シュピール’13:ヤポンブランド(1)

今回のシュピールでは、日本からの出展に大きな注目が寄せられていた。カナイセイジ氏の『ラブレター』、林尚志氏の『トレインズ』のドイツ語版が発売されたことで大きく取り上げられ、「日本人の作るボードゲームは面白い」という認識が急速に広まったためである。もちろん、日本発のボードゲームを世界に発信するプロジェクト「ヤポンブランド」の地道な活動が背景にある。シュピールに毎年欠かさず出展しているだけでなく、前もってサンプルを海外の有名なレビュアーに送ることで、事前情報をうまく広めている。800タイトル以上も発表される新作の中、面白いだけでは注目されにくい。
今回、日本から出展しているのはヤポンブランド、冒険企画局、タコアシゲームズ、ヒキダシトリック、ねこまど(将棋)、フォース・オブ・ウィル(TCG)の6ブース。各ブースを訪れて出展した方々からお話を伺った。はじめはヤポンブランドから。
ヤポンブランド
今回、『ラブレター』のドイツ語版がペガサスシュピーレから発売され、大きく取り上げられているカナイセイジ氏。ヨーロッパ各国からの取材を受けつつ、ヤポンブランドのブースを切り盛りしていた。
Q:今年のヤポンブランドはいかがですか?
カナイ:ブランド力がついたと思いますね。以前は売れるものと売れないものがはっきり分かれてしまっていたのですが、今年はどの作品もよく売れています。
Q:人気の作品は何ですか?
カナイ:『街コロ』や『すきもの』(グランディング)、『Sail to India』(OKAZU Brand)は、すぐに売り切れました。もっとたくさん用意すればよかったんでしょうけど、売れ残るリスクもありますので難しいところです。
Q:注目されるポイントはどこでしょうか?
カナイ:グラフィックのいいもの、テーマが和のものあたりでしょうか。
Q:カナイさんが今回発表された『成敗』もそうですね。
カナイ:ドイツでの出展は、日本国内での注目度アップにもつながると思います。今回はニコニコ生中継もありまして、日本からもご覧になっている方が多いようです。
Q:国内といえばゲームマーケットがすぐありますね。500円ゲームズの新作はいかがですか。
カナイ:ドイツにいる間に準備しようと思っていたのですが、全然そんな余裕がなくて。どうなるか分かりません(笑)。

続いては『ワンナイト人狼』の奥井晶久氏。ドワンゴでニコニコ動画に携わっている方で、会場を回って実況中継を行っていた。初出展となるシュピールの印象を伺った。
Q:ヤポンブランドに参加していかがですか。
奥井:ブランド力に驚きました。外国の方が「カナイ!」「ハヤシ!」ってやってくるんですよ。
Q:今回『ワンナイト人狼』の英語版がベジエゲームズ(アメリカ)から発売されますが、どのような経緯だったんですか。
奥井:Youtubeにレビューが上がりまして、それを見たベジエの方から連絡があったんですよ。でも自分で持って行って売りたいというのがありましたから、一旦はお断りしたんですけど、だいぶ作り変えて別のゲームになるようでしたので引き受けることにしました。
Q:英語版『究極のワンナイト人狼』には新し役職が追加されているようですね。
奥井:ベジエで追加したものですが、我々の方でもローカルルールで採用していた役職がありました。でもマニア向けという印象で、私たちの目指す一般向けとは住み分けできそうです。
Q:『ワンナイト人狼』の今後の展開はいかがでしょうか?
奥井:これまで1万セット販売していますが、プロモーションなどを工夫して新しい展開を目指したいと思います。ハロウィン版などの制作も考えています。
Q:会場を回ってどんなゲームに注目されましたか?
奥井:メタルールがある『マンチキン』や、イカサマができる『いかさまゴキブリ』など、変わったルールのものに注目しています。

(つづく)

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