芸者と老人と役人の珍道中
京都から江戸に向かって旅をしながら、料理や景色を楽しむフランスのゲーム。作者は『世界の七不思議』『タケノコ』『花火』のA.ボザ。柔道をやっていたり、来日経験があったりと、親日国家フランスの中でも特に親日家である。このゲームでも日本の人物、料理、土産がふんだんに出てきて、いかに日本好きであるかが分かる。
大箱だが、賞味30分くらいのライトなゲームである。コマを進めて、行き先のアイテムを取り、得点を競う。
コマは常に一番後ろにいるものが進む。コマを進めるのはサイコロではない。空いているマスならば、どこまで進んでもよい。ただし後戻りはできず、ところどころにある宿場では必ず止まらなければならない。クニツィアの『ツタンカーメン』で用いられたシステムである。みんなが欲しがりそうなものは先に取りたいが、あまり飛ばしすぎると数を集められなくなるというジレンマ。飛ばしすぎると当分手番が来ない。
じっくり進んでアイテムを増やすか、一気に進んでほしいものを先取りするか
さて、各プレイヤーにはキャラクターが渡される。これによって最初の資金と、ゲーム中の特典が異なり、自ずと止まりたいマスも変わってくるというわけだ。止まる場所と手に入るものは次の通り。
- 村・・・土産を買う。土産は小物、衣服、美術品、飲食物の4種類があり、同じ物を集めるほど得点が上がる
- 田畑・・・なぜかお金を拾う
- 景観・・・景観カードを手に入れる。海、山、水田の3種類があり、集めるほど得点が上がる
- 温泉・・・温泉カード(普通に得点)を手に入れる
- 神社仏閣・・・お金を寄付してその分だけ得点
- 出会い・・・得点、お金、景観、土産。何が出るかな?
- 宿場・・・強制ストップ。料理を購入する
役人・吉保は金を持っていて出会い系に強い。芸者・笹奴は土産買いが得意。老人・光圀は温泉好き
道中なくてはならないものがお金だ。温泉や景観は無料だが、それだけで勝つことは不可能。ところが初期資金のほかに、お金が入るのは田畑のマスに止まったときと、出会いで「公家」を引いたときだけ。お金がないと特に困るのは宿場で、ここで料理を食べられないと相当なビハインドになってしまう(宿場は先に入るほど料理が安い。だから道中あまりのんびりしていられない)。目移りして散財しないよう、節約を心がけたい。
全員がゴールしたら、景観、料理、温泉、出会い、土産のトップ賞が贈られ、合計得点の多い人が勝ち。
絶景! 海上に鳥居が・・・ってそんな風景、東海道にありましたか?
3人プレイ。神尾さんは金持ちで出会い系に強い吉保・・・って何か不純な旅の予感。私は笹奴で土産に強かったが、なかなか村に入れない。しかも神社に賽銭をあげたりしているうちに金欠になってしまい、景観を見るだけの旅に。一番ぶれていなかったのはぽちょむきんすたーさんの光圀で、ひたすら温泉に入りつつ(温泉がプラス1点という特典)、土産物に走り、景観は一切見ないという徹底ぶりで圧倒的な1位。
どう動いてもそれなりに点数が入ってくるところと、どこに止まれば一番点数が高いかは引いたカード次第というところから、先の先を読むとかあまり考えないで気楽に旅を楽しむという、テーマに沿ったゲームである。
Tokaido
A.ボザ/ファンフォージ(2012年)
2~5人用/8歳以上/45分
国内未発売
ふうかのボードゲーム日記:東海道
土産は「同じ物を集めるほど得点が上がる」ではなく、「違う物をセット(最大4種)で集めるほど」だと思います。上手に説明できてないかもしれませんが・・・A/A/A/Aだと1+1+1+1で4点です。A/B/C/Dだと1+3+5+7で16点です。A/B/C/Aなら1+3+5+1+で10点です。
その通りですね。分かりやすく記述しようとして別な意味になってしまいました。補足ありがとうございます。