EL ALAMEIN(える★あらめいん限定版)、6月11日発売
アークライトは6月11日、デッキ構築カードゲーム『EL ALAMEIN(エル・アラメイン)』を発売する。2〜5人用、90分、5,250円。1000セットのみの限定生産。
『ばるば★ろっさ』の続編として昨年12月に発売された『える★あらめいん』の実写版。北アフリカの砂漠を舞台に、ドイツ・アフリカ軍団の指揮官ロンメル将軍の副官となって、自分の部隊を強化・構築しながら、潰走中のイタリア軍を踏みとどまらせ、 追撃するイギリス軍を駆逐して、スエズを目指して進撃する。
8枚のカードを自分のデッキ(=指揮下の基幹部隊)から、ゲームを始める。ゲーム中、この自分専用の最初のデッキ8枚に、新たな部隊を増援として加えながら、戦いを続け、作戦目標である敵の陣地や都市を攻め落とす。最終目標はイギリス軍の最終防衛地アレクサンドリア。ゲーム終了時に、より多くの勝利ポイントを得ていた人が勝利する。
実写版では、当時の写真60種以上を掲載。「える★あらめいん」の全プロモカードも実写化されている。
『ばるば★ろっさ』も昨年12月に実写版で限定発売され、すでに在庫切れとなっているが、流通分はまだ入手できる。萌え絵が苦手だった人は、両方チェックしてみよう。
・TGIW:BARBAROSSA、12/11限定発売
・アークライト:ばるば★ろっさ公式サイト
『ボードゲーム・ストリート2011』書評
176ページで100タイトル以上を紹介した『ボードゲーム・ジャンクション』に対し、今回は80ページで50タイトルとなっており、分量は絞られているものの、一部の同人・国産ゲームを除きほとんどが入手可能なのがうれしい。ボードゲームの寿命は近年どんどん短くなっているので、過去1年限定にしたのは正解だった。
構成は安田均氏によるゲーム紹介、秋口ぎぐる氏によるリプレイ、笠井道子氏によるライトゲーム紹介で、さらに秋口ぎぐる氏が「日本の同人ボードゲームが熱い!」と題して国産ゲームを多数紹介している。丁寧で分かりやすかった江川晃氏のレビューは、同氏がお亡くなりになったためもう読むことができない。つくづく残念なことである。
三者三様で読み応えがあるが、特に秋口ぎぐる氏のリプレイは1タイトルに5〜6ページをかけた渾身の作品。「おれの初期配置は108番、リモージュだ。フランス中部の都市だな。」(『ミスターX』)なんて、始めから引き込まれる。最後に収録されている「ボードゲーム大好き座談会」もざっくばらんで楽しそう。
安田氏は、2010年の総括として、インターナショナル性、デッキ構築型などのカード重視、ワーカープレイスメントからの発展の3つの流れを指摘する。ワーカープレイスメントについては、『プエルトリコ』で明確にその指向性が打ち出され、ドイツゲームがシビアで複雑化している一因となっているという。
ワーカープレイスメントは一般的に『ケイラス』が元祖とされているが、作者W.アティアはインタビューで『プエルトリコ』を参考にしたことを述べている。一方、てらしま氏のように、ワーカープレイスメントによって複雑なゲームを容易に習得できるという意見もある(ワーカープレイスメントの魔法)。また、私はワーカープレイスメントは2009年度の一時的な流行という認識であるが、安田氏の意見から、議論がさらに深まりそうだ。
また、「同人ボードゲーム」がどこまでを含むかというところも考えさせられる。秋口氏は「大手のゲーム会社を通さず、個人によって制作・販売が行われているアナログゲーム全般」を同人と呼ぶ一方で会社組織による作品は別という認識を示す。実際、会社組織といっても実質的に個人だったり、アマゾンなどで一般流通していたりして境界線を引くのは難しい。私は「同人」というと、個人またはサークルの「趣味」で作られ、原則イベント売り切りというものを思い浮かべるが、どうだろうか。
最後に、「邦題は流通しているものに」について、今回も配慮されていなかったのは残念である。これでは、購入したいと思ってネットで検索しても探せない。原稿執筆時点では未発売のものもあったかもしれないが、いずれも発売後1ヶ月以上経っており、変更は可能だったはず。独自の邦題をつけるのは第一人者の自負なのか分からないが、読者の利便を優先してほしい。以下、検索用に対応表を載せておく。
オートモビール→オートモービル(バネスト、テンデイズほか)
アローザ・ホテルの殺人→アロザ殺人事件(メビウス)
ディスカバー・インド→ディスカバーインディア(メビウス)
スノーテイルズ→雪国物語(ホビージャパン。※バネストではスノーテイルズ)
夜の狩人→シャドーハンターズ(メビウス)
トリックテイキング名人→トリックマイスター(メビウス)