ガッチャ!(Gotcha!)
W.クラマーに『プレムプレム』(2001年)というパーティーゲームがある。ゲーム中に配られるカードで一切の行動が制限され、間違うとペナルティーになってしまう。これをアメリカナイズして、もっと直接的に楽しめるようにしたような作品。
手番にはカードを出して「誰が」「○○しなければならない」というルールを作る。例えば「メガネをかけている人は喋る前に『閣下』という」など。そのほかに、直接置いて、その人だけが守らなければならないルールも発生する。「左の人が手番になったらスタンディングオベーション」「カードを引く前に『ブリリアント』という」など。これらのルールが重なるので、1人でいくつものルールに気を配らなければならない。
ルール違反を発見したら、付属のブザーを押す。普通に「ブー」という音がして、指摘した人は得点、指摘された人は失点。得点を重ねて先にゴールした人の勝ちとなるが……。
結構慎重にやっているつもりでも、間違いは起こるものである。間違ってはいけないという緊張感に負けるのかもしれない。一進一退で点数が動かず、競技終了となった。もっともこれは得点方法をちょっと変更すればいいだけの話で、ゲーム自体の楽しさを損なうものではない。
やっていることは楽しげだが、内実は全てルールで縛られているという葛藤。ほかの人の行動は笑いたくなるものばかりだが、自分も何かやらかすかと思うと、おちおち笑ってもいられなかった。でも、tomokさんが話しかけられるたび「私のことは無視して下さい……(Ignore me)」と言っていたのが思い出し笑いされる。
Gotcha!
作者不明/バッファローゲームズ(2011年)
3〜6人用/14歳以上/30分
国内未発売
荒野の1ドルペンギン(A Fistful of Penguins)
損得計算はシビア
動物サイコロを振ってお金を稼ぐゲーム。『ラストコール』など、コンポーネントの美しいワッツァルポーグ(アメリカ)が2011年のエッセン国際ゲーム祭で発売した。ブースでは製造が間に合わず144個しか発売されなかったため、初日で完売してしまった。
このゲームも、動物の目が描かれたダイスと、クリスタルのペンギンコマが目を引く。ダイスを取捨選択しながら振り直して、高得点を目指す。ダイスの目は、ペンギン、リス、ヘラジカ、カンガルー、ライオン、ラクダ。基本的には、同じ動物が多く揃うほど多くのお金がもらえるが、それぞれ特性がある(一覧表が配られるので、見ながらプレイできる)。
リスはほかのプレイヤーからお金を奪う。1個なら左どなりから1ドル、2個なら左どなりから1ドルとそのさらに左どなりから2ドルで合計3ドル。3個なら順番に1ドル、2ドル、3ドルと取って合計6ドル……なかなかいやらしい。
ヘラジカはリスとペアになれば9ドル。高額だが、リスがいないと0ドルになってしまう。カンガルーは1個なら1ドル、2個なら4ドル、3個なら9ドルと増え方が大きい上に、カンガルーチップをもらえて後のラウンドで、好きなカンガルーの目に変えられる特典付き。ラクダは単独でお金になり、1個5ドル。
ライオンも単独でお金になり、1個7ドルにもなる。ただし、ライオンでお金を得ると、ペンギン以外の動物が全て無効になってしまう。ライオンの目が出たとき、ライオンを増やしにいくか、ライオンを振り直すかは悩ましいところだ。
そして、このゲームのタイトルになっているペンギンは、お金ではなくクリスタルのペンギントークンをもらえる。ペンギンのダイスが1個ならトークン1個、2個なら3個、3個なら6個……。ペンギントークンを支払うと、ダイスを追加するか、振り直すことができる。ペンギントークンなしで高得点を上げるのは、よほど運がよくない限り不可能だろう。
ペンギントークンがある限り、何回でも振り直せる。これでよしとなったら、計算をしてペンギントークンやお金をもらって次の人の手番。3ラウンドで、手持ちのお金と、ペンギントークン1個1ドルで合計して多い人の勝ちとなる。
けがわさんとサシで勝負。可愛い外見とは裏腹に、どのダイスを振り直せばいくら得かというシビアな選択に常に迫られる。さらに確率計算をすれば計算機が必要なくらいだが、確率通りにいかないのがダイスゲームの醍醐味である。最終ラウンドはどちらも大量得点したが、リスでお金を奪い、私が1ドル差の勝利。
A Fistful of Penguins
J.フランクリン/ワッツァルポーグ(2011年)
1〜6人用/8歳以上/15分
ゲームストアバネスト:一握りのペンギン