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オインクゲームズより『トマトマト』『フロッサムファイト』8月4日発売

オインクゲームズは8月4日、カードゲーム『トマトマト』『フロッサムファイト』を発売する。『トマトマト』はゲームデザイン・加藤大晴、3~6人用、6歳以上、20分、2200円(税別)。『フロッサムファイト』はゲームデザイン・マルタトモユキ、3~6人用、8歳以上、30分、2200円(税別)。本日18時から、東京・上野のボードゲームカフェ「コロコロ堂」にて、特別価格で先行販売される。
『トマトマト』は創作ゲームサークル「BGLAB(ビージーラボ)」がゲームマーケット2018春に極小部数出展したカードゲーム。「トマト」「マト(的)」「マ(魔)」「ト(戸)」の4種類のカードを1人ずつめくって並べ、すべてのカードをひといきに読みあげる。はじめは「トマト」だけなのが、次第に「トマトト!」「トマトトマトママトマ!」と難しくなっていく。うまく言えると気持ちよく、うまく言えないのもおかしい、大笑いして遊べるパーティゲームだ。
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『フロッサムファイト』はボードゲームショップ「ケンビル」がゲームマーケット2017秋に出展した『バイバイレミング』のリメイク&海外版。テーマが変わって、探検家たちが沈み始めた船から脱出ボートに財宝を移すゲームとなった。財宝にも脱出ボートにも数字が書かれており、財宝はその約数が書かれたボートにしか積むことができない。積み込みやすさの違うさまざまなカードをうまく見きわめて、相手を出し抜き自分の財宝をすべて積み込むことができるか、駆け引きが熱いカードゲームだ。

『新作先行販売&体験イベント
ーふたつの新作に出会う夏ー』を開催します。会場では、この夏発売の新作ボードゲーム『トマトマト』『フロッサムファイト』の2作を同時先行販売いたします。
発売を記念して本日、東京・上野のボードゲームカフェ「コロコロ堂」で新作先行販売・体験イベントが行われる。18:00~20:45、入場無料。その後21時から、チャリティオークションが開催される。絶版の『スタンプス』や作者サイン入り『モダンアート』などレアな品物が出品され、落札金額は全額西日本豪雨の義援金に寄付されることになっている。司会はほらボド!のmomi氏。こちらはウェブサイトから要事前申込。

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3つ以上のコミュニティに響くかどうか

『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(石川善樹・吉田尚記、KADOKAWA)で流行の話が出てくる。エンタテインメント業界は「いかに流行をつかむか、つくるか」が肝で、社会学者M.グラノヴェッターの「弱い紐帯の強み」=新しい情報はオピニオンリーダーよりも弱いつながりから入ってくるという説を紹介している。
その後で石川氏が、人がクチコミを信じる条件として、3つくらいの別々のコミュニティから薦められると乗っかる可能性が高くなるという見解を出している。例えば音楽業界でアニソンは売れると言われているのは、作品のファン、主題歌を歌うアーティストのファンをすでに持っており、もう1つのコミュニティに響くだけでよいからではないかという。複数ノコミュニティが単純にコラボするのではなく、何らかの接点を見つけることでヒットする。

だから何か企画を考えるときは、「これは異なる3つのコミュニティにウケるか」という視点をもつのは、いい気がしますね。

この話を、ボードゲームに落とし込めないか考えている。ボードゲームにはまず、ボードゲーム愛好者というコミュニティが確かに存在するが、それだけでは広がらない。ボードゲームカフェにコアなボードゲーム愛好者はなかなか行かないものである。遊ぶゲームはたくさん所有しており、遊ぶ場所も自宅なり、公民館なり安く確保でき、仲間もクローズで集められるからだ。だから長らくボードゲームは「密かなブーム」であり続けてきた。
そうなるとあと2つ、ボードゲームを支持している(または支持しうる)コミュニティは何か。
ひとつはカップル(既婚・未婚)という最小のコミュニティである。彼女たちは2人で一緒に過ごすツールとして、映画・カラオケなどと並んでボードゲームを支持する。2人専用ゲームがコアなボードゲーム愛好者はなかなか遊ばないのに好調なのは、このコミュニティの影響力にちがいない。カップルは、ボードゲームカフェにもよく訪れ、水入らずでボードゲームを楽しんでいる。
次に、アナログゲーム系のコミュニティとして、TCG、TRPG、謎解きゲーム、人狼などの愛好者には、ボードゲームも支持する人も多い。『ドミニオン』、ダンジョン・SFもの、『EXIT』『アンロック』シリーズ、正体隠匿ゲームなど、橋渡しをするボードゲームが数多く存在することで流入が容易になっている。ボードゲームカフェにも、彼らのような愛好者向けのイベントを企画しているところもある。
サブカル系(特撮、アニメ、アイドルなど)や、オタク系(パソコン、コンピュータゲーム、クイズ、模型、鉄道、格闘技など)のコミュニティもボードゲームと相性がいいようだ。こちらは特定のボードゲームが橋渡しをしているというわけではなく、フェティシスティック・マニアックな楽しみ方ができるという共通性で支持を集めているといえる。
また、『プレイジデントファミリー』などの教育雑誌でボードゲームがたびたび取り上げられていることから、親子や子どものコミュニティにもウケているといえる。幼稚園や保育園、小中学校、学童保育、子ども会などで活用されるケースも増えてきている。
現時点ですでにこれら複数のコミュニティがボードゲームを同時に支持し、それが一定のブームを生んでいると見られるが、ほかにも今後ボードゲームを支持しうるコミュニティはないだろうか。高校・大学生、企業・団体、ボランティア組織、女性団体、高齢者団体といったところも徐々にではあるがボードゲームを受容しつつある。ボードゲームカフェでは学割を導入したり、出前したり、イベントを打ち出しているところもある。これが広がれば、職場の同僚と、家族と、近所の人がボードゲームを同時に薦めてきてやってみたくなるということが起こるのかもしれない。