クモの毒とカエルの鼻水(Spinnengift und Krötenschleim)
レシピはサイコロ、探索は記憶
『カタンの開拓者たち』の作者であるK.トイバーは、近年カタンシリーズ以外をほとんど発表していない。そんな中でエントデッカーシリーズの『砂漠の王国にて』以来4年ぶりに発表したのがこのキッズゲームである。早速、ドイツ年間キッズゲーム大賞にノミネートされた。
その内容は記憶ゲームである。サイコロで出た魔法の材料が描かれたタイルをめくってチップを集める。コスモスの大箱サイズ。
集める魔法の材料はクモの毒、カエルの粘液、臭いキノコ、バイブ草、ネズミのフン、首巻き根っこの6つ。これらのタイル各3枚に、コボルド5枚が入った23枚をボード周辺に並べる。最初に6枚だけめくり、10数える間に覚えておく。
自分の番になったら、ボード上の魔女コマを近くの魔法チップに移動する。魔法チップには穴が1〜4こついており、この数の魔法の材料を集めなければならない。サイコロを振ってタイルをめくる。当たればまたダイスを振ってタイルをめくる。こうして全て正解すれば、魔法チップと魔女の勲章をもらえる。失敗したら次の人へ。
クモはあそこ、カエルはそのとなり、キノコはこっち……各種1つくらいずつは覚えやすい。ところが探す材料はサイコロで決まるので、同じ材料が続けて出ることもある。「えっと、2つ目のネズミは……?」
魔法チップは、付属の魔法の鍋に貯金箱のようにして入れる。魔法の鍋には取り外し式の底がついており、何枚かチップを入れると底が抜けるようになっている。魔法の薬の完成である。底は7つあり、何枚入れると落ちるかはわからないところがポイントだ。
コボルドをめくってしまったらアンラッキー。手番が即終了になるだけでなく、自分以外のすべての人が勲章を獲得してしまう。これだけはめくらないように場所を覚えておきたい。
底がすべて落ちるか、ボード上にチップが2枚だけになったらゲーム終了。勲章と底の合計で多い人が勝ち。
ゲーム仲間に長女を加えて4人プレイ。星の魔法チップは材料を5枚集めなければならないが、全部見つけられると勲章を2枚もらえる。これに果敢に挑戦するか、確実に穴の少ない魔法チップを狙うかで明暗が湧かれた。クモがなかなか見つからなくて、サイコロでクモが出るとおしまいという展開だったため、星の魔法チップはなかなか取れない。着実に楽なチップを集めていた私が1点差で逃げ切り勝利。
記憶ゲームがなので集中力が要求されるが、魔法の鍋にチップを入れたときにガシャンと底が抜けるところで開放感がある。そのうち「えっ、こんなに入れたのにまだ抜けないの?」と思うことも。
Spinnengift und Krötenschleim
K.トイバー作/コスモス(2012年)
2〜4人用/6歳以上/15分
・メビウスゲームズ:クモの毒とカエルの鼻水
オーストリアゲーム賞に『サンタクルーズ』
オーストリアゲーム賞は、まず選考委員が候補作を絞り込み、ゲーム経験の少ない人が遊んで決めている。コアな愛好者が選ぶことが多いゲーム賞の中で、広く遊びやすい作品を選んでおり、ショップではドイツ年間ゲーム大賞に次いで売り上げに大きな影響を与える。
『サンタクルーズ』は配られたカードにそって、うまく得点を獲得できるように、島にコマを配置するゲーム。ほかの人のカードでも得点できるので、ほかの人の置き方から推測できると得点を増やせる。さらに後半戦はほかの人とカードを持ち替えるため、お互いの状況がもっと分かるようになる。同アカデミーは「何度も遊びたくなる魅力をもった作品」と評している。
ヒットゲームには、同じくドイツ年間ゲーム大賞の推薦リストに挙げられた『インディゴ』『カリマンボー』『ピクトマニア』が選ばれた。昨年よりたくさんの作品が挙げられたのは、新しくて革新的なボードゲームがたくさん発表されたためという。
【オーストリアゲーム賞2010】
大賞:サンタクルーズ(Santa Cruz / M.A.カサソラ / ハンス・イム・グリュック)
ファミリー部門:バオバブ(Baobab)、インディゴ(Indigo)、カリマンボー(Kalimambo)、タケノコ(Takenoko)、ボーナンザダイス(Würfel Bohnanza)
キッズ部門:キャプテンキッド(Captain Kidd)、モンスタートルテ(Monstertorte)、ウボンゴジュニア(Ubongo junior)
フレンド部門:アフリカーナ(Africana)、海賊グリ(Die Gulli-Piratten)、ピクトマニア(Pictomania)
フリーク部門:最後の晩餐(Das letzte Bankett)、メイジナイトボードゲーム(Mage Knight Das Brettspiel)
・Östreichischer Spielepreis:Spiel der Spiele 2012
・Amazon.co.jp:サンタクルーズ
ウィーン・ボードゲーム・アカデミー代表のカサン氏(中央)から『サンタクルーズ』の出版元であるハンス・イム・グリュック社員に表彰状が渡された