差す。
正解すれば得点。また演じた側は、誰かに指さしてもらえれば得点。それ以外は失点となる。俳優を交替して次のラウンドへ。誰かが規定店に達したところで、得点の多い人の勝ち。
最初のシチュエーションは「映画の撮影現場」。スタートした瞬間、「監督!」「監督!」と皆で呼び合うが誰も名乗りでない。「じゃあ俺が監督になろうかな」とかその場で決まる場当たり展開。次は「風呂場」。皆が「お背中をお流ししましょう!」と言い合っている中で、掃除を始める人あり。ここから、ランク4の俳優は掃除を始めるのが流行した。一番笑えたのが「見張り場」。「島は見えたか?」「まだ見つかりません、船長」と言っている間に「ポー」とか言いながら通り過ぎる謎の汽船。いったいどのランクなのか分からない。
ゲームが進むにつれて、ランク4の掃除など、まる分かりの演技は全員が得点してしまうので得ではないことに皆気づく。もうちょっと紛らわしい演技をして、1人だけ当たるくらいにするテクニックが必要みたいだった。
最初は恥ずかしさもあったが、ランク1で全員に威張って指図したり、ランク4で卑屈になったりと、演技する楽しさもだんだん感じられて楽しかった。序列を重んじる日本では、ドイツとはまた違った楽しみ方ができるのではないだろうか。1位は演劇でちょっとした経験があるらしいかゆかゆさん。
Freeze
A.マイヤー&H.P.シュトール/ビーウィッチトシュピーレ(2010年)
5〜10人/10歳以上/20分
アークライト:フリーズ
私がまだゲーマーでなかった頃(1):ウノ
そこで夜遅くまで遊んだのが『ウノ』である。前の人が出したカードと、同じ数字か色があれば出し、出せなければ山札から引く。引いたカードが出せればすぐ出せるので、「来い!」などと気合を入れて引く。
盛り上がるのが特殊カード。ドロー2とドロー4で、次の人が「くそう」とか言いながらカードを引くのを見て喜ぶ。黒いワイルドカードが手札にたくさんくると嬉しいが、自分の番をやり過ごせるだけのワイルドと、次の人に4枚引かせるワイルドドロー4とでは嬉しさが雲泥の差である。
ドロー4に対してドロー4を出せると、次の人に累積していくのがまたスリルがあってよかった。「頼む、俺の番まで回ってこないで」と心の中で祈るも空しく、大量のカードを引くことになったときの悔しさったら!
「ドローツー!」「ドローフォー!」今はすっかりいい大人になった友人が、嬉々として叫んでいた声を、今でも鮮明に思い出す。
本当は知らないUNOのルールによれば、ワイルド・ドロー4を出したときに、本当に手札に同色のカードがないかチャレンジでき、あればドロー4を返せるという「チャレンジ・ドロー4」や、3回まで裏にしてカードを出せる「チャレンジ・ダウト」というルールが競技ルールとなっている。『ウノ』というと運だけのゲームとしてバカにしてかかるゲーマーもいるが、結構よくできているのではないかと思う。さすが世界80ヶ国で1億5000万個売れていて、コンビニでも売っているカードゲームだけのことはある。
ドイツ年間ゲーム大賞審査員のU.バルチ氏のブログRezension für Millionenで行われている”Als ich noch kein Spieler war”に倣って、思い出のゲームを取り上げていきます。