3人で遊ぶ、入口に戻るという選択
4人よりも3人のほうが楽しいボードゲームが増えてきたと感じたことはないだろうか。原因として考えられるのは、インタラクションの減少、人数別コンポーネントの調整もあるが、私にとっては所要時間が一番大きい。
1人30秒なら3人プレイで待ち時間は1分、4人プレイで1分半。これくらいならあまり差を感じないが、1人1分だと3人プレイで2分、4人プレイで3分。それ以上かかると「クソゲー」(トイレで大をしてきてもまだ自分の手番でないゲーム)だ。3人でプレイ時間が2時間のゲームだったら4人だと3時間近くなる。休憩なしでぶっ続けで遊ぶにはつらくなり始める時間だ。それだけ、選択肢の多いゲームが増えてきたということだろう。
ボードゲームの二極化は、ミニマルでライトなゲームと、重厚長大なゲームの両極端を生み出した。そしてゲーマーは重厚長大の極端の中で、さらに極端なものを求める。このニーズに応えるかたちでどんどん複雑なゲームが生まれ、評価されているのが現状である。
年のせいかもしれないが、そのようなゲームを遊んでいると人間の処理能力を超えていると思うことが私にはしばしばある。多様な選択肢があり、そのどれを組み合わせれば一番勝利に近いのかを、ほかの人の状況も踏まえながら判断していかなくてはならない。脳汁が出まくるのは確かだが、終わった後、心地よいとはいえないぐらい疲れが残ることもある(そりゃ年のせいだと言わないで!)。
「気にすんな お前が弱いんじゃねえ ゲームが難しすぎるんだ」(伊達臣人)
こんな重ゲーリタイヤ気味は私だけかと思ったら、E.マーティン氏もそうだと聞いて安心した。概要を聞いてどんなゲームかをレポートするだけで、『カヴェルナ』も『テラミスティカ』も遊んだことはないという。
そのような重ゲーリタイヤ気味として注目しているのは、ドイツ年間エキスパート大賞ノミネート作品だ。この賞は2011年から始まって今年で5年目を迎えるが、当初からエキスパート/フリーク/ゲーマーの入口にいる人を対象としている。本当のエキスパート/フリーク/ゲーマーは自分で選べるでしょ?というスタンスである。そのためロシアンレールロード、テラミスティカ、祈り働けは推薦リスト止まりだ。
フリークの世界にいる人たちが、入口まであえて戻ってみると、そこにはほどほど遊びやすい作品が待っている。ブルームサービス、エリジウム、オルレアン。今年もノミネート3作を、全部遊んでみるつもりだ。
『レジスタンス』拡張2タイトル、6月下旬
どちらもインディー・ボード&カード(アメリカ)が2014年秋に発売した作品。『極秘任務』は3つの新ルールを加える。政府データベースへのアクセスができるレジスタンス司令を暗殺することを目指す「暗殺者」、いずれの側に立つか、葛藤し続ける「離反者」、政府に紛れ込んだスパイをあぶりだす「罠」を導入できる。
これらのルールは好みによって自由に組み合わせられるので、遊ぶたびにさまざまな展開を楽しめるだろう。このところ『レジスタンス:アヴァロン』ばかり遊んでいるという方も、この機会に『レジスタンス』を遊び直してみてはいかが。