斯くして我は独裁者に成れり(In This Way I Became a Dictator)

独裁者はみんなで作るもの
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7枚の手札をみんなの情報をもとに捨てていって、最後残した1枚が勝利条件を満たすようにする推理とブラフのカードゲーム。ゲームマーケット2018秋にクリエイティブAHCから発表され、今年はこのゲームをテーマにした演劇も公演されている。正体が最初から決まっているのではなく、徐々に探りを入れながら決めていく過程が面白い。
最初にみんなが持っているカードは同じ構成で、独裁者、道化師、貴族、革命家、暗殺者、民衆、聖職者の7枚から成る。毎ラウンドはじめに議論を行い、どのカードで勝ちに行くのかをお互いに出し合う。「全員が民衆を残せば、全員が勝利できるので、とりあえず民衆を残しましょうか?」
議論が終わったら投票タイム。好きなプレイヤーの前に自分のチップを置く。最終的に何票集まったかによって、自分が最後に残したキャラクターが勝てるか決まることがあるので、票数はどのキャラクターを残すかの指標になり、ヒントになる。「おい誰だよ民衆捨てた奴!」
例えば独裁者は単独最多票が集まっていれば勝利するので、票が集まると独裁者を選ぶ可能性が上がるだろう。道化師は独裁者が勝つと一緒に勝てるので、独裁者が出そうならば道化師を選ぶプレイヤーが増える。しかし暗殺者は、独裁者が勝ったときに票数がゼロだと独裁者を暗殺して逆転勝利できるため、命を狙う方に転向するプレイヤーも出てくる。
投票が終わったら、各プレイヤーがカードを捨てる。基本的に誰がどのカードを捨てたかは分からないが、全員が捨てたカードを混ぜて公開するので、どのカードが全体で何枚残っているかだけ分かる。これがまた次のラウンドの議論につながっていく。「もう独裁者が勝つのは絶望的だから、貴族か革命家が有利かな? この得票状況だと……」
投票のときに、棄票といって誰かのチップを捨てさせることができ、これが面白い展開を生む。ところが棄票したプレイヤーは、そのラウンドに自分が捨てるカードを公開して出さなければならず、ほかのプレイヤーにも大きなヒントを出すことになる。ゲームの流れによって捨てて当然というキャラクターがいれば、積極的に棄票して票数をコントロールするのもよいだろう。
どのキャラクターだと勝てるかは、少しずつ推測は付いてくるものの、最後の最後まで分からない。投票がまんべんなく行き渡るか、特定の誰かに集中するかによっても展開が変わる。4日目に2枚のうちから1枚を選んで確定させるとき、読み合いはクライマックスになる。
6人プレイで20分くらい。面白いので2ゲーム続けてプレイしたが、1回目は投票数最下位とブービーのコンビで勝てる革命家が土壇場で勝利するというドラマチックな展開。2回目は独裁者と貴族が勝利という順当な展開で、ゲームごとに展開も大きく変わった。各キャラクターの勝利条件がテーマとうまくかみあってドラマ性があり、裏をかいたり、裏の裏をかいたりできる心理戦もあって繰り返し遊びたくなる作品だ。
斯くして我は独裁者に成れり
ゲームデザイン・あまおち総統/AHC、メインイラスト・アオガチョウ
4~12人用/13歳以上/30分
AHC:斯くして我は独裁者に成れり

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