はんか通骨董市(Curio Collectors)

切り分けの意地悪
はんか通骨董市
江戸の商人たちが骨董品を分配して集めるカードゲーム。OKAZU Brandがゲームマーケット2015秋で発表した作品で、『ゴー・ダッ・チーズ』(TGiWレビュー)と同様、手軽にドラマチックな展開が楽しめるゲームだ。
商人たちが集めるのは茶器、屏風絵、刀剣、水墨画、和楽器、木彫、書物といった渋いアイテムたち。何しろ「はんか通」なので、ほどほどに集めるのがちょうどいい。どのアイテムも、集めすぎると失点になってしまう。
さて毎ラウンド、これらのアイテムが一列に並べられる。どれがほしいかなー? ここで斬新な分配方法が登場する。それは列をどこかで分けて、皆でどちらか好きな方を選ぶというものだ。分けるのは「仕切」というプレイヤーで、時計回りに交替していく。半々に分けてもいいし、1枚と残り全部に分けてもいい。
分けた片方に「甲」、もう片方に「乙」として、全員がカードでどちらかを選択。一斉にオープンして、バッティングしなかったら(選んだのが1人だけだったら)、アイテムをゲットする。拒否権はないので、取りすぎには注意しよう。
バッティングした場合は保留となり、そこにアイテムが2つ以上あれば、再び「甲」と「乙」に分けて選択する。こうして、アイテムはどんどん細かく分配され、最終的にみんながアイテムを取るか、分配できなくなるまで続けてラウンド終了となる。
誰も選ばなかったアイテム、割り切れなかったアイテムは「千両箱」に置かれ、アイテムの列に並んでいる「元締」というカードを取った人が総取り。「元締」は次のラウンドの最初の「仕切」ができるので有利だが、手に入るアイテムをコントロールできない点で嬉しくないことが多い。5ラウンドを行って得点計算。
アイテムは、種類ごとに限界枚数までならば額面の得点、それを超えると失点になってしまう。そのほかに無条件で得点になる宝石カード、失点になる大火カードを加えて、得点の多い人が勝つ。
6人プレイで30分ほど。第1ラウンドでぽちょむきんすたーさんがいきなり大量ゲット。しかし羨むところではなかった。その後、1枚でもいらないアイテムがあると尻込みせざるを得なくなり、失点してしまうアイテムも多々。結局、序盤は少なく集めて、調整しながら少しずつ手に入れるのが強かったが、取らなさ過ぎても得点がなくなる。調整が難しいが、みんなを唸らせる分け方ができると実に気持ちいい。この分け方にクリエイティビティがあって、どんどん奥が深くなっていく作品だ。
はんか通骨董市
林尚志/OKAZU Brand(2015年)
3~6人用/8歳以上/30分

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