武士道(Bushido)
主君のために命をかけて
戦国時代末期、将軍足利家は弱体化し、天皇が新しい将軍を任命しようとしていた。12ヶ月にわたる戦いで名誉ポイントを競う。毎月のように起こる戦争で手柄を立てよう。ベルリンの出版社が発表した日本ゲーム。拡張「他人(Tanin)」も出ている。
最初はランダムに自分の陣地が決められる。田畑・お寺・街といった裕福な地形から始められることもあれば、山岳地帯ばかりなんてことも。スタート時から国力がイーブンでないとは、ドイツのゲームにしては珍しい。
六角形タイルの領地。名誉ポイント、米(=もてる兵の数)、刀(=引けるタイル数)が決まる
手番プレイヤーが「大名」となって、キャラクターカードを全員に分配する。ここがゲームの面白いところ。「侍」を受け取ったプレイヤーは、手番プレイヤーに代わって敵陣を攻め、「武士」を受け取ったプレイヤーはその敵陣を守る。自分の陣営を使って敵陣を攻撃するのが他人という代理戦争システムが変わっている。ほかに「先生」は影響タイルによって局面を変化できるほか、侍が戦に負けたときに罰を提案する。「旗本」は浪人を各地に配置して、謀反を起こさせることができる。
「侍」に任命された人は腕の見せどころ。他人の代理だからといって手を抜いてはいけない。戦に勝利すれば、侍ポイントが入り、これを茶会で使うと名誉ポイントに変換できる。逆に負ければ先生の指示で切腹させられ、せっかく貯めた侍ポイントを失ってしまうことも。
大名が戦地を決めたら、「侍」役のプレイヤーと「武士」役のプレイヤーはまず手持ちの刀チップを出す。これが基本戦力。さらに兵法チップを出して、基本戦力を変化させる。兵法チップは基本的に「一騎打ち」、「戦」、「伏兵」の3種類でじゃんけんのようになっている。勝てば基本戦力が2倍だが、引き分けだった場合は組み合わせによって両者の損害が異なる。ダメージ分の兵を減らして、攻撃側が残れば占領。
それぞれの土地にも名誉ポイントがあり、占領のたびに名誉ポイントは増減する。この部分は誰かが増えた分だけ誰かが減るというゼロサムだが、戦勝のたびに入る侍ポイントの分だけ、全体に底上げされていくようになっている。先に50名誉ポイントを集めるか、12ラウンドで最も名誉ポイントの多い人の勝ち。
3人プレイで2時間ほど。最初の土地がよかった私が快調にポイントを稼いで先行したが、要だったお寺をnagaさんに奪われる。最初は山地ばかりだったnagaさんはこれで一気にトップ。しかしその結果付け狙われることになり、代わって神尾さんがトップに踊り出た。このように目まぐるしく変わるのは、トップは「武士」(防御)に任命されやすくなり、自分の土地を守るのに戦力を費やし続けるためである。しかし神尾さんは見事追撃をかわして最終ラウンドに50名誉ポイントに到達し1位。
代理戦争のシステムが、主君のために命を投げ打って戦う侍の姿をよく表していてよい。あと「先生」というキャラクターも味わいがある。「先生、お願いします!」「今日は芸者の日じゃから戦はお休み!」「えー?!」・・・何の先生?
Bushido
M.ニーツァー、O.ヴォルフ/ゲームヘッズ(2008年)
3~5人用/12歳以上/90分
ゲームストアバネスト:ブシドー
島根・松江にプレイスペースオープン
建設会社に務めていた池田典彦氏が「地元を元気にしたい、もっともっといろんな人との出会いをボードゲームを通じて広げていきたい」という思いから脱サラして始めたお店。人と人がつながる社交場をめざし、キウイゲームズ(大阪)のような時間制のプレイスペースをメインに営業している。またドリンクバーやケーキセットを提供し、来場者がくつろいで遊べる環境を用意しているほか、ドイツ年間ゲーム大賞の受賞作品など、定番商品に関しては物販も行う(取り扱い商品は現在のところ、アークライト、メビウスゲームズ、オインクゲームズ、ニューゲームズオーダーの製品)。
開店して1ヶ月ちょっとで来店者数が約200名、会員数が80名ほど。全国的にボードゲーム愛好者の多い30代だけでなく、幅広い世代をメインターゲットとし、小学生から70歳以上の年配者まで訪れているという。今後は店舗を拠点として、出張イベントや子ども会、教育への活用、観光地(旅館・ホテル)を活用したイベント、地元団体とのコラボを進めていく考えだ。
先週末の3連休にはクリスマスイベントが開催された
写真提供:ホワイエ ピッコリーノ