シュピール’13:ヤポンブランド(2)

前回のつづき)ヤポンブランドで続いてお話を伺ったのは『トレインズ』の林尚志氏。AEG社(アメリカ)が配っている大きなバッグには、『トレインズ』が大きく乗っていて力を入れていることが分かる。
Q:今回のラインナップの売れ行きはいかがですか?
林:『Sail to India』が完売して、『Patronize』『ひもサバンナ』も好調です。かつては『ひも電』など「飛び道具」が注目されていたのですが、今は「飛び道具」でなくても売れるようになってきました。初日はヤポンブランドの前に長い行列ができて、となりのブースに迷惑をかけないか心配したほどで、まるでゲームマーケットでしたよ。
Q:『トレインズ』も注目されていますね。
林:AEG社が、宣伝コンテストをしたんですよ。優勝者には『トレインズ』がもらえるという。それで『トレインズ』をもっていないのに宣伝してくれた方がいらっしゃって(笑)、その様子がYoutubeにアップされています。
Q:ゲームマーケットでも新作『江戸屋敷』を準備していて、精力的に制作されていますね。
林:ゲームデザイナーには1つの作品をじっくり売っていく人と、新しいのを次々と出す人がいて、私は後者のほうだと思います。だからどんどん作りたいですね。日本では小箱が受けますが、ドイツでは箱が大きいほうが注目されます。いつかコスモス社やハンス・イム・グリュック社から大箱の作品をリリースしたいと思っていますよ。
OKAZU Brand 林さん
お次は有限浪漫の藤田氏。『Donburiko』で初出展となる。ブースの前で通りかかった人たちにパンフレットを配っていた。
Q:初出展していかがですか?
藤田:言語の壁には苦労しましたが、遊んで下さった人はたいてい買ってくださったのが自信になりました。ただ、ドイツの方は箱が大きくて長時間のボードゲームを求めるので、物足りないということもあるかもしれません。
Q:ゲームマーケットも出展されますね。
藤田:実は新婚旅行も控えておりまして、新作は来年の春になりそうです。来年のシュピールにもぜひ参加したいですね。
Q:おめでとうございます!

同じく『赤ずきんは眠らない』で初出展の佐藤純一氏は、薫風から独立したJunias(ユニアス)という団体名で参加していた。
Q:初出展はいかがですか?
佐藤(純):楽しくてしょうがないですね。面白いって言ってもらえるし、サインを求められたりもしました。日本と比べて、規模の違いに驚きましたね。「ここに来ている人みんながボードゲーム好きってホント?」と思うくらいで。
Q:海外の人にも楽しんでもらえたというのは次につながりそうですね。
佐藤(純):子どもが大人に勝つ場面があって、そのときにちょうど売り切れたというニュースも入ったので嬉しさ倍増でしたね。次のゲームマーケットでは『ワリトリペンギン』という作品を用意していますが、来年のシュピールにどうやって来ようか、今から思案中です。
Q:この時期に1週間休むのはたいへんですものね。

最後にお話をお聞きしたのはconceptionの佐藤慎平氏。『タマゴリッチ』で初出展である。
Q:初出展はいかがですか?
佐藤(慎):受け入れてくれる層が一気に広がって、チャンスが増えたと思います。もともと私は子ども向けに積み木などの創作活動をしてきたので、こちらでも子どもに手応えがあったのは収穫でした。
Q:今年はたくさんの方が参加していましたが、よいことがありましたか?
佐藤(慎):デザイナーが飛行機で12時間も一緒に乗っていると、やはり新しいゲームの制作会議のようになりましたね。その中には製品化できそうなものもあって、ヤポンブランドとして新しいゲームを出そうかなんて話になっています。
Q:それはすごい。ぜひ実現して下さい。

ほかにもたくさんの方からお話を伺いたかったが、ブースが当番制になっていて皆さんお忙しそうだった。デザイナーだけでなく、コーディネーターの健部伸明氏をはじめ、通訳やインスト担当の外国人スタッフが東奔西走しており、多くの人に支えられていることを感じた。
今、日本のゲームマーケットに海外の出版社の熱い視線が注がれている。早くからスカウトを送っていたAEG社(アメリカ)やカクテルゲームズ社(フランス)の成功に、ほかの出版社も追随しようとしている。エッセン・シュピールの新作は約800タイトル。これに対してゲームマーケットの新作は今や180タイトルに達し、独創的な作品が次々と発表されている。ヤポンブランドの活躍とゲームマーケットの成長によって、今後も日本は世界的な注目を浴びていくことだろう。

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