乱世の豪商(Merchants in Turbulent Ages)

0.1mmの攻防
ゲームマーケットでは時折、目をみはるようなオリジナルアイデアに遭遇する。毎回ゲーム名がブース名になっている佐伯拓也氏のこの作品は、『落水邸物語』(2005年)もそうだったが、「いったいどのようにしてこんなアイデアを思いつくのだろう?」とつくづく感心する。
コマを置いたままで、ゲームボードが差し替えられるのである。透明アクリル板の下にボードを差し込むので、コマに触れずに盤面が変わる。感動的なシステムだ。
乱世の豪商
ボード上には一〜五の国があり、それぞれで商人の数を競う。一斉にカードを出して、数字の多い順に自分の商人コマを置く。これを何ラウンドか繰り返したら、国ごとに商人の数が多い順に得点。コマの数が多いほど得点が高いので、適度に競り合って皆が置き、その中で頭ひとつ抜けるのが理想だ。
商人コマは、ほかのコマや国の境界線に触れてはいけない。そのため慎重なプレイが必要で、わざわざピンセットまで付いている理由もすぐに分かる。この部分は指先の器用さが問われるアクションゲーム。緊張して指がプルプル震える。
得点計算が終わると、ゲームボードが次の時代に変わる。ボードを差し込むと国の位置ががらりと変わり、このとき国の外や境界線にあるコマは除去されてしまう。何という乱世ぶり。でも次の時代のボードはわきに置いてあるので、2つのボードを見比べて生き残れるようにコマの位置を決めることができる。「もうちょっと右かな?」とか。
商人コマには大中小と大きさが違うが、小さいほうが小さいスペースにも置きやすいというだけで平等に数える。ただし大のコマは国の中央にある城に置くことができ、同数タイで勝つという特権が得られる。大コマは置き場所がなくなる前に早めに置きたい。
3人プレイで45分ほど。実際のところ、コマは大部分が除去されてしまうがcarlさんの目視が冴えていて、いつも1,2個多く残った。しかしpsy+さんと狙いが重なってコマが生きなかった上に痛恨のミス(小さいスペースにぎりぎり置こうとして失敗)。その間に私がボーナスを確実におさえて1位。
3人プレイと4人プレイではマップが異なる。除去されすぎては前のラウンドからのつながりがなくなってしまうし、残りすぎては次のラウンドに置き直す分がなくなってしまう。ほどほどに除去されるバランスのよさも光っていた。
乱世の豪商
佐伯拓也/(自主出版)
3〜4人用/12歳以上/60〜75分

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