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キャッチアウト(Catch Out)

赤いカードで緊張
かつてイタリアのキダルトゲームズから出ていた『ファブ・フィブ』(2004年)というカードゲームがある。3枚のカードを回して、前の人よりも数字を上げていかなければならないブラフゲームで、絶版で手に入らないのが惜しい。
このたびグランペールから発売された『キャッチアウト』は、この『ファブフィブ』と同じ進め方をするブラフゲームである。手番の人は3枚のカードを左どなりに渡しながら3つの数字を宣言する。左どなりはそのまま受け取るか、3枚のカードが宣言どおりかウソかを見極めてチャレンジを行うか、どちらかを選択しなければならない。
受け取れば好きなカードを1枚、得点にできる。チャレンジすると、勝ったほうが3枚のカードを好きなように配分し、プラス点カード(青)は自分がもらい、マイナス点カード(赤)は相手に取らせる。チャレンジはリスクの高い得点チャンスなのである。
ダウトをかけるだけでなく、本当ということもできるので、カードを渡すほうは適度にウソもつかなくてはならない。だいたい前の人が言った数字から推理するが、前の人が本当のことを言っているとも限らない。この辺の面白さは『ファブ・フィブ』に通じる。
このほかにほかのカードの数字をコピーするXカードがあり、ゾロ目が揃いやすくなっている。3つとも同じ数字を宣言されると強制チャレンジで、無難に受け取る手がなくなる。ゲームの盛り上がりどころだ。
序盤はみんなおとなしく受け取っていたが、karokuさんがチャレンジで高得点を稼ぐと、失敗のリスクを承知でみんなチャレンジしまくり。しかもkarokuさんが1位なのにチャレンジし続けるものだから、もうどうにも止まらない。宣言する数字に縛りがないものだから、こういう展開だと、推理というよりコインを片手に隠してどっちだ?というような感じになってくる。手がかりはカードを引いたときの顔色だけ。でも赤いカードが3枚というときは、チャレンジで当てられると全部押し付けられるわけだから、つい緊張してしまって見破られた。
キャッチアウト
山上新介/グランペール(2010年)
2〜6人用/10歳以上/20分
グランペール:キャッチアウト
キャッチアウト

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ストレイシーフ(Stray Thieves)

彷徨えるゲーム

今回のゲームマーケットで発売された新作の中で、良くも悪くも最も話題になった作品である。ボードゲームおっぱいで事前に紹介されたり、ぼうけんTVで取り上げられたりしたこともあるだろう。でも話題になったのは「これはゲームなのか?」という内容によるところが大きいようだ。
ボードゲームおっぱい:ゲームマーケット直前!番外編 「ストレイシーフ(迷える盗賊)」
ぼうけんTV:オインクゲームズ
Togetter:「ストレイシーフ」の楽しみかた
Togetter:「ストレイシーフ」賛否両論
Togetter:「ストレイシーフ」まとめ反響
Togetter:「ストレイシーフ」ゲームとは?
Togetter:「ストレイシーフ」その5
各人は同じ内容の手札をもつ。中身はノーブル、シーフ、ナイトの3種類。これを一枚ずつ場(最初はトレジャーが置いてある)に出し、裏にして一列に並べる。全員出し終わったところで最初から1枚ずつオープンし、シーフはそれまで出ていたトレジャーとノーブルを全部取るが、シーフの直後にナイトがいると横取りされてしまう。全部めくって、取った枚数の多い人が勝ち。
出すときは、「これはシーフです」とか「ノーブルです」とか言って出すが、本当のことを言う必要はない。ノーブルが続いているなと思ってシーフを出したら、直前にシーフが総取りしていてガッカリとか。
賛否両論あった理由は、ウソをつくリスク(ばれたらペナルティ)がなく、したがってウソかホントか判断する手がかりもないというところにあるようだ。その代わり、プレイヤーが思い思いに自分のストーリーを作ったり、相手のストーリーにつっこんだりして、最後にオープンしたときにみんなが描いたストーリーと実際のギャップを楽しむ。つまり、ブラフゲームという看板をかけたコミュニケーションゲームなのである。
上記のボードゲームおっぱいは次のように評している。面白いという理由とつまらないという理由の両方を見事に言い表している。

口に出して言ってんのが全く関係ないんだもん。何でも言えちゃんだから、ウンコウンコって言っててもいいわけじゃん(笑)。汚いですけど。なんすけど、あれが本当なんじゃないかなってことは、これも本当かもっていう全く意味のない論拠に引っ張られたなっていうのがあって。

楽しめるかどうかはプレイヤー次第。私が遊んだときはストーリーを作るのを怠って全部「ノーブル」と言ったりしていたので全く盛り上がらなかったが、おしゃべりを楽しむゲームとして臨めば違っていたかもしれない。
ストレイシーフ
佐々木隼/オインクゲームズ(2010年)
2~6人用/10歳以上/10分