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ミヤビ(Miyabi)

起伏にとんだ地形で日本庭園づくり
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石、つつじ、もみじ、池の鯉、お堂の5種類を起伏をつけて配置して、美しい日本庭園を作るタイル配置ゲーム。ハバ社がファミリーゲームのラインナップもリリースして5年目、『アズール』シリーズが好調のキースリングがデザインした。
毎ラウンド、場に並んだタイルから1枚ずつ取って自分のプレイヤーボードに配置していく。タイルにある石やお堂の数だけその都度得点が入り、規定ラウンド終了後に各種のマジョリティーを競う。
配置のルールは、縦横にしばりがある。横の各行は配置できるものが決まっており、例えば石は一番下の行にしか置けない。縦の各列は1ラウンドにつき1回しか得点が入らず、満遍なくタイルを配置していかなければならない。キースリングの『ヴァイキング(ハンス・イム・グリュック、2007)』を彷彿とさせるこの2つのルールだけでも相当悩ましいが、考えることはほかにもある。
ひとつはタイルを重ねておくと、得点が上がること。2段目は2倍、3段目は3倍と『ナンバーナイン』式に得点が上がっていく。大きいタイルほど得点が高いが、置くためにはその下のマス全てにタイルがあることが必要で、高くなるほど難しい。最高の5段目まで先に積み上げることができればボーナスもあるが、すでにあるものを上書きしなければならなくなるだろう。
上書きすると困るのが最終得点計算である。ゲームが終わると、石やお堂が盤上にいくつ見えているかで一番多い人と二番目に多い人にボーナスが入る。そのため、ゲーム中から「この池はつぶしても1位は守れる」などと他のプレイヤーの動向を見ながら取るタイルを考えなければならない。
3人プレイで45分くらい。運の要素は、各ラウンドの最初に場に並べられるタイルの組み合わせだけで、『アズール』と同じくらいである。考えればきりがないようでいて、選択肢はさほど多くないため、ほどよい考えどころが心地よい(このあたりがキースリングの新境地といえるのかもしれない)。「あなたがそのタイルを取るなら私はこれを取る」みたいな駆け引きもあって、インタラクションもほどよい。
リプレイアビリティについても、指定されたパターンを作るとボーナスとか、1段目から登っていくカエルコマなど5つの拡張が入っており、1つずつでも、複数を組み合わせてもプレイできる。ドイツゲーム的で隙のないデザインに、今回のエッセン・シュピールのトレンドのひとつである和テーマ、非常に堪能できるボードゲームである。
Miyabi
ゲームデザイン・M.キースリング/イラスト・R.アムトール
2~4人用/8歳以上/45分
ハバ(2019年)

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国際ゲーマーズ賞2019に『ルート』『リンカーン』

国際ゲーマーズ賞(International Gamers Awards)選考委員会は25日、エッセン・シュピール内の「ボードゲームギーク」ブースにて、今年の大賞作品を発表し、表彰式を行った。先月に発表されていた「一般ストラテジー部門」14タイトル、「2人用ストラテジー部門」6タイトルのノミネート作品の中から(TGiWニュース)、最終投票により『ルート』と『リンカーン』がそれぞれ大賞に選ばれた。
『ルート』はレダ―ゲームズ(アメリカ)からリリースされた作品で、それぞれ手番でできることも違う4種族の動物たちが、それぞれ異なる目的に沿って、勝利点を競う非対称ゲーム。オリジンズ賞やゴールデンギーク賞などアメリカで高い評価を受けた。日本語版がアークライトから取り扱われている。『リンカーン』はM.ウォレスの2人専用ゲームで、PSCゲームズ(イギリス)から昨年発売された。今回は、どちらもドイツ語版がないのが特徴だ。
【国際ゲーマーズ賞2019】
(一般ストラテジー部門)


ルート
(Root / C.ウェールレ / レダーゲームズ)
(2人用ストラテジー部門)


リンカーン
(Lincoln / M.ウォレス / PSCゲームズ)
International Gamers Awards