アメリカでは数えきれないほどのコミュニケーションゲームが発売されているが、言語依存・文化依存が高い上に玉石混交で、面白いものにはなかなかめぐり会えない。ゴールデンギーク賞や、ゲーム100選のパーティーゲーム部門が手がかりとなるが、まれにドイツの出版社が興味を示し、ドイツ語版まで発売されたものも注目してよいだろう。
この『クエルフ』を初めて見たのは、ドイツのおもちゃ屋さんだった。2009年にアミーゴ社が制作したものである。ドイツ語版で遊ぶのは骨が折れそうなので、オリジナルの英語版を入手した。ゲームは単なるすごろくで、サイコロを振ってコマを進め、止まったマスの色のカードを引いて指示に従う。指示でミスをすれば戻されてしまう。最初にゴールした人が勝ち。
面白いのはカードの指示である。奇想天外のムチャぶりが待っている。
紫のカードは、砂時計が落ちるまでにジェスチャーで指示されたお題を当ててもらう。「何かに襲われています。何に襲われているでしょうか?(答え:ハチ)」
黄色のカードは指示された歌を歌ったり踊ったり。「あなたは有名なマジシャンだそうですね。手品を1つ披露して下さい」「名前が出てくる歌を、ここにいるプレイヤーの名前に置き換えて歌いなさい」「誰かの頭の上にペンを立て『ヤドリギ』と言いなさい」
緑のカードはクイズ。「1ドルのくずし方(硬貨の組み合わせ)は何通りあるでしょう。(5択)」「世界でこれまで最も身長の小さかった人は何フィート何インチだったでしょう(4択)」
青のカードは、これ以降守らなければいけないルール。「このカードの持ち主がテーブルのすみに指をつけたら全員指をつけること」「コマを移動するときは効果音をいうこと」「5メートル以内にプレイヤー以外の人が近づいてきたらイヌのようにほえること」
赤のカードは2択からお題を選んで、全員が順番に言う。「古新聞紙の利用法」「人に嫌われている虫」
ほとんどのカードはペナルティーポイントが書いてあり、ミスした人はその分だけ自分のコマを戻さなければならない。神尾さんが「カードをめくるたびにガアという」というのを何度か忘れて戻りまくり。
黄色のカードがやたら当たったtomokさんはとっとこハム太郎などを熱唱。ルールには「こういった見せ場で恥ずかしがるならば、このゲームはあなた向きではありません」と強気のノットフォーユー宣言が書いてある。
赤のカードでは「古新聞の利用法」は包装紙から始まって、水がこぼれない手品、みかんの皮入れ、靴の湿気取りなどおばあちゃんの知恵袋状態になったり、「お酒の種類」は酒飲みがいなくて2周ともたなかったり。
ワンワン吠えたり、おかまになったり、トイレの水を流すジェスチャーをしたりして頑張った鴉さんが1位。青のカードがあるので緊張感があるが、それが各カードの指示での笑いを増幅させているように思われた。
Quelf
R.アーネスト、J.ファイファー、M.リヴァルディ作/スピンマスターゲームズ(2008)
3〜8人用/12歳以上/60分
国内未発売