心の目で描く
出来上がった絵は、まるで現代美術を見るかのようである。現代美術館でも、下に貼ってあるプレートを見ないと、何を描いたのか分からない絵が多い。その絵をみんな共同で描いているとしたら? そしてその中に1人だけ何を描いているのか分からない人がいるとしたら?
『ストレイシーフ』『藪の中』でゲームと非ゲームの際どい境界線を歩み、注目を浴びているオインクゲームズの新作が、このお絵描きブラフゲームである。多人数、お絵描き、ブラフ、そしてオインクゲームズとあっては注目しないはずがない。
絵は順番に、自分の色のペンで一筆ずつ描き加えていくかたち。エセ芸術家=1人だけお題を知らない人は、それまで出来上がった絵を見て、さも知っているかのように描き加える。2周したら、ペンの色からエセ芸術家だと思う人を一斉に指さす。「おまえだ!」
エセ芸術家がカモフラージュに成功し、指さしで最多数に選ばれなければ、エセ芸術家と親の得点。最多数に選ばれれば、エセ芸術家と親以外が得点……の前に、エセ芸術家に1回だけチャンスが与えられる。それは何を描いたかお題を当てられるかどうか。当てられればカモフラージュ成功と同様、エセ芸術家と親が得点する。
すなわち、エセ芸術家以外の人は、何か分からないような絵を描かなければならない。分かりやすい絵を描けば、エセ芸術家のカモフラージュが成功しやすく、カモフラージュに失敗してもお題を当てられてしまうだろう。しかし、分かりにくすぎても、エセ芸術家のカモフラージュが成功してしまう。1周目は様子見で棒でも引いておいて、2周目にさりげなく自分はお題を知っているアピールをするのがよい。
今回出来上がった現代芸術作品はエビ(右下)、ネコ(左下)、サンタクロース(上)。エビはくさのまさんが描いた尻尾でバレてしまい、ネコはエセ芸術家だったcarlさんの変な線を見ぬくことができなかった。サンタクロースは2番手という不利でエセ芸術家であることがばれたぽちょむきんすたーさんが、お題を当てられず。carlさんが一気に5点を取って1位。tomok画伯が直線一本だけで「そこはありえねー」とウケを取っていたのはさすがだった。
よそのゲーム会で遊んだ話を聞くと、毎回エセ芸術家がつかまってしまったというところと、1回も捕まえられなかったというところがあった。今回は両方あって、微妙なところを楽しめたと思う。
エセ芸術家ニューヨークへ行く
佐々木隼/オインクゲームズ(2011年)
5〜11人用/8歳以上/20分
オインクゲームズ:エセ芸術家ニューヨークへ行く