どのネコがスパイなのか?『チェックポイントチャーリーの捜査犬』日本語版、6月中旬発売
冷戦時代、調査機関の捜査犬たちが、ベルリンの壁の検問所でスパイのネコを競って見つけるカードゲーム。オリジナルはデヴィル社(スペイン)が2016年に発売した作品で、ディアシュピールが英語版を販売し、この度日本語版に切り替えられることになった。
はじめに各プレイヤーが、帽子の有無、眼鏡の有無、服装、毛並み、新聞の有無という5項目を決める。カードはこれらの組み合わせが全パターンあり、全てを満たすネコは1匹しかいない。手番にはカードをめくり、自分が知っている要素に合致していれば「容疑猫」としてテーブル中央に置き、合致していなければ捨て札にする。これを繰り返していくうちに、ほかの要素もだんだん分かり、スパイが絞りこまれていく。
しかし推理はゆっくりしていられない。スパイはこのカードだと思ったらいつでも、自分のチップを置いて告発できる。先に告発チップを置かれたカードにはもう置けなくなるので、直感や思い切りも必要だ。最後に答え合わせをして、告発が正しかったプレイヤーはスコアマーカーをもらえる。無実の猫を告発してしまうと、失点になってしまうので慌ててもいけない。
瞬時の判断力が問われる推理ゲームで、テンポのよい展開のため、ファミリーやパーティーで楽しむことができる。
T.I.M.E ストーリーズ(T.I.M.E Stories)
記憶が曖昧になるのでまた遊べる
タイムワープで時空を移動し、行き先で事件を解決する協力型謎解きゲーム。ナラティブの手法を用いた一回限りのゲームで話題となり、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞、フランス年間ゲーム大賞エキスパート部門、国際ゲーマーズ賞、ゴールデンギーク賞などにノミネートされている。
基本セットには1921年のフランスの療養施設を舞台としたシナリオ「療養所にて」が入っている。患者から情報を集め、謎を解いていこう。
一回限りのゲームといっても、1回目でクリアすることはほとんどない。何回もプレイしてやっと事件を解決できるので、コストパフォーマンスは悪くない。なぜ何回もプレイしなければいけないかというと、ゲーム中に多彩な枝分かれがあり、最短ルートを探さなければならないからだ。寄り道しているとゲームオーバーになってしまう。
ゲームの流れはまず、場所カードが何枚か並べられ、その中から各自好きなカードを選んで中を読む。カードによってアイテムやトークンを獲得したり、ダイスを振って戦闘したりしていく。その場所の探検が一通り終わったら、全員で相談して次の場所を決める。その場所のカードがまた何枚か並べられ、同じように好きなカードを選んで情報を集める……こうして場所を移動しつつアイテムを集めていくと、最後の謎の手がかりが集まるようになっている。
ゲームブックでは?と思う方もいらっしゃるが、ボードゲームらしさはプレイヤーの情報分散にある。各自自分が見たカードはほかの人に見せてはならず、その中の情報を言葉で伝えたり、記憶にとどめたりしておかなければならない。何気ない情報も後になって大事になってくるので、自分が訪れたカードはしっかり見ておこう。
今回は4人で5時間、4ゲームほどでようやくクリアできた(ルール的には何ゲーム目かで時間無制限になるが、時間がいくらあっても謎が解けなければクリアできない)。ネタバレになるので肝心の謎解き部分については詳細を控えるが、謎解きについてはメンバー一同が若干腑に落ちない感じだったたとだけ書いておく。難易度は高い。
1ゲーム終わるたびに、薄れゆく記憶を頼りに、「ここに行くべきだった(行かなくてもよかった)」、「ここにはまだ行っていない」などととあーだこーだ語り合えるのが楽しいゲームである。
T.I.M.E Stories
ゲームデザイン・P.シャスネ&M.ロゾワ/イラスト・B.カールほか
スペースカウボーイズ(2015年)+ホビージャパン(2017年)
2~4人用/12歳以上/90分