今月発売されたボードゲームコミック『放課後さいころ倶楽部』で、作者の中道裕大氏が巻末に掲載したお気に入りベスト5が、愛好者の間で話題となっている。すべてドイツゲームで、シンプルなルールと適度なインタラクションが作者のツボにはまったようだ。『アグリコラ』を除けば、所要時間が45分と短めなのもポイントと思われる。
比較的新しい作品ばかりだが、すでに入手難になっているものもあり、ボードゲームスパンの短さが嘆かれる。そこで入手可能性と、同じ作者の作品を紹介しよう。
部材を集めて塔を建てる建設ゲーム。部材を取るのに手札のカードを出すが、前に出ているカードと同じ色しか出せないという縛りによって駆け引きを生んでいる。得点を増やすには塔を高くしたり、レアな部材を手に入れたりしなければならないが、それだけ競争も激しく、難しくなる。「ジレンマはあるが、息苦しくなく、初心者からゲーマーまで一緒になって楽しめるイチオシゲーム!!」(中道氏)W.クラマー&M.キースリング作、ラベンスバーガー社(ドイツ)、2~4人用、9歳以上、45分、2010年。ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート、ドイツゲーム賞5位、オーストリアゲーム賞大賞を受賞。
現在、日本国内の流通はなく、ヤフオクか個人輸入でしか入手できない。作者のクラマーとキースリングはコンスタントに新作を発売しており、『カッラーラ』(2012年)『炭鉱讃歌』(2013年)であれば入手が容易だろう。
中世ヨーロッパが舞台の農業ゲーム。資材を集めて家を増築したり、牧場を作って家畜を飼ったりする。さまざまな効果をもったカードの組み合わせにより、毎回多様な戦略が楽しめる。ルールも所要時間も長いゲームであるにも関わらず、『ドミニオン』と並んで熱烈なファンが多い。「膨大な枚数のカードもあいまって、一生遊べるヘビーゲーム!」U.ローゼンベルク作、ルックアウトシュピーレ社(ドイツ)、1~5人用、12歳以上、30~150分、2007年。ドイツ年間ゲーム大賞特別賞、ドイツゲーム賞1位、国際ゲーマーズ賞1位など。
日本語版は現在品切れとなっているが、定期的に入荷しているので、焦らずに待つとよいだろう。作者のローゼンベルクの作品はほかにも『ル・アーブル』(2008年)『祈り、働け』(2011年)『アグリコラ:牧場の動物たち』(2012年)などたくさん日本語版になっている。
カードを出して5つのコースにあるコマを進めるすごろく系のゲーム。少し進んだだけで終わるとマイナスなので、進むか、進まないでおくかのジレンマがある。「シンプルなシステムだけど、悩ましいジレンマがあって大好きなゲーム!」R.クニツィア作、コスモス社(ドイツ)、2~4人用、10歳以上、30分、2008年。ドイツ年間ゲーム大賞受賞、ドイツゲーム賞8位。
日本国内の流通は店頭在庫程度。作者のクニツィアは昨年来日しており、そのときに発表された『京都』(2013年)ほか、ジレンマあふれる作品がたくさんある。
フランスの城塞都市を広げていくタイル配置ゲーム。毎年世界選手権があり、今年も国内予選が行われることになっている。「最初はピンと来なかったけど、タイルの構成を覚えたらとたんに楽しくてしかたなくなった!」K.J.ヴレーデ作、ハンス・イム・グリュック社(ドイツ)、2~5人用、8歳以上、40分、2000年。ドイツ年間ゲーム大賞受賞、ドイツゲーム賞1位。
日本語版は2009年に発売され、切れることなく流通している。拡張セットもたくさん発売されているので組み合わせて遊ぶのも楽しい。
建物や人を配置していく西部開拓ゲーム。出したカードの座標に配置して、建物と人がとなりあうところに置かれると得点になる。「オーソドックスで地味だとか言われるがいいの! 素直でわかりやすくて大好き!!」H.ベルイ、A.ベルイ作、ハンス・イム・グリュック社(ドイツ)、2~4人用、8歳以上、45分、2007年。作者はノルウェー人夫婦で、翌年に北欧版が発売され、スウェーデン、フィンランドの年間大賞にノミネートされている。
日本国内の流通はすでになく、ヤフオクか個人輸入でしか入手できない。同じ作者の作品としては『ラッタス』(2010年)、『パケット・ロウ』(2013年)がある。
ツイートでは6位以下も挙げられている。こちらも時間が短めの作品が多い。
ちなみに現在のお気に入りボードゲーム、6位から10位は『ラブレター』、『お邪魔者』、『ティカル』、『バトルライン』、『ロビンソン漂流記』となっております。バトルライン大会があるなら練習して出てみたい(>_<)
— 中道裕大 (@shimaneko555) 2014, 2月 15
作者は「まだ遊んだことのない名作は山のようにあるので明日にでも変動する可能性はあります」「このランキングを見て『じゃあ、中道クンこれも好きなんじゃないかね』というゲームソムリエの皆様はぜひおすすめゲームを教えてください」と書いてあり、これからどのように変わっていくかも注目される。