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5日目 集中プレイ

今日はインタビューもなく、丸一日遊び倒した。まずはアレアの新作『ノートルダム』から。アレアは毎年、最小スペースで3卓だけ試作品を遊べるが、いつも満員なのでなかなか遊べない。今日は絶対遊んでいこうと思い、1時間ほど座り込んで観戦。実際にやっているのを見るとドイツ語の説明だけでも何とかルールをのみこめる。隣りの卓が空いたのですぐに入った。1ゲーム観戦していたのでコツがつかめダントツの1位。どこかで見たことがあるような要素が散見されるが、フェアプレイでは高い評価が出ているし、安心して楽しめる一品。

 次にフェアプレイの中間集計で1位になっていた『大聖堂』を観戦。これも1ゲーム観戦してから遊ぼうと思ったが、アミーゴのブースはグループでゲームを借りて遊ぶ仕組みなので一人では入りづらく断念。既存の要素をまとめて手堅く作ったという印象を受けたが、手番の決定システムなど見どころもある。

 さらにフェアプレイの上位を尋ねて回る旅。『ミスタージャック』はB.カタラとL.モーブランが制作した2人用の推理ゲームである。対戦したお姉さんが序盤に痛恨のミス。あっという間に犯人が分かり、妙に盛り上がらないゲームになってしまった。前のゲームも、ちょっとした手違いがゲームを盛り下げてしまっており、プレイヤーの能力への依存度が高いけれどもゲームに習熟すれば白熱した戦いになりそうだ。

 次に『シュヴァーベンの百万人』。自分で予想して自分で試合をする八百長サッカーゲームだ。1人2チームを担当し、合計8チームでまずA組、B組のリーグ戦を行う。私はドイツとスペイン、左どなりの人はイングランドと日本、対面の人はスイスとチェコ、右どなりの人はナイジェリアとイタリアを担当。A組にはドイツ、日本、イタリア、スイスが入り、B組にはイングランド、スペイン、チェコ、ナイジェリアが入った。私はスペインが優勝すると予想。ドイツは一次リーグで敗退するというどんでん返しを仕組んだ。予定通りドイツは日本にも負けてしまうが、その日本も敗退してしまいイタリアとスイスが準決勝進出。B組はスペインが全く振るわず、イングランドとナイジェリアが準決勝に進出した。どちらも準決勝進出までは予想していたが、まさか決勝に勝ち進むとは。結局延長の末ナイジェリアが優勝。自分のチームが全て予選敗退した上、予想も当たらずビリだった。サッカー好きな方に。

 そして最後に『タラ』はイギリスのサプライズド・ステア・ゲームズというメーカーのゲーム。たえず逆転が起こるように作られているのは落ち着きがないが、連鎖をうまく使うなどルールを聞いたときとは違うインパクトがあった。

 フェアプレイのアンケートは組織票である可能性もある。『ミスタージェック』や『レオナルド・ダヴィンチ』が高い評価を受けているのが、ブースはすぐそば。サクラが5人ぐらい最高点をつければたちまち上位に躍り出る。上位になればそれを見た客がやってくるから宣伝効果が大きい。投票結果はそれくらい差し引いて考えたほうがよいかもしれない。

 フェアプレイの人気調査、木金土の3日間の中間集計は、40票以上の獲得で上位からアレアの『ノートルダム(Notre Dame、1.7)』、サプライズド・ステア・ゲームズの『タラ(Tara、1.7)』、コスモスの『大聖堂(Die Säulen der Erde、1.7)』、ダヴィンチの『レオナルド・ダヴィンチ(Maestro Leonardo、1.8)』、イスタリの『イスファハン(Ysphahan、1.9)』、エガートシュピーレの『スペースディーラー(Space Dealer、2.0)』など、最終日の明日はどうなることやら。

 来場者自体は木金と比べものにならないほど大混雑していたが、ヤポンブランドは不思議なことに客足が落ちて売り上げも半減していた。それだけウェブなどの事前情報をチェックしない一般客が多いということで、木金にいかに事前情報を得て訪れた人が多かったかを物語る。

 夕食はヤポンブランドのメンバーと軽食のつもりがまたシュヴァイン・ハクセを頼んでしまいずいぶんヘヴィーに。軽いデザートのつもりで頼んだバニラアイスのベリーソースも大盛りで驚いた。こんなのを子どものときから食べていたら、太っている人が多いのも分かる。その上ゲームばかりで運動しなかったら……自分も気をつけよう。

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4日目 中休み

朝はヤポンブランドのサンプルをもってシュピールボックスのKMW(K-M.ヴォルフ)氏と会談。この頃ゲームの寿命が短いのはインターネットで情報がすばやく流れるせいだろうと分析していた。ゲームの評価というものは主観的、相対的なもので誰かが面白くないといっても実際遊んでみると気に入ったり、その反対だったりすることはよくあるものだ。しかし誰かつまらないと書けば買い控え、面白いといえば一斉に買うという傾向は今のウェブ社会では避けられないのかもしれない。ロングセラーや末永く遊ばれるゲームが少ないのは残念なことだ。

 お昼前から『魔法使いの夜』の作者K.ベッカー氏にインタビュー。この結果は『シュピール』に掲載される予定。禅に興味をもっていて弓道と禅は関係あるのか聞かれたが、あまり関係ないんじゃないかなぁ。

 それから『スペースディーラー』をまる1ゲーム遊ぶ。砂時計を使って設備をグレードアップしたりものを生産して売買したりする異色のゲーム。慣れていないと自分の行動に精一杯でインタラクションが極端に少なく感じるが、これまでにないプレイ感覚はピカイチである。

 午後はヤポンブランドで過ごす。『キャメロットの影』のB.カタラ氏とS.ラジェ氏が立ち寄ったり、『アド・アクタ』のA.マイヤー氏が『R-ECO』を買いにきたりするなど、何度も鼻血が出そうになった。ドイツでのディストリビューター探しは、CEマーク(ヨーロッパのSTマーク)がないのでお預けになったが、いくつかのショップとコンタクトが取れたようだ。売り上げは今日も約30万円ほど。

 夕方にはノルウェーゲーム大賞のR.レーダー氏と情報交換。国内メーカー13社を一堂に集めてゲーム賞の立ち上げを説明し、各社は賛同してエントリー料金を1タイトル何万円か払った。国産(オリジナル外国産を含む)限定でエントリーは50?75タイトル。子ども向け、家族向け、パーティという3つの部門でそれぞれ第一次選考委員が投票し、上位5タイトルをノミネート。そして一般公募+委嘱の最終選考委員が大賞を決定する。ノミネート料、大賞受賞料とそのたびにメーカーが負担するが、宣伝効果が大きいので不参加はいなかったという。音楽業界にいたレーダー氏がレコードやデジタルゲームの賞からヒントを得て作ったシステムだ。う?む、これもまたすごい。

 帰りにフェアプレイのブースで人気調査を見たところ、木金の2日間の中間集計、25票以上の獲得で上位からコスモスの『大聖堂(Die Säulen der Erde、1.7)』、ダヴィンチの『レオナルドダヴィンチ(Maestro Leonardo、1.8)』、フリカンの『ミスタージャック(Mr.Jack、1.8)』、エガートシュピーレの『スペースディーラー(Space Dealer、1.9)』、イスタリの『イスファハン(Ysphahan、2.0)』、マインド・ザ・ムーブの『ヘマゴール(Hemagor、2.2)』、ラベンスバーガーの『アルカディア(Arkadia、2.2)』、ハンス・イム・グリュックの『タルヴァ(Taluva、2.4)』。

 夜はヤポンブランドでお手伝いをしているドイツ人のヘニングさんの招待でデュイスブルク観光。シュヴァインハクセ(豚のすね焼)を食べビールを飲んで、鉄工所跡を散策した。ドイツに来てもずっとメッセ会場にこもっているので、外のドイツを満喫できたのは望外の喜び。一部壊れてしまっている方もいた。

車で送ってきてくれたヘニングさんのお父さんがおもむろにビールを飲んでいるので、「いいのか?」と聞いたら「ドイツでは1、2杯はいいんだよ」と。そして帰りは酒気帯びの高速道路となった。