カヴェルナ:洞窟の農夫たち(Caverna: Die Höhlenbauern)

箱庭の満足感
カヴェルナ
『アグリコラ』の後継作としてローゼンベルクが発表した新作。ボード、木のコマ、タイル、カードとコンポーネントがどっさりで、『アグリコラ』より厚い箱にぎゅうぎゅう詰めである。7人までプレイできるが、慣れないうちは待ち時間が長くなるので5人以下でのプレイが推奨されている。
今度の主人公はドワーフで、畑や牧場を作るだけでなく、洞窟を掘り進めて施設を作ったり、鉱石やルビーを採掘したりする。自分のボードは森林エリアと、山地エリアの半々に分かれている。はじめ山地エリアの入り口にはドワーフの夫婦が住む居室があり、その奥に空き部屋が1つあるほかは未開である。
基本がワーカープレイスメントなのは『アグリコラ』と同じ。たくさん用意されたアクションスペースのいずれかに自分のドワーフを1人ずつ置いて、そのアクションを行う。先に誰かが置いたアクションは選べないので、競争率の高そうなところを先に取っていかなければならない。そして毎ラウンド、アクションスペースが1つずつ増えていく。
アクションの種類は多岐にわたるが、だいたいこの順番で開拓を進めていく。ほとんどが『アグリコラ』でも見られるものだが、新しい要素として施設、鉱床、武器が増えた。
1.ボードにタイルを置く:森林を草原と畑に、山地を洞窟と坑道にする。切り倒した木材、掘り出した石材が手に入る
2.施設を作る:洞窟内の空き部屋に、子孫のための居室や、さまざまな効果をもった施設を作る
3.子孫を増やす:これ以降、実行できるアクションが増えるが、その分食料も必要になる
4.畑に種をまく:小麦と野菜を植えて増やす
5.草原を牧場にする:草原の上に牧場タイルを置き、家畜の収容量を上げる
6.鉱床を作る:洞窟や坑道の上に鉱床タイルを置き、鉱石やルビーの生産力を上げる
7.武器の鍛冶:ドワーフに武器を装備させ探索に出すとさまざまなアイテムを持ち帰る
8.スタートプレイヤーを取る
9.模倣:ほかの人に取られてしまったアクションを、食料を支払って行う
施設タイルはボード上に並べられており、資材コストを支払って好きなタイルを空き部屋に置く。居室以外、どれも1枚ずつしかないのが特徴で、ほしいタイルは先にとって置かなければならない。支払う資材を減らす施設、食料供給を楽にする施設、アイテムが最後に得点になる施設などがある。
鉱床は鉱石とルビーのものがあり、「採掘」のアクションでより多くの鉱石やルビーをもたらす。鉱石は武器を作るのに使い、ルビーはジョーカーとしていろいろなアイテムに変換できる重要アイテムだ。
そして武器。ドワーフは、支払った鉱石だけ強い武器を装備でき、武器を装備したドワーフで「探索」のアクションを行うと、その武器の強さに応じてさまざまなアイテムが手に入る。武器が強いほど、いいアイテムが手に入るという仕組みだ。武器を装備したドワーフは後から配置しなければいけないというルールがある上に、探索のアクションが少ないため、武器を装備するドワーフが多くなると役に立たないこともある。武器をどんどん装備していくか、それとも全く装備しないかは、重要な選択である。
全てのドワーフのアクションが終わるとラウンド終了となり、収穫の時間となる。畑を刈り取り、ドワーフの数に応じて食料を支払い、2匹以上いる動物が増える。ここも『アグリコラ』と同じだが、収穫の頻度が多く、ほぼ毎ラウンドのように行われるので、食料調達にはことさらの工夫が必要になる。家畜は「かまど」なしに食えるが、最後は1頭につき1ポイントになるので、できるだけ食べないようにしたい。
動物は羊、猪、牛のほかに、鉱床に飼えるロバと、羊を草原で飼えるようになる犬がある。犬は食べられない。
ゲームは12ラウンドで終了となる。得点計算では動物、野菜、小麦、ドワーフ、ルビー、タイルの得点で、足りない動物の種類、使わなかったスペースが失点。
5人初プレイで約3時間。食料調達がままならず、ドワーフを増やすと一層苦しくなった。武器の鍛冶を行い、手に入れた野菜を増やして食いつないでいく。施設は、支払う石材が1つ少なくてすむものを取ったが、足りないのは木材のほうだった。終盤に失点を7点まで帳消しにする施設を作って失点を回避したが、野菜も小麦も底をついて3位。1位は、得点の高いタイルを敷き詰め、終盤にルビーを集めまくった神尾さん。
進歩カードと職業カードがなくなったことで戦略的な多様性は減ったが、その分施設タイルが加わったことでさまざまなボードの作り方ができるようになった(この点は『アグリコラ:牧場の動物たち』に近い)。終了時のボードはみんなさまざま。『アグリコラ』の箱庭性がクローズアップされていて、終わってから自分のボードを見る達成感は格別のものがある。
Caverna: Die Höhlenbauern
U.ローゼンベルク/ルックアウトシュピーレ(2013年)
1~7人用/12歳以上/プレイヤー人数×30分
ホビージャパンより日本語版が発売予定(2014年)

カヴェルナ:洞窟の農夫たち(Caverna: Die Höhlenbauern)」に1件のコメント;

  1. >進歩カードと職業カードがなくなったことで戦略的な多様性は減ったが
    確かに繰り返しプレイする上での「違い」は激減しましたが、1回1回のプレイに関しては戦略性や多様性はずっと上がっていると思います。
    あと、実力差が出やすくなりましたね。個人的にはアグリコラよりも好きです。

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