年間デザイナー賞にボウザ
アメリカのボードゲーム評論家L.レヴィ氏は、2010年の年間デザイナー賞(Designer of the Year)としてA.ボウザ氏(フランス)を選んだ。
この賞はアメリカのニュースサイト「ボードゲームニュース」で5年前から行われている企画。過去1年間で、デザインが最も注目されたボードゲームデザイナーを選んでいる。「ボードゲームニュース」が閉鎖したため、今年は新サイト「ジ・オピニオネーテッド・ゲーマーズ」で発表された。
大賞に選ばれたA.ボウザ氏は、昨秋にエッセンで発表されて以来、世界的な人気を集めている『世界の七不思議(7 Wonders)』の作者。ほかに『花火&生花』、『ミステリーエクスプレス』などを昨年発表している。
ほかにもB.カタラ、S.フェルト、F.フリーゼ、C.コニエツカ、W.クラマー、J.マチューズ&C.リオンハルド、M.リーネック、M.ワレスの各氏がノミネートされた。
『世界の七不思議』は国内で品薄状態が続いているが、来月末に日本語ルールが同梱された多言語版がホビージャパンから発売されることになっている。
・The Opinionated Gamers:2010 Designer of the Year
・テンデイズゲームズ:アントワーヌ・ボザフェア
スマイリーフェイス(Smiley Face)
フランスのデザイナーコンビが昨秋に発表し、アークライトから日本語版が発売されたカードゲーム。お手頃な値段ながら、妙に大きい箱のせいか、インパクトのないイラストのせいか、あるいは多めのプレイ人数設定のせいか苦戦している模様である。そういうゲームこそかえって興味が出るもので、ようやく念願の初プレイ。フランスらしくウィットに富んだゲームで、スマイルというよりゲラゲラものだった。
リリースではトリックテイキングと伝えたが、かなり異なる。1枚ずつカードを出して、何周でも出しあい、全員がパスしたところで、カードの合計の多い人が得点するのが基本。勝てないと思ったら降りて、勝ちそうな人にカードを渡して応援するという手もある。応援した人が勝っても得点。
カードは色によって毎ラウンド強さが異なり、次のラウンドに強くなるカードは前もって分かっているので温存しておくのがよい。全力で勝ちに行くか、次のラウンドに余力を残して誰かを応援するか。勝ちに行くとすれば、最初は弱いカードを出して油断させておき、後から強いカードを出したいところだが、ほかの人も同じことを考えているかもしれない。そうなったら我慢比べ。こんなふうに1枚1枚、駆け引きが熱い。
しかし、このゲームには、大どんでん返しを起こすいたずらカードがメインだと思う。カードを奪ったり、色の強弱を変えたり、応援を取り消したり、果てはラウンドの勝者をなくしたり、得点カードを奪うものまである。勝ったと思っても、最後の最後まで油断ができないし、逆に負けそうになっても、チャンスは最後まである。じりじりした駆け引きを一変させてしまういたずらカードの強烈さに、一同「台無し!」と大笑い。フランス人なら、このデザインはわざとに違いない。
いたずらカードがあることを前提に遊ぶと、定石はずれのカードプレイをしても、すごいいたずらを仕掛けてくるんじゃないかと警戒される。それでひるんだ隙に正攻法に切り替えたりして、そんな引っ掛けも楽しい。
8人まで遊べるのもこのゲームのポイントだが、いったいどんなカオスになるやら。
Smiley Face
G.ブーキン、B.フェデュッティ/アークライト(2010年)
4〜8人用/13歳以上/30分
・ふうかのボードゲーム日記:スマイリーフェイス