『アンドールの伝説:新たなる勇者たち』日本語版、7月11日発売
2014年にコスモス社(ドイツ)から発売された拡張セット。『星の盾』『北方への旅立ち』に続く第3弾となる。この拡張セットには、これまでのシリーズでは登場しなかった勇者たちが収録されており、最大プレイ人数を4人から6人に増やすことができる。新たに収録された勇者たちは「河畔の番人」、「南の森の追跡者」、「<嵐の谷>のタル族」、「闇の文書館の守護者」の4人。それぞれバラエティに富んだ能力を盛っており、今までとは違うパーティーでアンドールの世界を冒険できる。
さらに「絆の盾」「酔いどれトロール」「水の精」「早起き鶏」などのゲームバリエーションが収録されており、ゲームの難易度を変えることができる。これらの要素を好みで加えて、今まで遊んだ物語を再プレイするのも楽しいだろう。
3人で遊ぶ、入口に戻るという選択
4人よりも3人のほうが楽しいボードゲームが増えてきたと感じたことはないだろうか。原因として考えられるのは、インタラクションの減少、人数別コンポーネントの調整もあるが、私にとっては所要時間が一番大きい。
1人30秒なら3人プレイで待ち時間は1分、4人プレイで1分半。これくらいならあまり差を感じないが、1人1分だと3人プレイで2分、4人プレイで3分。それ以上かかると「クソゲー」(トイレで大をしてきてもまだ自分の手番でないゲーム)だ。3人でプレイ時間が2時間のゲームだったら4人だと3時間近くなる。休憩なしでぶっ続けで遊ぶにはつらくなり始める時間だ。それだけ、選択肢の多いゲームが増えてきたということだろう。
ボードゲームの二極化は、ミニマルでライトなゲームと、重厚長大なゲームの両極端を生み出した。そしてゲーマーは重厚長大の極端の中で、さらに極端なものを求める。このニーズに応えるかたちでどんどん複雑なゲームが生まれ、評価されているのが現状である。
年のせいかもしれないが、そのようなゲームを遊んでいると人間の処理能力を超えていると思うことが私にはしばしばある。多様な選択肢があり、そのどれを組み合わせれば一番勝利に近いのかを、ほかの人の状況も踏まえながら判断していかなくてはならない。脳汁が出まくるのは確かだが、終わった後、心地よいとはいえないぐらい疲れが残ることもある(そりゃ年のせいだと言わないで!)。
「気にすんな お前が弱いんじゃねえ ゲームが難しすぎるんだ」(伊達臣人)
こんな重ゲーリタイヤ気味は私だけかと思ったら、E.マーティン氏もそうだと聞いて安心した。概要を聞いてどんなゲームかをレポートするだけで、『カヴェルナ』も『テラミスティカ』も遊んだことはないという。
そのような重ゲーリタイヤ気味として注目しているのは、ドイツ年間エキスパート大賞ノミネート作品だ。この賞は2011年から始まって今年で5年目を迎えるが、当初からエキスパート/フリーク/ゲーマーの入口にいる人を対象としている。本当のエキスパート/フリーク/ゲーマーは自分で選べるでしょ?というスタンスである。そのためロシアンレールロード、テラミスティカ、祈り働けは推薦リスト止まりだ。
フリークの世界にいる人たちが、入口まであえて戻ってみると、そこにはほどほど遊びやすい作品が待っている。ブルームサービス、エリジウム、オルレアン。今年もノミネート3作を、全部遊んでみるつもりだ。