ボードゲーム売上ランキング2017まとめ
年末から年始にかけて、ボードゲームショップや日本語版出版社で2017年1年間の売り上げランキングが発表されているのでまとめ。ショップによって品揃えが全く異なるため比較はできないが、ランキング不動のものは定番といってよく、新作でランクインしたものは評価されているものとして注目できるだろう。
各ランキングのリンク先では11位以下も見ることができる。カッコ内は原語タイトル。原語タイトルがないものは国産ゲームであることを表す。リストに遊んでいないゲームがあったら、どこかで試してみよう。愛好者個人による昨年のベストボードゲームランキングはこちら
メビウスゲームズ
1位:ワードバスケット
2位:ごきぶりポーカー(Kakerlakenpoker)
3位:おばけキャッチ(Geistesblitz)
4位:ハゲタカのえじき(Hol’s der Geier)
5位:ニムト(6 nimmt!)
6位:ガイスター(Geister)
7位:お邪魔者(Saboteur)
8位:カルカソンヌJ(Carcassonne)
9位:ぴっぐテン(Pig 10)
10位:ヒューゴ(Hugo)
メディアで紹介されたワードバスケットが2年ぶり1位。新作はコンプレットが13位、デジャブ14位、グリュックス18位で10位以内に新作なし。
ホビージャパン
1位:ドブル(Dobble)
2位:パンデミック:新たなる試練(Pandemic)
3位:ドミニオン:第二版(Dominion)
4位:ディクシット(Dixit)
5位:コードネーム(Codenames)
6位:宝石の煌き(Splendor)
7位:アイスクール(Icecool)
8位:ドミニオン:帝国(Dominion: Empire)
9位:T.I.M.Eストーリーズ(T.I.M.E.Stories)
10位:ダイスフォージ(Dice Forge)
3位まで昨年と同じ。新作は『アイスクール』が最上位で、6位まで新作なし。
テンデイズゲームズ
1位:キングドミノ(Kingdomino)
2位:私の世界の見方(Wie ich die Welt sehe…)
3位:ドクターエウレカ(Doctor Eureka)
4位:テレストレーション(Telestrations)
5位:四人の容疑者
6位:ゴーゴージェラート(Go Go Gelato)
7位:インフェルノ(Inferno)
8位:テラミスティカ・ガイアプロジェクト(Gaia Project)
9位:クイーンドミノ(Queendomino)
10位:ハーフパイントヒーローズ(Half-Pint Heroes)
さすがドイツ年間ゲーム大賞。こちらも定番化が進んでいるみたい。
イエローサブマリン
1位:犯人は踊る 第三版
2位:ハコオンナ
3位:ダンジョンブマンダム エイト
4位:ナンジャモンジャ・ミドリ 日本版(Toddles-Bobbles)
5位:桜降る代に決闘を 第壱拡張:夜天会心
6位:コヨーテ(Coyote)
7位:ラブレター
8位:桜降る代に決闘を 第弐拡張:機巧革命
9位:Not My Fault!~俺のせいじゃない~
10位:桜降る代に決闘を 第二幕
『桜降る代に決闘を』シリーズが好調。
ゲームストア・バネスト
1位:イクジット(脱出:ザ・ゲーム)シリーズ(Exit: Das Spiel)
2位:キングドミノ(Kingdomino)
3位:サント・ドミンゴ(Sant Domingo)
4位:ズーポリス(Zoo Police)
5位:スラフ・オフ!(Sluff Off!)
独自の輸入ゲームが並ぶ中、『キングドミノ』が入り込む。
ディアシュピール
1位:プライバシー日本版(Privacy)
2位:クランク!(Clank!)
3位:チェックポイントチャーリーの捜査犬(Checkpoint Charlie)
4位:ボブジテン
5位:クランク!沈む財宝(Clank!: Sunken Treasures)
6位:フューズ(Fuse)
7位:狩歌
8位:ルールの達人
9位:メモアァーール!(Memoarrr!)
10位:グリュックス(Glüx)
卸売ランキングでは『チェックポイントチャーリーの捜査犬』が1位。
インプルーブメント・オブ・ザ・ポリス(Improvement of the Polis)
急激な成長を実感
紀元前9世紀の古代ギリシャを舞台に、自分が受け持つポリスを特性を活かして成長させるボードゲーム。ゲームマーケット2017秋で初出展の慶應義塾大学ボードゲームサークルHQが製作したもので、成長の喜びに心躍るエキサイティングな作品である。
各自個人ボードをもち、アテナイ、スパルタ、テーバイなどからポリスカードを1枚与えられる。ポリスカードには、進歩するとどのような能力や効果が得られるかが書かれており、アテナイなら政治、スパルタなら軍事、コリントスなら文化、テーバイなら経済というように得意分野がある。基本的に、この得意分野に沿ってポリスを成長させていくと得点が高い。
ゲームは9ラウンドにわたって行われる。はじめにこのラウンドのイベントが告示される。全員に収入などが入ったり、何かが1位の人にメリットがもたらされたりするが、解決はラウンドの最後。このイベントを考慮してこのラウンドの行動を決めよう。
各プレイヤーはダイスを振り、そのダイスにアクションカードを割り当てる。アクションカードは1の哲学、立法から6の進歩まであり、数字が高いアクションカードほど、高い出目が求められる。出目が足りない場合は「市民」を支払って補えるが、それも限りがあるのである程度まではダイスの目に従うことが求められる。運の要素はあるがそれほど高くない。
全員割り当てたらアクションカードを公開し、1から順にプレイしていく。ここがゲームのメインである。通常は2アクション、文化レベルを上げれば途中から3アクションができる。ダイス目は一応選択の指針になるが、自分のポリスの特性、手持ちの政治カードの内容によってアクションは変わる。どれもやりたいことばかりで困る。
1:哲学-いろいろな使い方ができる哲学カードを1枚得る。
1:立法-政治カードを1枚と、市民3を得る。
2:文化-文化レベルだけ勝利点を得る。
3:交易-経済レベルに応じた収入が入り、知識を1つ購入できる。
4:軍拡-軍事レベルに応じた兵力を得て、その兵力で植民を行い、知識や報酬を得る。
5:政治-手札の政治カードをプレイし効果を得る。効果の高い政治カードほど多くの知識が必要。
6:進歩-自分のポリスを1段階レベルアップさせ、能力を開放する。
アクションが終わったらお金を払って文化、経済、軍事のレベルを上げることができる。レベルを上げることにより、税収や栄誉などが上がることもある。そしてラウンドの最初に公開されていたイベントを解決して次のラウンドへ。9ラウンドで最後に、ゲーム中に入った勝利点に、ポリスや政治カードによるボーナス、そして栄誉×特別な知識(上級の植民によって得られる)の数を足し合わせて勝利点を競う。
4人プレイで1時間弱。私のポリスはアルゴスというバランス型だったので、政治カードのコンボでアドバンテージを目指した。交易のたびに収入などが増える「ディオルコス」をもとに、経済レベルを上げて、最後は持ち金を勝利点にする作戦である。その間にアテナイのくさのまさんは政治カードをどんどんプレイし、スパルタのbashiさんは強大な軍事力を背景に植民を進めていく。最後はくさのまさんが政治カードとポリスの能力を掛け合わせるかたちで得点を伸ばし1位。
通常のアクションがそれほど強くなく、政治カードやポリスの能力が乗っかることで効果を発揮する。ほかのプレイヤーをさしおいて、「そんなことできるようになっていいの?」という思うぐらい有利になるのが快感(ほかのプレイヤーはまた、別のところで有利になっているわけだが)。ポリスが変われば戦略も大きく変わるが、どんな政治カードを引くかによっても展開が変わるため、繰り返し遊びたくなる作品である。各カードにイラストを加えて再版してほしい。
Improvement of the Polis
慶應Head Quarter Simulation Game Club(2017年)
2~4人用/12歳以上/45~60分
・精神科医のボードゲーム日記:【デザイナーインタビュー】慶應HQ:Improvement of the POLIS