はんか通骨董市(Curio Collectors)
切り分けの意地悪
商人たちが集めるのは茶器、屏風絵、刀剣、水墨画、和楽器、木彫、書物といった渋いアイテムたち。何しろ「はんか通」なので、ほどほどに集めるのがちょうどいい。どのアイテムも、集めすぎると失点になってしまう。
さて毎ラウンド、これらのアイテムが一列に並べられる。どれがほしいかなー? ここで斬新な分配方法が登場する。それは列をどこかで分けて、皆でどちらか好きな方を選ぶというものだ。分けるのは「仕切」というプレイヤーで、時計回りに交替していく。半々に分けてもいいし、1枚と残り全部に分けてもいい。
分けた片方に「甲」、もう片方に「乙」として、全員がカードでどちらかを選択。一斉にオープンして、バッティングしなかったら(選んだのが1人だけだったら)、アイテムをゲットする。拒否権はないので、取りすぎには注意しよう。
バッティングした場合は保留となり、そこにアイテムが2つ以上あれば、再び「甲」と「乙」に分けて選択する。こうして、アイテムはどんどん細かく分配され、最終的にみんながアイテムを取るか、分配できなくなるまで続けてラウンド終了となる。
誰も選ばなかったアイテム、割り切れなかったアイテムは「千両箱」に置かれ、アイテムの列に並んでいる「元締」というカードを取った人が総取り。「元締」は次のラウンドの最初の「仕切」ができるので有利だが、手に入るアイテムをコントロールできない点で嬉しくないことが多い。5ラウンドを行って得点計算。
アイテムは、種類ごとに限界枚数までならば額面の得点、それを超えると失点になってしまう。そのほかに無条件で得点になる宝石カード、失点になる大火カードを加えて、得点の多い人が勝つ。
6人プレイで30分ほど。第1ラウンドでぽちょむきんすたーさんがいきなり大量ゲット。しかし羨むところではなかった。その後、1枚でもいらないアイテムがあると尻込みせざるを得なくなり、失点してしまうアイテムも多々。結局、序盤は少なく集めて、調整しながら少しずつ手に入れるのが強かったが、取らなさ過ぎても得点がなくなる。調整が難しいが、みんなを唸らせる分け方ができると実に気持ちいい。この分け方にクリエイティビティがあって、どんどん奥が深くなっていく作品だ。
はんか通骨董市
林尚志/OKAZU Brand(2015年)
3~6人用/8歳以上/30分
ゲームマーケット2015秋:新作評価アンケート結果、1位は『ナショナルエコノミー』
新作評価アンケートはゲームマーケット終了直後から1ヶ月にわたり、ウェブで行われたもの。前回まで当サイトで行われていたが、今回からゲームマーケット事務局に移管された。誰でも投票することができ、各ゲームを5段階で評価したものを、とても面白い=5~全く面白くない=1として数値化し、総投票の約1割にあたる34票以上でランキングした。
結果は以下の通り。1位の『ナショナルエコノミー』はワーカープレイスメントで国民的大企業を目指すゲームで、お金が循環する独創的なシステムが話題を集めている。2位の『Bidders!』は公共事業に入札するゲームで、3種の競りが楽しめる作品だ。3位は『DARK ASSEMBLY~暗黒議会~』は、魔界の政治を題材にした重量級ワーカープレイスメントゲーム。
サークル別では、初出展のするめデイズが発表した3タイトル(『擬音フェスティバル』『曖昧フェイバリットシングス』『たのめナイン』)が全て10位以内に入るという快挙を果たしている。
このアンケートはゲームマーケット大賞の一次選考を兼ねており、評価平均、評価数で上位各5位は自動的に一次選考を通過する(このほかに審査員推薦あり)。今回は『ナショナルエコノミー』『Bidders!』『DARK ASSEMBLY~暗黒議会~』『擬音フェスティバル』『セブン』『はんか通骨董市』『ヴィレッジオブファミリア』『ナインタイル』『てづま師』『ミツバチマッチ!』の10タイトルがこれに該当する。
ほかに、規定投票数に達しなかったものの評価が高かった作品として、『さいころ館の鬼ごっこ』(楽々亭)、『世界イセキ発見』(カワサキファクトリー)、『Cat’s Party』(YAMATO GAMES)が挙げられた。
ゲームマーケット公式:【結果発表】ゲームマーケット2015秋:国産新作評価アンケート